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#71 #父親のモヤモヤ

男性育休のリアル「成長見られるの今だけ」「やりづらい」当事者の声

育休を取ってよかったことや家事育児について発信している人もいました。

写真はイメージです
写真はイメージです 出典: PIXTA

目次

#父親のモヤモヤ
※クリックすると特集ページ(朝日新聞デジタル)に移ります。

日本ではまだまだ少ない男性の育児休業。経験を聞いてみたくても身近にいない…ということもあるかもしれません。6月27日に開いたイベント「#父親のモヤモヤ・オンラインオフ会〜男性育休のリアル〜」には、育休取得者を中心に20〜50代の父親約10人が集まりました。子どもの成長をそばで見ることができ「育休を取ってよかった」と声をそろえた一方、働き方へはモヤモヤも。特に関心が高かった「復職後の働き方」と「夫婦関係」について、父親たちが話し合ったことを振り返ります。
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育休を取ろうと思ったきっかけは

<育休を取るきっかけについては、妻の負担を考えて決めた人、妻の体調不良が理由になった人がいた一方、「子育てに関わるのは当たり前」という意見も。少しずつ増えている男性育休には様々な背景がありました>

Aさん:子育てに関わるのは当たり前だと思っていました。仕事ばかりではなく、育児に関わって仕事もする。世の中、男性も女性もともに子育てをするという雰囲気が足りないように思います。

Bさん:すでに上の子がいたので、仮に私が毎日仕事を定時で上がったとしても、日中は妻に負担がのしかかります。妻が体を壊したら大変なので、出産直後、体のダメージが大きいときに育休を取りました。

Cさん:妻から取ってほしいと言われましたし、私も取ろうと考えていました。子どものかわいいときや成長を見られて、妻ともいろいろ話をしながら育児できたのでよかったです。

Dさん:2人の子どもそれぞれで取りましたが、きっかけは妻がメンタルを崩したことです。1人目のとき急きょ半年取った育休で妻の苦労がわかり、価値観が変わりました。これまで家事を全然やらないタイプでしたが家事全般を担当するようにして、育児・家事の理解が向上しました。

Dさん:人生で子どもの成長を見られるのは今だけ。そう考えると、もうちょっと家にいたほうがいいなと考えました。父親の育児を広めていきたいです。

写真はイメージです
写真はイメージです 出典: PIXTA

夫婦関係で気をつけていたこと

<夫婦関係で気をつけていたこととして目立ったのはコミュニケーションです。妻が産後うつになってしまったことに向き合い、結婚前より仲良くなったという人も。相談先や支援体制の弱さを指摘する声もありました>

Eさん:気晴らしに買い物に行くなど1人の時間をつくってもらいました。妻は元々コンサートへ行くことが好きだったので、子どもが3歳を過ぎたくらいからは行ってもらっていますね。

Fさん:お互い1人の時間をつくれるように、ホワイトボードでスケジュールを共有していました。育休明けは家事の外注を活用しています。ベビーシッターさんに来てもらったり、1週間分の料理をつくりおきしてもらう家事代行をお願いしたり。お金はかかるけれど、家族みんな笑顔になるならいいのかな。

Gさん:頻繁(ひんぱん)に妻としゃべるようにしています。いまは保活について、保育園ってどうなんだろうという話から、国としてはどうあるべきかまで話していて、2人としてどういうスタンスでいくのか、折り合いをつけることができました。また、週に1回「今週の僕の動きで気になることあった?」と妻に聞いてフィードバックをもらっていました。

Hさん:妻が産後うつになりました。20時間ぐらい寝込んでしまうこともあり、育児との板挟みで私も精神的にすり減った時期があります。周りでは産後うつになった人はいなかったし、ネットで同じような境遇のお父さんを探しましたがなかなか見つかりませんでした。

Hさん:そこから心の勉強をして自分と向き合うようにしたら、気持ちが楽になりました。今は夫婦で向き合って、結婚前より仲良くなったと思います。当時はなかなか人に話せませんでしたが、自分で情報発信をするようになりました。

Aさん:夫婦だけではどうにもできないこともあると思います。一つが(愛情が急速に冷え込む)「産後クライシス」。昔は親戚などたくさんの人が関わっていましたが、いまは核家族になって夫婦だけで子育てをしている。助けを求めるにも社会の支援、相談先がまだまだ足りないように思います。

