連載
#212 #withyou ~きみとともに~
「今日も塾か…」受験に行き詰まり取った行動、そばにいてくれた友
「早くテスト終われえええ」「遊びにいきたあああい」
連載
#212 #withyou ~きみとともに~
「早くテスト終われえええ」「遊びにいきたあああい」
金澤 ひかり 朝日新聞記者
共同編集記者土砂降りの雨の中、友だちと2人で叫んだ、「勉強したくなあああい」。現在高校2年生の女性は中学時代、勉強に行き詰まったときに一緒に気持ちを「叫んで」発散できる友だちがいました。「自分にとってベストなストレス発散方法を探してみて」と話す女性の経験を、イラストレーターのしろやぎ秋吾さんが描きました。
埼玉県に住む高校2年生のRさんは中学3年生の秋ごろ、高校受験や定期テストに備え、毎日塾にこもって勉強する生活が続いていました。
「勉強がとても苦手だったので、塾での目標は『できるだけいい点を取ること』でした」というRさんは、塾での缶詰生活で身も心も疲弊しきっていました。「定期テストが終わってもまだ受験もあるなあ…」「今日も塾か…」と、気分が晴れない日々が続いていました。
そんなRさんを支えていたのが、同じ塾に通う友人でした。
彼女とRさんは学校ではクラスが違いましたが、その分、塾でたくさんの時間を一緒に過ごしました。
塾の休み時間、二人の共通の話題である「乃木坂46」の動画を見たり、おしゃべりをしたりすることもあれば、友人が勉強に取り組む姿勢から「やる気をもらっていた」という側面も。「友だちは明るく元気で、場を和ませる大切な存在でした」
受験勉強も本格化してきた9月、プレッシャーに押しつぶされそうになっていたRさん。友人は、行き詰まるRさんを見かねてある行動に出ます。
ある日、自習をしていたRさんは、気分転換をしようと立ち上がりました。
自習室を出たRさんを追ってきたのはいつもの友人。外は土砂降りでしたが、外に出ようと誘われました。
二人は塾の外に出て、「トラック一周分くらい」の距離を走りながら、「早くテスト終われえええ」「遊びにいきたあああい」とシャウト。
塾の周りの、人通りが少ない場所を選んで気持ちを叫んだRさん。「走ると目が覚めるし、気持ちの切り替えができました」
「雨の中、しかも夜遅くに走ったことなんてなかった。走るのは疲れたけど、この子がいればこれからもきっと勉強して行けると思った」と振り返ります。
それ以降、何度か「走って叫ぶ」という気分転換方法を続け、Rさんは無事、志望校にも合格。友人とは違う高校に進みましたが、「いまでもとても仲良しです」。通学で使う電車内で会ったときには話に花が咲き、休みの日に遊びに行くこともあります。
ストレス発散の方法を、友人と一緒に見つけたRさんは、勉強や部活、友人関係などに悩む同世代のストレスもよく理解できるといいます。
「ストレスってそれぞれの対処法があると思うのですが、それを見つけるまでが1番大変だと思う」
「人に迷惑をかけない方法で、何かベストな発散方法があなたに早く見つかることを願っています」と話し、「ガチで走るのは疲れるけど、割とオススメできるストレス発散方法です」と付け加えました。
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