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連載

#78 ○○の世論

福島県民の不安、世論調査でのリアルな数字 いま地元が心配すること

放射性物質への懸念、6割が「感じる」

常磐道の放射線量を測る作業員たち=2012年3月、福島県富岡町 ※画像の一部を加工しています
常磐道の放射線量を測る作業員たち=2012年3月、福島県富岡町 ※画像の一部を加工しています 出典: 朝日新聞

目次

東京電力福島第一原発の事故では、空間放射線量が特に上がった地域の住民が国の「避難指示」で強制的に避難させられ、それ以外の地域でも、被曝(ひばく)への不安から多くの住民が自主的に避難しました。事故から10年。多くの福島県民は今なお、放射性物質が自分や家族の健康に与える影響について、不安をぬぐい去れずにいます。(朝日新聞記者・四登敬)

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放射性物質への不安、下げ止まり

朝日新聞社と福島放送は共同で、事故の半年後の2011年9月から、福島県民が対象の世論調査をしてきました。翌12年からは毎年、2~3月に実施し、今年は2月20、21日に調査しました。

「事故による放射性物質があなたやご家族に与える影響」への不安は、計11回のすべての調査で聞いています。

事故半年後の調査では、54%が「大いに感じている」と答え、「ある程度感じている」が37%。合わせて91%の人が不安を「感じている」と答えました。

不安を「感じている」は、翌12年に78%まで減りました。街中や学校など身近な場所にあった放射性物質を取り除く除染作業が進むにつれて、減っていくように見えます。調査をした同年3月は、政府が警戒区域や計画的避難区域の除染の工程表を公表した後で、本格的な除染作業が始まろうとした時期でした。14年には、不安を「感じている」は68%に減りました。

ただ、その後は16年68%→18年66%と下げ止まっています。

最も少なかった20年でも56%が不安を「感じている」と答え、半数を下回ることはなく、今年2月の調査では、64%とやや増えました。

 

復興の道筋「ついた」も足踏み

この調査では、「福島の復興への道筋がどの程度ついたと思いますか」という質問も繰り返してきました。初めて質問した12年の調査で「ついた」は「大いに」0%、「ある程度」もわずか7%でした。「ついた」は、16年に36%、19年には初めて半数を超えて52%に増えました。

ただ、20年、21年はいずれも50%で足踏みしています。

 

避難指示が解除されても、戻ってくる住民は一部に限られ、福島第一原発の廃炉作業も大幅に遅れている。そんな中で、復興の道筋など描きようがないのかもしれません。21年調査で、廃炉作業が予定通り進むことを期待できるか尋ねると、「期待できる」は19%で、「期待できない」が74%を占めました。

被災者への関心薄れる不安

21年の調査では、「これから先、国民の間で福島第一原発の事故の被災者への関心が薄れていく不安を、どの程度、感じますか」という質問もしました。
「感じる」と答えた人は、「大いに」34%、「ある程度」45%で計79%に上ります。「感じない」は「あまり」17%、「全く」2%でした。

福島は、東日本大震災と福島第一原発の事故から10年の時間をかけて、着実に復興してきました。

ですが、事故による放射性物質が与える影響に不安を「感じる」人は6割強、復興の道筋が「ついた」と思う人は5割、被災者への関心が薄れていく不安を感じる人が8割います。

10年を経てもなお、事故は終わっていない。そんな福島県民の思いが、こうした数字に表れているように思います。

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