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連載

#86 ○○の世論

政権交代してほしいけど…投票先は「自民」世論調査に現れた〝内実〟

「政治とカネ」への不満、受け皿になれない「立憲」

2019年の参院選では河井克行氏の妻案里氏の応援にも入った菅義偉氏=広島県福山市
2019年の参院選では河井克行氏の妻案里氏の応援にも入った菅義偉氏=広島県福山市 出典: 朝日新聞

目次

いまの衆院議員の任期は今年10月までのため、それまでに必ず衆院選があります。今年は、小選挙区比例代表並立制による衆院選が実施されるようになって25年。有権者は、一票に何を託すのか。朝日新聞社の全国郵送世論調査で聞きました。(朝日新聞記者・磯部佳孝)

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「衆院選による政権交代」への期待じわり

郵送調査は今年3月上旬から4月中旬にかけて、全国の有権者3000人を対象に行いました。回収率は73%。この調査では、これからの首相交代のあり方について、前回2020年と同じ質問をしました。

 

前回とくらべると、今回は、衆院選による与野党の政権交代が46%から50%にじわりと増えました。一方、自民党内で首相が代わる「疑似政権交代」は44%から35%に減りました。

前回と今回の調査の間には、自民党総裁選で安倍晋三氏から菅義偉首相への「疑似政権交代」が20年9月にありました。「疑似政権交代」を体感した有権者のなかには、代わり映えのなさを感じた人もいたのかもしれません。そのことが、今回の結果に影響したようです。

支持政党別では、どうでしょうか。

 
 
 

自民支持層では、「疑似政権交代」が76%→64%に減り、「衆院選による」は19%→25%に増えました。野党第1党の立憲支持層では今回、「衆院選による」89%が「疑似政権交代」4%を大きく上回り、無党派層も「衆院選による」62%、「疑似政権交代」17%でした。

「政治とカネの問題」への関心高まる

衆院選による政権交代への期待がじわりと高まるなか、有権者は何を重視して一票を投じるのでしょうか。今回の調査では、8つの事柄について、どの程度重視するかを4択で尋ねました。

 

「大いに」「ある程度」を合わせた「重視する」は、「景気・雇用」95%がトップ。次いで、「社会保障・福祉」94%、「外交・安全保障」88%、「新型コロナウイルスの感染拡大の防止」と「環境・エネルギー」85%、「政治とカネの問題」84%、「女性活躍の推進」73%、「憲法」71%の順番でした。

ところが、「大いに重視する」に注目すると、「政治とカネの問題」への関心の高まりがみえてきます。

「大いに重視する」は、「政治とカネの問題」53%が「景気・雇用」54%と「社会保障・福祉」53%にほぼ並びました。次いで、「新型コロナウイルスの感染拡大の防止」41%、「外交・安全保障」39%、「環境・エネルギー」36%、「憲法」23%、「女性活躍の促進」22%と続きました。

昨年から今年にかけて、自民党議員だった閣僚経験者らによる贈収賄事件など、「政治とカネの問題」にまつわる事例が相次いだことで、有権者の注目が集まっているようです。

「大いに重視する」を男女別で比べると、「新型コロナ」は女性45%が男性37%を上回り、「社会保障・福祉」では女性56%、男性48%、「女性活躍の推進」でも女性25%、男性19%と女性が上回りました。一方、「外交・安全保障」は男性45%が女性34%を上回りました。

支持政党別では、「政治とカネ」を「大いに重視する」は、自民支持層42%に対し、立憲支持層75%、無党派層55%でした。

でも内実は…

一見すると、与党である自民党に逆風が吹き、立憲をはじめとした野党に追い風が吹いているのかと思わせる結果です。しかし、その内実は異なるようです。

衆院選の比例区投票先について、「仮に今、投票するとしたら」と聞いたところ、次のような結果でした。

 

自民党46%が立憲16%を大きく上回りました。さらに、「衆議院選挙による政権交代」と答えた人でも、自民27%、立憲28%でした。

今回の調査では、第2次安倍政権下で行われた17年衆院選と19年参院選での比例区投票先についても聞きました。このうち、2回とも自民に投票した人の86%が、衆院選の比例区投票先を自民と答えました。一方、2回とも立憲に投票した人の87%が、衆院選の比例区投票先を立憲と回答。2回とも投票に行っていない人では、自民43%、立憲13%、「答えない・わからない」22%でした。

衆院選による政権交代への期待感は高まっているものの、いざ一票を入れるとなると、野党第1党の立憲よりも与党自民党を選ぶ有権者の意識が浮き彫りとなりました。

そうした意識は、「政治とカネの問題」を「大いに重視する」と答えた人にも表れています。衆院選の比例区投票先は、自民36%、立憲21%でした。立憲が自民への批判票の受け皿になりえていないことがわかります。

そもそも、有権者は自分の一票の力をどのように感じているのでしょうか。今回の調査で、選挙のときの一票に、政治を動かす力があると思うかを聞きました。この質問は、民主党政権時代の2010年と2011年にも聞いています。

 

今回は、「ある」47%、「ない」49%と割れました。民主政権の時とくらべると、「ある」が10年56%→11年55%→21年47%と減っています。有権者にとって、投票がもつ政治への影響力に懐疑的な意識がうかがえます。

年代別をみると、70歳以上だけ、「ある」55%が「ない」40%を上回りました。60代で「ある」48%と「ない」47%が割れ、50代以下では「ない」が過半数でした。

小選挙区制のもとでの25年間で、政権交代は2009年と12年の2回ありました。12年12月に政権を奪還した第2次安倍政権は、5回の国政選挙を勝ち続け、7年8カ月という最長政権を築きました。多くの有権者にとって、自分の一票によって政権が代わる、という現実感が乏しくなっているのかもしれません。

衆院議員の任期満了まで、半年を切りました。有権者は、どのような選択をするのでしょうか――。


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