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連載

#96 「きょうも回してる?」

「平成といえばガラケー」 アンテナ出し入れ、押す感触…ガチャで

当時の「らしさ」を徹底的に再現

トイズスピリッツの「本当に録音再生!なつかしのガラケーマスコット〜+プラス」
トイズスピリッツの「本当に録音再生!なつかしのガラケーマスコット〜+プラス」

目次

2026年のガチャガチャ市場を語るうえで、欠かせないキーワードが「キダルト」です。昨年から続くこのトレンドは、今年に入ってさらに存在感を増しています。キダルト(Kidult)とは、「子ども(Kid)」と「大人(Adult)」を組み合わせた造語で、20代後半から40代のZ世代・ミレニアル世代を中心に広がる消費スタイルを指します。彼らは子どもの頃に触れた玩具やキャラクターに強い愛着を持ち、そこに癒しや安らぎを求める傾向があります。このノスタルジー消費が、ガチャガチャ市場にも大きな追い風をもたらしています。

ガチャガチャ評論家おまつの「きょうも回してる?」

玩具市場は過去最高

少子化が進む日本において、玩具市場はむしろ成長を続けています。

一般社団法人日本玩具協会の調査によると、2024年度の国内玩具市場規模は過去最高の1兆992億円を記録し、2019年度以降5年連続で増加しました。キダルト層は経済力があり、推し活ブームとも相まって、気に入った商品に積極的に投資する傾向があります。こうした背景が、ガチャガチャ市場の拡大を強力に支えているのです。

そんなキダルト市場の盛り上がりを象徴するアイテムとして、今回紹介するのが、トイズスピリッツが手がけた「本当に録音再生!なつかしのガラケーマスコット〜+プラス(以下、ガラケーマスコット)」です。

平成のガラケー文化

昨年11月に登場したこの商品は、手のひらサイズのガラケー型マスコットでありながら、実際に音声の録音・再生ができるという本格仕様。価格は500円。シルバー、ライトブルー、ピンク、ホワイト、ブラックといった懐かしいカラー展開も、平成のガラケー文化を知る世代にはたまらないポイントです。

このシリーズは、昨年6月に初めて発売され、11月に発売された「+プラス」バージョンは装飾要素を強化したものです。録音・再生といったコア機能はそのままに、ガラケーの風合いや個人に合わせた待ち受け画面を作れるようにしました。発売後、SNSでも反響が大きかったそうです。

トイズスピリッツの「本当に録音再生!なつかしのガラケーマスコット〜+プラス」
トイズスピリッツの「本当に録音再生!なつかしのガラケーマスコット〜+プラス」

ガラケーの本質を失わない商品

トイズスピリッツの代表の西村 圭太さんは「平成と言えば、ガラケーです。ガラケーの待ち受け画面は誰もがこだわりを持っていたと思います。新たなバージョンでは、より自分らしさを表現できるデコレーション性が加えられ、商品の色も本物のようにメタリックカラーで表現しています」と教えてくれました。

今や多くのメーカーによって、録音・再生できるガチャガチャがたくさん販売されていますが、トイズスピリッツの商品はこだわりが違います。

「お客様に喜んでもらうために、録音・再生のギミックだけではなく、コンパクトなサイズのなかに、いかにガラケーの本質的なものを失わずデザインと機能を融合させることにこだわりました」(西村さん)。

そのこだわりは、電池寿命や音質にも見られます。電池は使用頻度によりどのくらい維持できるかの確認までしていますが、特記すべきは、音質です。音のばらつきを抑え、音質をクリアにするために研究開発し、小さな筐体に高度な技術を詰め込むため、試作と改善を何度も繰り返したそうです。

コストは下げられるけど…しなかった

デザイン面ではコストをかけて、マスキング加工してメタリックカラーにしています。そして、量産したときの安定性までも確保するほど、ものづくりへのこだわりが詰まっています。まるでガラケーをそのまま小さくしたような完成度が伺えます。

ガチャガチャ業界は、いかにコストを下げ商品を作り、安い値段で商品を提供できるかがポイントになります。この商品づくりは間違いではありません。

ただ、西村さんは違いました。
「商品を作るうえで、コストを下げることはいくらでもできます。わざわざ本物のガラケーのようにマスキング加工をせず、一体成形して作ればコストは下がります。しかし、商品を購入していただいたお客様が本当に楽しんでもらえるかが大事なんです」(西村さん)。
トイズスピリッツのものづくりは遊び心と驚きを中心に据えています。特にガチャガチャは「何が出るかわからない」という体験そのものが魅力であり、そこにギミックを加えることで、より深い感動を生み出すことができるといいます。

2024年に愛知県豊橋市であった「サイバー!ポップ!ノスタルジー! 平成レトロ展」=戸村登撮影
2024年に愛知県豊橋市であった「サイバー!ポップ!ノスタルジー! 平成レトロ展」=戸村登撮影 出典: 朝日新聞

ものづくりの哲学、集大成

今回のガラケーマスコットは、ものづくりの哲学の集大成ともいえる存在です。録音・再生という機能を搭載しながら、当時のガラケーらしさを徹底的に再現。蓋の開け閉めからはじまり、ガラケーの色み、画面の雰囲気、アンテナの出し入れ、ボタンの押し心地、そして音質に至るまで、細部へのこだわりが詰まっています。スマートフォンしか知らない若い世代には新鮮に映り、ガラケー世代には懐かしさが刺さる。まさに世代を超えて楽しめるガチャガチャです。

録音する場合には、通話ボタンを押すと「ピッ」と音が鳴り、録音開始。もう一度通話ボタンを押すと、「ピッ」と音がなり、録音が終了。電源ボタンを押せば、録音した音声が再生する仕組みになっています。
西村さんのおすすめの使い方として、「個人で楽しむのももちろんですが、友達とのコミュニケーションツールの一環として楽しんでもらいたいです」と話します。

確かにスマホ全盛の今だからこそ、少しレトロ感のあるボタンを押す感覚や、音声を録音して残すという行為に、新たな価値を見出す人が増えているのかもしれません。ガラケーマスコットは、推し活アイテムとしても注目されており、録音した音声をプレゼントしたり、自分だけの待受音を作ったりと、使い方の幅が広がっています。

ガチャガチャ評論家おまつの「きょうも回してる?」
この連載は、20年以上業界を取材しトレンドをチェックしているおまつさんが注目するガチャガチャを紹介していきます。

     ◇
ガチャガチャ評論家・おまつ(@gashaponmani
ガチャガチャ業界や商品などをSNSで発信中。著書に「ガチャポンのアイディアノートーなんでこれつくったの?ー」(オークラ出版)。テレビやラジオなどのメディアへの出演や素材提供も多数ある。

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