IT・科学
コロナ禍の「からだ」との向き合い方 コントロールできるって本当?
摂食障害の患者が急増…その理由は

コロナ禍で心の健康にもさまざまな影響が出ているこの2年。子どもの摂食障害の患者数も急増してしまいました。緊急事態宣言でやりがいや気晴らしが失われ、〝コロナ太り〟といった言葉も目につきやすい環境。「自分でコントロールできる」と考えられる体重・食事に意識が向かってしまう子が多かったといいます。
摂食障害の子どもの患者が急増
摂食障害のひとつ「神経性やせ症」は「拒食症」とも呼ばれ、食事を極端に制限したり、食後に吐き出したり過剰な運動をしたりして、正常な体重よりも明らかに低くなる病気です。最悪の場合、命を落とすケースもあります。

〝コロナ太り〟への警鐘が…
子どもたちが摂食障害に陥るきっかけとして急増したのは「やりがい」「気晴らし」が失われてしまったことだといいます。
部活動などの発表会や競技会がなくなった、友人たちと遊べない、ステイホームで居場所がない……。
日本摂食障害協会理事長の鈴木眞理さんは「子どもにとっての1,2年はとても長く、影響が大きい。大人だって落ち込む状況なのに、子どもならなおさらでしょう」と指摘します。

国立成育医療研究センターが実施した「コロナ×こどもアンケート第5 回調査」(2021年2月~3月に実施)では、6~18歳の回答者約500人のうち76%に何らかのストレス反応がみられたそうです。
鈴木さんは「『コロナ太りや運動不足に気をつけて』といったささいな一言や、SNS・インターネットの誤ったダイエット情報などが、過度な『やせ』や摂食障害へ向かわせてしまう」と指摘しています。
病院選びも手探りな摂食障害
160センチの女の子は、一時34キロまで体重が減ってしまいましたが、「入院治療」を勧められたときにハッと気づいて「食べる」ことを再開します。
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「それなのに摂食障害になってしまっても、病院選びすら手探り。本人だけじゃなく親も孤独になりがちです」「こころの回復はなかなか目に見えませんが、社会の認知度が上がり、あたたかく見守ってもらえるようになるといいなぁと思います」
暮らしが大きく変わるストレスのなか、自分の意識で何とかできるような、そしてなんとかしなきゃいけないように感じる身近な「食べ物」や「からだ」。それに目が向いてしまうのは当然のことと思います。
摂食障害を親身になって治療する医療機関がさらに増えたり、ピアサポートが充実したりしてほしいと願います。

出典: ※画像はイメージです GettyImages
からだはコントロールできる?
ここ数年、記者はそう感じるようになってきました。「からだはコントロールできる」という考えが、「病気は予防できるもの」といった自己責任論にもつながるように感じます。
もちろん、暴飲暴食をしまくって運動を全くせずに生きていきましょう!とおすすめしたいわけではありません。
管理ではなく「整える」ような、「からだが心地のよいものを(できるだけ)選ぶ」のが、今の自分には一番フィットしています。そうすると心持ちも元気でいられるような気がするからです。

〝適切なダイエット〟に取り組んで一見、体重管理に成功したような気がしても、少しずつムリが積み重なっていたら、どこかでボロが出るような気がします。それに、社会の「やせプレッシャー」や「他者の外見への評価」をずっと気にして生きていくのもしんどいです。
どうしてやせてなきゃいけないのか
そんなささいな出来事がきっかけで、「摂食障害」という心の病気になってしまうことがある――。

「体型に悩んでいたのはわたしだけじゃなかった」という気持ちと、「なんでこんな思いをしなきゃいけないんだろう?」「どうしてやせてなきゃいけないんだろう?」という気持ちが芽生えました。
「やせた方がいい」社会の風潮
磯野さんにお話を聞くと、「そりゃあ『やせたい』と思いますよね。社会に『やせた方がいい』という風潮が強すぎるから」と話してくれました。
その瞬間、「そうか、社会の『やせた方がいい』というメッセージに合わせなきゃと思っていたんだ」と視界が一気に晴れたのを思い出します。
そんなことに気づいて、「人のからだに『やせろ』と言ってくる方がおかしいな」「人の外見に口出しするって恥ずかしいことだな」と感じるようになりました。
切っても切り離せない「からだ」
外見で人を評価したり、「見た目」が不必要な場面でも外見で判断したりといった「ルッキズム(外見による差別や偏見)」が批判されるようになり、人の外見に言及するべきではないという考え方も広まってきています。

自分とは切っても切り離せないからだ。まるっとすべてを愛せなくても、相棒にできたら生きやすくなると感じたからです。
2022年は、自分の「からだ」を全力で否定するような人が少しでも減ったらいいなと思います。
コロナ禍を経て、「太るのが嫌で食べるのが怖くなった」「食事量が減った」など、子どもの「食べる」にまつわる変化はありましたか。ご意見や体験談をこちら(https://forms.gle/LzT2fKs6wzgxdrMP9)までお寄せ下さい。