連載
#14 withnewsスタッフブログ
書き初めしました! withnewsスタッフブログ
「願い」を口にするのって大事
withnewsスタッフ有志で、新春恒例(?)の「書き初め」をしました。昨年はコロナ禍で集まれず、2年ぶりの開催。書き初めって「目標」的なものを書くイメージですが、いろいろ悩みながら書いたことは、「願い」にも似たことばでした。
コロナ禍前は、バーベキューや「ヤミカラオケ」(むなしさ悲しみをかみしめるような曲限定のカラオケ)と、定期的な「遊び」を楽しんでいたwithnewsチーム。
それって、チームビルディングのため? そんな「理由」がなくても、遊べていた頃が懐かしい。
今年は2年ぶりの「書き初め」をしました。
なんとなく、「今年1年の目標」をしたためる場、になりつつあります。
朝日新聞本社(東京・築地)の地下会議室。取材などで来られない人もいて、この日集まったのは5人。
普段は、在宅勤務が多く、会議もオンラインなので、こうやってリアルに顔を合わせることも減りました。
「コポコポ……」
静かに持参した「墨汁」をそそぐ奥山晶二郎編集長。
「ちょっと練習させて」と立ち上がります。「書き初め」大会の最初の字。
メンバーが見守る、静寂の中。
「う、うまいっ!うますぎる!」
書き初め「初参加」の高橋健次郎記者が息を飲みます。
迷いのない筆運び。そう、何を隠そう書道をたしなんでいた奥山さん。
「寡黙」な性格も相まって、今日はそこにいるだけで「書道家」感が漂います。
奥山さんの「練習」で勢いを付けて、メンバーが続々と「書き初め」の練習を始めました。
ここで、一応確認しますが「書き初め」とは。
「書く言葉決めてきたんですよ!」
高橋さんが筆を走らせます。
「あああああ!!! しまった!!!!」
うずくまる高橋さん。「脈動って書こうとしてたんですよ……」
昨年末にwithnewsに加入した高橋記者。社会福祉士、精神保健福祉士の資格も持つ、スーパー記者なんです。こう見えて。
ネタじゃなくて、こうなっちゃうって、すごい。
次に立ち上がったのは、水野梓副編集長。
昨年はけがに泣いたことから、「私は『転ばず』って書く~~」と語っていましたが、事前調査の結果、「書き初めって『否定形』避けた方が良いらしい」と言葉をチェンジ。
勢いのある「自由」を書いたところで、固まってしまいました。
その間、3秒。
「『自由カッタツ』って書こうとしたんだけどなぁ……」
「闊達」が分からないまま書き始めてしまったそうです。ちなみに、自由闊達とは「心がひろくのびやかで、何のこだわりもなく振る舞うさま」(広辞苑)。
なんか、もう行動そのもの合ってるから、いいんじゃないか。
すみません、長々書いてますが、実はまだ「練習」です。
さてここから「本番」。
改めて、奥山編集長が「書き初め」。
選んだ言葉は……
「みんな……大好き?」
高橋さんが、先を想像してちょっと冷や汗をかきます。何かトラウマがあるようです。
「みんな笑顔」
それを前に、笑顔がない奥山さん。
仁王立ち。
その刹那。
くちゃくちゃくちゃ……ポイッ!
いつも、どんな原稿も企画も「いいじゃんいいじゃん、やろうやろう」と言ってくれる、あの奥山さんの面影がみじんもない!
自分に厳しい!
気を取り直します。
奥山さんの「精神的支柱」である丹治翔記者が、とっさに「春の海」をかけます。
チャン、チャラララララ~~~
再挑戦で作り上げた「みんな笑顔」。マスク越しでよく見えないけど、きっと奥山さんも笑顔だったはず。
「そういえば2年前も、奥山さんは『笑顔』って書いてたなぁ」と丹治さん。
「みんな……」
あ、格上げされてる……?
「オンラインミーティングの司会をさせられている全世界の同志の気持ちを代弁しました。あと、『み』の文字、納得いってません」(奥山さん)
水野梓副編集長は、本番では「からだ元気」としたためました。
摂食障害など「からだ」をめぐる問題は水野記者の取材テーマでもあるところ。
「ここ数年、『食』やからだ、摂食障害をテーマに取材を進めていましたが、コロナ禍に入ってからますます『からだとこころって深くつながっているなぁ』と思います。
からだが健やかだと、きっと心も元気でいられるはず。そう思ってしたためました」(水野さん)
練習で「動脈」と書いちゃった高橋健次郎記者は、「動」一字に思いをたくしました。
「今年は、以前からあたためていたテーマにチャレンジしたり、新たに関心分野の勉強を始めたり。少しずつ『動』き始めたいと思います。この少しずつ感が出るように『脈動』を書こうと思ったのですが…。本番ではシンプルに一字にしました。でも『動脈』みたいに勢いがあれば、それに越したことはありません!」(高橋さん)
丹治翔記者が一発本番で書いたのはこちら。
「……楽(らく)だとぉ……??」
昨年、丹治さんから「副編集長」業を継いだ水野さんから冷たい声。
「ち、ちがいますよぉ!」と丹治さん。
「社会人として色々と成果を求められる今日このごろですが、『まずは自分が楽しく仕事をして、その結果、良いコンテンツを発信していきたい』という思いを込めました。周りからは『らく』としか読まれなかったのですが……」(丹治さん)
「父親のモヤモヤ」などの企画を担当しつつ、平日の朝は、音声SNS「Clubhouse」でDJも務めています。
松川希実記者は「ヨコ文字」で挑みました。
「新進気鋭の書道家がいる!」「顔がよく見えないのも現代アーティストっぽい」と評された、水野さん撮影の写真はこちら。
勢いよくしたためたのは「Care(ケア)」。
「松川さんっぽい」と丹治さん。「やさしい日本語」や多言語発信、「となりの外国人」がテーマです。
「ここに来るまで『成長』的な目標をちゃんと書こうと考えていました。でも年末年始、水野さんに勧められて見たNetflixの『クィア・アイ』にはまりまして。番組内でよく言われているのが『自分をケアしなければ、誰かをケアできない』って。ああ、これだなぁ、と」(松川さん)
苦しい時期が続くと、社会では、何をするにも「実績」や「結果」に直結するような「理由」が求められがちです。
じゃあ、「書き初め」って何のためにしてるの?
チームの結束?
広報??
そういえば、元日の朝日新聞、哲学者の鷲田清一さんのコラムで、こんな言葉がありました。
書き初めやったっていい!
遊びでやっていい!
遊び心と会話を大切に、誰かの心に届く、ちょっと深い発信をこれからもしていきたいと思います。
本年もよろしくお願いいたします!