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写真はイメージです 出典: PIXTA

復職後の働き方は……

<育休を取る男性社員が少なく、復帰後、子育てをしながら働くことの大変さが伝わりにくい現実があります。そのため、家庭の状況やできること・できないことをこまめに伝えるなど、情報共有に心を配っている父親が目立ちました>

Iさん:育児を最優先にして、保育園のお迎えもなるべく夫婦で分担してやるようにしています。自分たちが無理をしないことを前提にしているので、会社にも了承してもらい仕事は17時までと割り切っていました。「この期間はこれくらいまでしかできません」と職場の方にも伝え、働き方を変えました。

Bさん:チーム内で子育てしているのが僕しかいないので、子どもがいるとどういうことが起きるのか、知識も共感もないと思います。突然熱が出て保育園から連絡が来ることがあるなど、自ら発信していきました。自分の持っている案件で問い合わせがあったときの対応について、「こうしてください」と共有しています。

Jさん:過去に男性営業職で取った人がいない中で3ヶ月取りました。もともと理解してもらえない前提があるので、育児休業の取得や家事育児への参画度合いを、社内外にフルオープンにしています。育休を取るの難しいよねというアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)があるので、「育休は結構取れるよ」「思った以上に会社は自分がいなくても回るんですよ」というような発信をしています。

Cさん:復職後は9時から16時の時短勤務をしています。男性の時短勤務や育休はほとんどいないので、やりづらさを感じてます。恒常的に残業が長いような職場で、私が退社後の時間が長く情報共有が難しいです。自分なりに努力はしているつもりですが、風土というか雰囲気が乏しい。自分から発信することもはばかられる職場環境なのが苦しいです。社内で育休の話をする機会もほぼなく、若手からの反応も残念ながらありませんでした。転職も考えています。

Fさん:夫婦ともに全国転勤で一緒に暮らしたことがなかったのですが、育休を取ってようやく一緒に暮らせました。しかし、会社の規則で育休明けは原籍復帰が決まっていて、当時勤務していた札幌に戻らなくてはいけなくて……。会社の規則も柔軟に運用してほしいという思いはありました。

育休経験者たちがオンラインで集まり、経験を共有しました
育休経験者たちがオンラインで集まり、経験を共有しました

育休未取得の「先輩父親」が感じたこと

<最後に、自身を含め育休を取った男性社員がいない会社で働く「先輩父親」は、時代に合わせた意識を持つことの大切さを強調。職場の理解を得るために必要なことは何か、問題提起をしてくれました>

Kさん:うちの会社には育休を取った男性がいません。後輩が育休を取るときにどうしたらいいんだろうということを知りたくて参加させていただきました。

Kさん:僕たちが子どものときは、近所のおじさんおばさんの顔を知っていたんですよね。公園でも誰かしら知っている人が通ったり、あいさつをしたりしていましたが、いまはそれが難しくなっている。つながりが希薄になってきたところで子育てをしていくことに課題を感じている方がたくさんいるんだなと思いました。

Kさん:僕は「子ども1人で遊びに行かせたらええやん」とよく言うんですけど、妻は「小学生を1人で外に行かせて何かあったら危ない。時代は変わっている」と言うんです。一人一人の危機感や問題意識のズレが、職場の人の理解を得られないところにもつながってくるのかなと痛いほど感じました。

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父親のリアルな声、お寄せください

記事に関する感想をお寄せください。「帰省」に関するモヤモヤも募ります。「義実家に行くのは負担」「妻と両親との間で気を遣う」といった声も聞かれます。新型コロナの影響で帰省のあり方も変わりそうです。検討中の新たな試みもお聞かせください。

いずれも連絡先を明記のうえ、メール(seikatsu@asahi.com)で、朝日新聞文化くらし報道部「父親のモヤモヤ」係へお寄せください。

 

共働き世帯が増え、家事や育児を分かち合うようになり、「父親」もまた、モヤモヤすることがあります。それらを語り、変えようとすることは、誰にとっても生きやすい社会づくりにつながると思い、この企画は始まりました。あなたのモヤモヤ、聞かせてください。
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