連載
#269 #小山コータローの4コマ劇場
レストランで「虫入っちゃってます!」 客が指さした先にあったもの
それはそうだ

虫の思い出といえば、幼い頃に父方の田舎に行ったときのことを思い出します。
かなり山奥なのでカブトムシやクワガタがたくさんとれるのですが、もちろんそれ以外の虫もたくさんいるんですよね。
カミキリムシってわかりますかね。なんかこう、紙を切る専門の虫って感じの虫なんですが、そこにアイデンティティがあるはずなのに、クワガタよりかなり小さめの歯というかアゴを持ってて、しかもダルメシアン柄なんですよ。
めちゃくちゃ。めちゃくちゃです。神様がやりたい放題全部やって飽きて捨てた虫ですよあれは。
話は戻りますが、じいちゃんに呼ばれて近くまで行くと、じいちゃんがそのカミキリムシを手でつまんで持ってるんですよね。
「ちょっと見てろ!」
と言いながらじいちゃんはカミキリムシに自分の着ているランニングシャツをかませたんです。
僕は「新種のランニングシャツカミムシだ!」と思いましたがじいちゃんの真意はそうではありませんでした。
噛ませたまま思いっきりカミキリムシを引っ張り、ランニングシャツにかみついたままの顔だけを残し、ちぎれた体だけを持った満面の笑みのじいちゃんがいました。
「ワッハッハ!」
かなり声も出ていました。舞台俳優だったら、発声と、その猟奇的な演技に舞台監督も一目おいていたと思います。
今でもなぜあんなことをして、しかも僕に見せたかったのかは謎ですが「得意なことでも油断するな」というメッセージだったかもしれませんね。
あとこれを書いている間に思い出しましたが、小学5年生くらいのときに帰宅途中に通る民家の庭にビワがなっていてたので一つちぎって食べようとしたら手が真っ黒になるくらいコグモがびっしりついていて、嫌なシチュエーションでスパイダーマンになるところでした。
お疲れ様でした。
<こやま・こーたろー>
漫画家。「違和感」を作風とし、漫画家のSNS「コミチ」やXで毎日4コマ漫画を発信中。前後関係を無視したセリフや、突拍子もない理不尽な展開が得意。初の書籍『デリシャス・サンド・ウィッチーズ』(扶桑社)発売中。Xアカウントは@MG_kotaro。
1/352枚