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「桔梗信玄餅」の容器、コペルニクス的進化「黒蜜も余さずいける!」
異様な熱気で迎えられた新商品「極」。
山梨みやげのロングセラー「桔梗信玄餅」に、容器が丸ごと食べられる画期的な新商品が誕生しました。環境にも胃袋にも優しい容器として白羽の矢が立ったのは、最中(もなか)。黒蜜との相性バツグンな最適解と言えそうなチョイスですが、その選定と商品化には、実に半世紀ものトライアル期間を費やしたとのこと。その壮大な研究開発の理由を、製造・販売する桔梗屋に聞きました。(北林慎也)
「桔梗(ききょう)信玄餅」は、きな粉のお餅と黒蜜で知られる銘菓。桔梗屋(山梨県笛吹市)が製造・販売し、山梨の旅行・観光の定番みやげとして知られています。
ネスレ「キットカット」や赤城乳業「ガリガリ君」などと組んだ黒蜜きな粉風味のコラボ商品を積極展開し、自社ラインナップにもプリンやアイスといった人気バリエーションをそろえる桔梗屋ですが、看板商品の桔梗信玄餅は頑なに、きな粉のお餅と黒蜜をプラスチック製の容器と袋で優しくバンドルする定番スタイルを変えていません。
原料にこだわった上位商品の「プレミアム桔梗信玄餅吟造り」でも、それは不変です。
ところが今月24日、まさかの新商品「桔梗信玄餅 極(きわみ)」が発売となりました。
従来のプラスチック製容器に代えて、カタチはそのままに材質を最中(もなか)の生地に変更。「容器ごと食べられる」利点を強く打ち出したのです。
甲府市など山梨県内の直営3店舗での限定販売でしたが、地元メディアが報じるとSNSで全国的に拡散しました。
多くの人に驚きと称賛をもって迎えられています。
こうした反響もあって、早くもフリマアプリでは、価格上乗せで転売される事態となっています。
クリスマスイブに異様な熱気で迎えられた、もなか製容器の数量限定バージョン「極」。
あらためて桔梗屋に「極」開発の理由と、半世紀越しの商品化に至った経緯を聞きました。
実は、桔梗信玄餅が発売された1968年の時点ですでに、「容器も丸ごと食べられるようにしてほしい」との要望が顧客から寄せられていたそうです。
それに応えるべく、早くから「食べられる容器」の商品化を模索してきました。
しかし、研究開発はなかなか進みませんでした。
「まず『食べられる容器』を決定するまでに、さまざまな食品を試しました。その中から、お餅やきな粉、黒蜜と相性の良いもなかの使用を決めると、今度は、もなかの強度や作業性、販売価格の問題などで、なかなか実現することができませんでした。また、従来の桔梗信玄餅の需要に応えるための努力もありましたので、『桔梗信玄餅 極』の発売までに約50年かかりました」(桔梗屋)
それでも、4代目社長だった中丸眞治相談役の陣頭指揮で根気強く試行錯誤を続けた結果、「お餅やきな粉、黒蜜との相性もよいことから、(食べられる容器は)もなかに決定いたしました」とのことです。
今回の大反響については「今までにないお菓子なので、お客様の反応を楽しみにしておりましたが、想像以上に反響をいただきまして、大変嬉しく思っております」。
そのうえで、「お客様に工夫していただくことにより、食べ方の幅も広がりますので、楽しんで召し上がっていただきたいです」と、味わう人それぞれ思いおもいの食べ方を勧めています。
製造数に限りがあるため現在は3店舗でのみの販売ですが、今後、取り扱う直営店を増やしていく予定だそうです。
桔梗信玄餅にとって、まさにコペルニクス的転回とも言える「極」の誕生。
大多数の歓迎の声の一方で、SNSでの反応の中には「あの包装のビニールを活用して食べるのが良いんだよ、という寂しさも感じる」といった、長く愛されるベストセラーゆえの複雑な心境の吐露もありました。
こうした懸念に対して桔梗屋は、「あくまでお客様に喜んでいただきたいという思いで、『桔梗信玄餅 極』を開発いたしました。従来の桔梗信玄餅は今まで通り販売を続けていきます」と、プラスチック製容器のレギュラー版の継続販売を明言しています。
全国のファンに向けてこれからの意気込みを聞いたところ、「今後も新しい視点・切り口で、お客様が『あっ』と驚くような新商品やイベントを展開していきますので、ぜひ楽しみにしていただきたいです」と、桔梗信玄餅のさらなる進化に含みを持たせています。
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