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原発攻撃に世論は? 「他の国から攻撃」半数以上が「不安」

世代によって分かれた「災害への不安」

ウクライナ南部のザポリージャ原発で、ロシア軍の攻撃で焼けた訓練棟。ウクライナの原子力企業「エネルゴアトム」が3月4日、SNSに投稿した
ウクライナ南部のザポリージャ原発で、ロシア軍の攻撃で焼けた訓練棟。ウクライナの原子力企業「エネルゴアトム」が3月4日、SNSに投稿した

目次

何かの間違いなんじゃないか――。思わず耳を疑いました。ウクライナに侵攻したロシアが、原子力発電所を攻撃したという一報を聞いたときです。折しもメディアで東京電力・福島第一原発の事故をはじめ、11年前の東日本大震災のことが集中的に報じられる時期。原発をめぐる世論は足元でどうなっているのか気になり、全国世論調査(3月19、20日実施)で聞いてみました。(朝日新聞記者・磯田和昭)

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運転再開、反対は半数以下

原発について今回の調査では、まず「いま停止している原子力発電所の運転再開」の賛否を聞きました。結果は、「賛成」38%、「反対」46%で、2月調査(19、20日実施)の「賛成」38%、「反対」47%とほとんど変わっていません。

もちろん、この質問をするにあたって、ロシアによる原発攻撃には調査のなかで全く触れていません。回答が直接的に影響されるのを避けたいからです。

原発への攻撃については、「今後、日本の原子力発電所が他の国から攻撃される不安を感じますか。感じませんか」と質問しました。

「感じる」は59%と半数を上回り、「感じない」という人は35%でした。

攻撃に対する不安感は、もしかしたら運転再開をめぐる意識に影響しているかもしれないと考え、見てみました。

すると、原発攻撃の不安を感じるという人では、運転再開に「反対」が51%と、全体より、やや強い結果でした。

ロシアによる原発攻撃のあと、国会では、日本の原発の備えはどうなっているのか、質問が相次ぎました。

政府側は、テロへの備えは強化しようとしているが、武力攻撃はそもそも想定していないと答えていました。ウクライナ侵攻の進展次第では、この問題をめぐる意識はまだまだ変わる余地がありそうです。

 

災害による事故不安には世代差

今回調査の直前の3月16日深夜には、福島県沖を震源とし、宮城、福島両県で最大震度6強となる地震が起きました。

これもあり、「日本で今後、大地震や津波などの自然災害によって原子力発電所に事故が起きる不安をどの程度感じますか」と、4択で聞いてみました。

不安を感じる割合は「大いに」(39%)と「ある程度」(49%)をあわせ、9割近くに達しました。特徴的なのは年代による違いで、「大いに不安を感じる」という割合は、上の世代ほど多くなっています。

不安感が全体的に高い結果となったのは、大きな地震が福島第一原発近くで発生した直後という調査環境が影響している可能性はあります。
それでも、原発運転をめぐる意識を左右しかねない要素として、「自然災害」が改めて浮かび上がりました。「大いに」「ある程度」あわせて不安を感じるという人では、運転再開に「反対」が51%と、全体より強くなっています。

 

光熱費値上がりの影響は?

世界有数の石油、天然ガス産出国であるロシアが厳しい経済制裁を受けるなか、あおりを受ける光熱費やガソリン代の値上がりも、当面落ち着きそうにありません。

そこで、2月に続いて「食料品や光熱費、ガソリン代などの値段が上がったことで、生活への負担を感じますか。それほどでもありませんか」と聞いてみました。

すると、「負担を感じる」は67%、「それほどでもない」が32%でした。2月はそれぞれ68%と31%だったので、ほとんど変わっていません。

ですが、こうした値上がり負担感が原発をめぐる意識に関係しているかもしれないと考え、見てみました。なぜなら、原発を推進する側は、発電コストの安さを強調するからです。

すると、値上がりによる「負担を感じる」という人では、原発運転再開に「賛成」が36%、「反対」49%でした。統計的には、「反対」が全体で見た場合の46%よりやや強いといえるのですが、値上がりが運転賛否に大きく関係しているとは言いがたい結果です。

 

今回調査の直後には、地震で多くの火力発電所が止まるなか、寒波のぶりかえしもあって、国が初めて「電力需給逼迫(ひっぱく)警報」を出しました。

すかさず、原発の活用を促す声が、経済界の一部や与野党の国会議員から上がりました。世論がそれに呼応するように変わるのかどうか――。まだしばらく注視する必要がありそうです。

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