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IT・科学

減り続けた体重は34キロに、いよいよ「入院治療」でハッと気づいた

コロナ禍で摂食障害に…親子の苦闘

サラダしか口にできなくなってしまった女の子。それでも、できるだけ栄養をとったり「食べたい」と感じたりできるよう、親子で道の駅を回って新鮮な野菜を探したといいます
サラダしか口にできなくなってしまった女の子。それでも、できるだけ栄養をとったり「食べたい」と感じたりできるよう、親子で道の駅を回って新鮮な野菜を探したといいます 出典: ※写真はイメージです Getty Images

目次

コロナ禍でさまざまなストレスが重なり、だんだんと食事がとれなくなってしまった10代の女の子。口にできるのはサラダくらいで、160センチの身体は一時34キロまでやせてしまいました。摂食障害から回復していく過程で、体型にコンプレックスがあり、友人たちから何げなく体型をからかわれた言葉に傷ついていたと気づいたそうです。コロナ流行後、心身に起きた変化を女の子とその母に聞きました。

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摂食障害とは:ふつうに食べられなくなる心の病気。食事を制限したり、むちゃ食い後に嘔吐・下剤を乱用するなどの排出行為をしたりしてやせてしまう「神経性やせ症(拒食症)」と、むちゃ食い発作がある一方で排出行為をして体重は正常範囲の「神経性過食症(過食症)」に大きく分類されます。やせ願望や肥満恐怖があり、自己評価に体重・体型の過剰な影響があります。専門的治療が必要です。(参考:厚生労働省eヘルスネット

休校で気持ちがふさいで…

都内に住む高校1年生の女の子は、コロナの流行が始まりつつあった昨春は中学3年生でした。学校や友達が大好きで吹奏楽部の部活にも打ち込んでいました。

しかし4月、緊急事態宣言で中学校は休校に。友人と話すことも遊ぶこともできなくなり、だんだんと気持ちがふさいでいったといいます。

同じ頃、同居する祖父の体調が悪化。1日おきに点滴するなど自宅で療養していました。

女の子は「おじいちゃんは食べられないのに、自分は食べていいのかな」という思いが心によぎったといいます。

介護で忙しそうな母にはそんな気持ちを打ち明けられず、ひたすら受験勉強に取り組んでいました。

「重い」肉や揚げ物、口に運べない

以前からふっくらした体型にコンプレックスがあり、軽いダイエットに挑戦したことはありました。しかし休校をきっかけに、ネットで「低糖質レシピ」を調べて母親に渡したり、朝5時に起きて勉強したり……食事や生活に「マイルール」が増えていきました

最終的には大好きだった白米も受けつけず、肉類や揚げ物といった「重い」ものが口に運べなくなり、サラダばかりを食べていました。
「重い」揚げ物や肉は食卓に出ても手をつけられない。「どう思われるか分からない」のが不安で仲のいい友人にも病状を相談できませんでした
「重い」揚げ物や肉は食卓に出ても手をつけられない。「どう思われるか分からない」のが不安で仲のいい友人にも病状を相談できませんでした 出典: ※写真はイメージです Getty Images
6月に分散登校が始まっても、鬱々とした気持ちは上向きませんでした。友達と話しても気疲れするし、思うように楽器も吹けない――。

女の子の母親は「様子がおかしいので色々と調べましたが、『まさか摂食障害なんて』と信じたくない気持ちもありました」と振り返ります。

摂食障害の治療、3カ月待ちの病院も

体重が減って生理が止まり、7月には産婦人科を受診。「摂食障害」の治療を掲げている病院も訪ねましたが、「もっと重症の人を先に治療するので3カ月待ち」と言われました。

夏休みに受診したクリニックでは医師から「低体重と低血圧だから、勉強もスポーツもしてはいけない」と厳しく責められ、女の子はパニックになってしまいました。受験勉強に励むことが気持ちの支えになっていたからです。
摂食障害を治療してくれる病院探しも手探りだったといいます
摂食障害を治療してくれる病院探しも手探りだったといいます 出典: ※画像はイメージです Getty Images
9月に通い始めた専門病院では同様に体重による行動管理があり、「体重が減ったら受験ができないかもしれない」という不安から負のループに入ったといいます。

とはいえ、周囲から「太った?」などと言われるのは耐えられない。体重を増やすのも減らすのも、食事するのも病院に行くのも怖く、親子ともに気がおかしくなるような気持ちだったそうです。

34キロで勧められた入院治療

体重の下降傾向は続き、昨年の冬ごろには34キロに。いよいよ「入院治療」を勧められました。しかし、そこで初めて女の子は「入院したら、食べたくもないものを食べさせられる生活になる。自分は一体何をしていたんだろう」とハッとします。

「私、食べる」

そう宣言し、親子でスーパーやコンビニを巡って「何か食べられるものがないか」探したといいます。

「ジャングル」のようなコンビニ

久しぶりに入ったコンビニは、女の子からすると「ジャングルみたい」でした。あまりにもたくさんの食べ物がある。でも、どれを食べていいのか分からない。

糖質を控えた表示のパンを見つけ「これなら食べられるかも」と試したところ、そのおいしさに驚きました。
母親は「これがきっかけになって、食べる抵抗感や怖さが減っていったようです。店員さんも明るく声をかけてくださったのがありがたく、毎日のように通いました」と話します。

冬に体重を増やし、個別登校や個別指導の塾にも通いながら、勉強に励みました。努力が実って高校に合格したときは親子で喜んだといいます。
糖質オフのコンビニのパンを食べたのがきっかけで、だんだんと回復に向かった女の子
糖質オフのコンビニのパンを食べたのがきっかけで、だんだんと回復に向かった女の子 出典: ※写真はイメージです Getty Images

普通に食べることがどれほど幸せか

今は、しっかり話を聞いてくれる医師のいるクリニックに出会いました。カウンセリングにかかりながら自分の気持ちを打ち明ける中で、過去に友人たちから何げなく言われた「体型への言葉」に傷ついていたことに気づいたといいます。

体重へのこだわりも減ってきて、怖かった「重い」食べ物も少しずつ口にできるようになってきました。母親は「少しずつ心身を回復させて、充電しているところ」と言います。
だんだんと食べられるようになり、回復しているところだといいます
だんだんと食べられるようになり、回復しているところだといいます
出典: ※画像はイメージです GettyImages
「娘に笑顔が戻ってきて、『みんなで食卓を囲むときが一番幸せだね』と話しています」

こうして普通に食べることがどれほど幸せなことか、気づいたといいます。

こころの回復、見守ってほしい

「適切にダイエットをすればいい」といった偏見がまだまだ根深い摂食障害。

母親は「勉強でも何でも完璧にやろうと頑張る娘も、『休むのは甘えじゃないか』と自分を責めてしまっていました。でも『やせていた方がいい』という社会の価値観のなかで、重症度はあれど誰でもなりえる病気だと思いました」と言います。

「それなのに摂食障害になってしまっても、病院選びすら手探り。本人だけじゃなく親も孤独になりがちです。幸い、我が家は学校や周囲の理解があって助かりました。こころの回復はなかなか目に見えませんが、社会の認知度が上がり、あたたかく見守ってもらえるようになるといいなぁと思います
◆体験談をお寄せ下さい
コロナ禍を経て、「太るのが嫌で食べるのが怖くなった」「食事量が減った」など、子どもの「食べる」にまつわる変化はありましたか。ご意見や体験談をこちら(https://forms.gle/LzT2fKs6wzgxdrMP9)までお寄せ下さい。
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