連載
#193 #withyou ~きみとともに~
「青春が奪われたのに社会は普通だった」コロナ、高校生たちの違和感
新高校1年生に、新型コロナと付き合う日々で感じたことを聞きました。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、長いところでは3カ月にわたった休校。その間、子どもたちはどんなことを考え、いま、何を思っているのでしょうか。この春、都内の高校に進学が決まったものの、学校に行けない日々を過ごした当事者に思いを聞きました。率直な声からは、「早く学校に行きたい」という期待感の一方、勉強の遅れや友人関係、感染リスクなど新生活を不安に思う気持ちが入り交じっていることを感じました。
オンライン授業が「楽しくない」と感じ、自宅での時間をうまく使うことができずに「むなしかった」という気持ちが聞かれる一方、少し意外だったのは、前向きに新しいことに取り組む姿です。学校の課題をこなしつつ、趣味に没頭する時間が持てたり、家族との時間が持てたりすることで、充実感を得ていたという声が寄せられました。想定外の事態で課題はたくさんあるけれど、学生にとっては、最初で最後の時間でもあります。与えられた環境をどう生かすか、まっさらな気持ちで向き合う強さを感じる回答でした。
「これからどうなるのか」「思い通りに時間を使うことができず悔しかった」など、不安要素を訴える声が目立ちました。高校受験を終えた後の高校1年生だからこその視点として「あこがれていた制服を早く着たい」「部活がしたい」など、新生活への期待や、今年の受験生を心配する声もありました。
「学生は緊急事態宣言の一か月以上前からひきこもることを強制された」「私たちは青春が奪われたのに、社会は普通に動いた」――。自分たちを取り巻く環境と、「社会」との差を不満に思う声が聞かれました。
自粛生活に従っていない人を責める行動をとる「自粛警察」に対して「その正義の表し方は違うのではないか」と苛立ちを訴える声もありました。
回答から伝わってきたのは、自分たちが強いられた生活と、それとは関係なくまわっているように見える社会との間にある矛盾への違和感でした。
友達との接し方や、感染リスクへの不安、学習の遅れや体力の低下についてなどの心配事が寄せられました。すでに再開している人は、「クラスの空気が凍っている」と感じているそうです。
長いところでは3カ月ほどの休校を経て元の生活に戻るのには、心身共に相当の負荷がかかるはずです。精神的ストレスの高まりに警鐘を鳴らす医師もいます。大人たちも、心身ストレスを感じる子どもたちをどのようにサポートすることができるかが問われています。
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