連載
#113 ○○の世論
維新に投票したのはどんな人? 比例区の投票、年代からわかったこと
お年寄り頼みの政党は〝退潮〟傾向に
10月31日に投開票された衆議院選挙で、自民党は国会を安定的に運営できる「絶対安定多数」の261議席を確保しました。野党は立憲民主党が議席を減らす一方で、維新が躍進しました。朝日新聞社などが実施した出口調査で、比例区の投票先について年代別の傾向を分析すると、今回の選挙、ならではの傾向が見えてきました。(朝日新聞記者・植木映子)
自民は甘利明さんが選挙区(神奈川13区)で敗れて幹事長を辞任するなど、選挙区では苦戦が目立ちました。ただ、比例区は議席を公示前の66から72に増やし、全体としては15議席の減に踏みとどまりました。
逆に立憲は、野党一本化で選挙区では健闘しましたが、比例区では61→39に大きく減らしました。
比例区だけでみると、自民、維新、公明、国民、れいわ新選組がプラスで、立憲、共産がマイナスという結果でした。
朝日新聞社などが投開票日に実施した出口調査で、比例区で各党に投票した人の年代別の内訳をみてみます。
自民・公明・立憲・共産は、いずれも70歳以上が最も多い結果になりました。
中でも、立憲は60代21%、70歳以上35%を合わせた高齢層が56%と、5割を超えました。共産も、60代20%と70歳以上38%を足すと58%。立憲、共産ともに投票した人の高齢化が目立ちます。
自民は高齢層が47%。一方で、30代は10%、40代は16%と、それなりの割合を占めています。公明は高齢層が49%でした。
日本維新の会は、公示前の11議席から大幅に増やし、41議席を獲得。第3党に躍り出ました。そのうち、比例区では8→25と3倍増です。
比例区で維新に投票した人の年代別内訳をみると、これまで見てきた4党とは様相が異なります。
70歳以上が22%と、割合としては最多ですが、立憲や共産より格段に少なく、60代の18%を合わせた高齢層も4割にとどまります。40代・50代がそれぞれ2割にのぼるのも特徴で、維新に投票した人の内訳は、ほかの政党に比べると現役世代が厚めでした。
国民民主も比例区は2→5議席に、れいわ新選組も1→3議席に増えました。
比例区で国民に投票した人は、年代別では40代が最も多く20%。次いで50代と70歳以上の17%です。60代+70歳以上の高齢層は30%と、ほかの政党と比べて低めでした。
れいわは、40代28%、50代22%の中堅層で半数を占めました。高齢層は60代12%と70歳以上9%を合わせても21%しかいませんでした。
歴史が浅くて「若い」この2党の議席増を支えたのは、若い世代だったと言えます。
有権者に占める高齢者の割合は年々高まっていて、しかも高齢者は若者よりも投票率が高い傾向があるので、若者の支持が厚い政党の方が有利だと単純には言えません。
ただ、今回の出口調査の結果からは、高齢層頼みの傾向が強い政党は、比例区で退潮傾向にあり、現役世代からの支持が厚めの政党は、議席を増やす傾向があったことがうかがえます。
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