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連載

#11 withnewsスタッフブログ

「女性だから任命した」と伝えるモヤモヤ withnewsスタッフブログ

先輩に素直な気持ちを打ち明けたら……

出典: PIXTA

目次

組織のジェンダーの多様性は大事だけれど、かといって女性の自分に「多様性が大事だから任命したよ」と言われるとモヤモヤしてしまう――。そんな自分の思いを、先輩と話し合った体験をつづります。

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ジェンダーギャップ120位の現状

世界経済フォーラムが3月に発表した「男女格差(ジェンダーギャップ)報告書」で、日本は世界156カ国中120位(前年121位)でした。偏ったジェンダーによる組織の問題は、新聞社も当事者として考える必要があります。

「男女格差」を埋めるため、例えば政治の世界では、候補者や議席の一定割合を男女に割り当てる「クオータ制」の導入が叫ばれています。女性を含めたマイノリティーの声が届いていないという現実はあり、「管理職を男女同数にする」とか「イベント登壇者のジェンダーに多様性をもたせる」といった目標を掲げたり、仕組みをつくったりすることは必要だと思っています。

出典:朝日新聞デジタル

ただ同時に、その人を職務に任命したり、イベントの登壇などを依頼したりする時に、その理由を「あなたの性別が○○だから」と思わせてしまうのは、「その人の能力ではなく〝ラベル〟の方が大事ですよ」というメッセージになりかねないとも感じます。

先輩からバトンを引き継ぐとき

そんなことを思ったのは、4月から自分の立場が少し変わったからです。withnews編集部の配属になり、副編集長を担うことになりました。入社2年目に大分総局でお世話になり、信頼している先輩からバトンを渡されました。「引き継ぐ」大切さを実行した先輩の姿勢には、尊敬しかありませんし、身の引き締まる思いです。

わたしがwithnewsに関わり始めたのは6年前、大阪で紙面の編集者をしている頃でした。紙面とは違った発信のカタチがすごくフィットして、マンガ『夜廻り猫』の連載を始めたり、医療情報の発信を考えるイベントを開いたり……さまざまなチャレンジをしてきました。

手渡された副編集長のバトンも、そんなwithnewsらしさの延長にあると感じています。

withnewsでの夜廻り猫の連載は50回を超えました
withnewsでの夜廻り猫の連載は50回を超えました 出典:https://withnews.jp/articles/series/6/1

でも、交代を告げられたとき、先輩からは「ジェンダーバランスを考えても、編集長と副編集長の計3人が全員男性というのはよくないよね」とも言われました。その理由だけで選ばれたのだとしたらうれしくないなぁと、胸に引っかかってしまいました。もちろん、それだけでないとは分かっているのですが……。

「“私だから”じゃなくて“女性だから”」なのか

作家の小野美由紀さんは以前、SNSでこのように発信していました。

有識者会議的な場に呼ばれる時「ジェンダーバランスを考慮して、女性を入れたいと思いまして」と言われる事が度々あるんだけど、たとえそうだとしても言わないでほしい。「あ、"私だから"じゃなく"女だから"なんだ」と思うと一気にモチベーション下がるし、無意識的にジェンダーロールを負ってしまうから。

自分の経験を振り返ってうなずくばかりでした。これまで別のプロジェクトを任される時、「女性ならではの視点を~」「女性が少ないから~」と直接言われたことがあったからです。

とはいえ、「まずは見える形で女性を増やすことが大事だろう!」という意見もごもっともです。たとえばわたしが関心を持っている結婚時の名字の問題では、9割以上の女性が改姓しているという不平等があります。選択的夫婦別姓の制度導入を考える場には、マイノリティー側の立場の人を必ず加えてほしいと感じます。

ただ、そこに割り当てられるのはひとりの人間です。もしかしたら、戸籍上の性別に違和感をおぼえているかもしれないし、「女性の意見の代表なんてできない」って尻込みしてしまうかもしれない。

「そんなことを言ったら始まらないよ」とも思いつつ、そのラベルの先にいる個人の思いにもできる限り心を寄せたい。
わたしが夢見ているのは、ジェンダーというラベルにかかわらず、誰もが活躍できるようになったあとの世界なのかもしれません。

現前する性別による格差を埋めるために「女性を増やす」ことは必要です。同時に、個人が任される職場の役職やプロジェクトの担当は、「男女格差を埋めるため」だけにあるわけではありません。その仕事に応じた目標があり、求められる能力と資質があるはずです。だから、本人に「女性だから任命したよ」と伝えるのは、やめにしませんか。

素直な思いを伝え合える関係

そんなことをぐるぐると考えてしまい、思わず先輩に正直な思いを話しました。先輩は「多様性を大事にしたいという自分の問題意識も分かっていてもらいたいと説明してしまったんだよね」と本音を語ってくれました。
「コミュニケーションのあり方として気づきがあった。言ってくれてありがとう」とも。

改めて浮き彫りになったこのモヤモヤ。でも、それを素直に伝えて話し合える編集部でよかったと感じました。

withnewsでは、さまざまな記事や発信を通して、それぞれの人が抱える多様なモヤモヤを丁寧にすくい取っていきたいと思っています。

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