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社会的距離=ウズラ13羽分!動物園が解説「シュールだけど面白い」

飼育係の皆さんによる、動物への愛情が炸裂!

ぽてっとした見た目のウズラがぞろぞろ……。実は、感染症対策を呼び掛ける内容の看板です
ぽてっとした見た目のウズラがぞろぞろ……。実は、感染症対策を呼び掛ける内容の看板です 出典: 広島市安佐動物公園のツイッター(@asa_zoo)

目次

新型コロナウイルスの出現を機に、「社会的距離」(ソーシャルディスタンス)という言葉が広まりました。感染を防ぐため、周囲の人と間隔をあけることを意味しています。この考え方を動物の大きさにたとえて説明する、広島県にある動物園の看板の画像が、ツイッター上で人気です。生態について楽しく学べる点も、多くの人々をひきつけています。魅力たっぷりなデザインが完成したいきさつを、園に聞きました。(withnews編集部・神戸郁人)

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「シュール」「幸せ」反響続々

今年5月19日、広島市安佐動物公園のツイッターアカウント(@asa_zoo)が、2枚の画像を投稿しました。それぞれ上部に、「ほかの人と距離をとってゆっくりお楽しみください。」と書かれています。

一方には、園内で暮らすメスのアフリカゾウ「メイ」の写真を掲載。両耳を左右に広げ、飼育担当者とみられる男性2人に挟まれています。「大きな耳は体温調節にも役立つんだよ」という、一言解説付きです。
出典:広島市安佐動物公園のツイッター(@asa_zoo)

もう一枚には、2人の人物の間で整列する、13羽のウズラのイラストが。よく見ると、互いに仲良くくっついたり、けんかする個体がいたり。前方の人物が「ちゃんとならびなさーい!」と声を掛けるなど、どことなくほっこりする内容に仕上がっています。

これらは同園が、社会的距離の確保を呼びかける、来園者向けの看板用として手がけたものです。動物の頭上には矢印とともに、理想的な間隔とされる「2m」と表記されています。

出典:広島市安佐動物公園のツイッター(@asa_zoo)

その後もレッサーパンダやホンドタヌキなど、さまざまな動物があしらわれた画像が公開されました。6月2日時点で、合わせて11枚に上ります。

「シュールだけど面白い」「何匹も並べられる幸せ」。ツイートを目にした人々の感想からは、喜びが伝わってくるようです。

30人の飼育係たちが自らデザイン

ユーモアあふれる画像は、どのように誕生したのでしょうか? 安佐動物公園企画広報係の林臨太郎さんに尋ねてみました。

林さんによると、新型コロナウイルスの流行により、同園は4月22日から臨時休園。営業再開は、広島県に対する緊急事態宣言解除後の、5月18日まで待たなければなりませんでした。

その間、お客さんに感染症対策を促す方法を、スタッフ間で協議しました。その場で話題に上ったのが、一連の画像を作る案だったといいます。

「単に『距離を取って』と伝えるだけでは面白くない。どうせなら、園にいる動物に登場してもらおう、と盛り上がったんです」

製作には、統一のフォーマットを活用することに。約30人の飼育係が、普段関わっている動物を取り上げ、思い思いにデザインしたそうです。そのためイラストではなく写真を使ったり、人物の形が微妙に違ったりと、オリジナリティ満載の作品ができあがりました。

動物の生態、楽しく学べる工夫も

SNS上で特に注目を集めたのが、ウシ科の動物「ブラックバック」を扱ったものです。

たとえば、その名の通り、背中が黒いオスの写真が載った一枚。「俺に近づいたらけがするぜ!」と言いながら頭を振り回し、元気いっぱいです。その下に「自信過剰な若いブラックバックの雄に対するソーシャルディスタンスと同じくらい」とつづられています。

出典:広島市安佐動物公園のツイッター(@asa_zoo)

別の画像には、男女のシルエットの間に、オスとメスのカップルの姿が。「やっとハレム(たくさんのメスを一匹のオスが従わせる環境)を持ったブラックバックがお気に入りの雌にアピールをがんばる距離」という一文が添えられています。

園の公式ウェブサイトによると、ブラックバックはインドの草原地帯に生息し、1頭のオスと多数のメスの群れで生活する習性があります。その点に着想を得た文章で、見ていると思わず笑みがこぼれるようです。

「最大の目的は、社会的距離について伝えることです。その上で、動物の生態をわかりやすく学べ、クスリと笑ってしまうような仕様も意識しました」と林さん。看板は30枚ほどあり、対象の動物の飼育舎前などに設置されています。
出典:広島市安佐動物公園のツイッター(@asa_zoo)

画像に興味を持った人々に対し、林さんは次のように話しました。

「安佐動物公園では、すでにお客さんが来られる環境を整えています。園内を訪れ、他の人と十分な距離を取りつつ、ぜひ実際の動物の大きさを体感して頂きたいですね」

※広島市安佐動物公園では現在、一部施設の利用やイベントを中止しています(詳しくは公式サイト

【関連リンク】えっ!「ひざ」じゃなく「かかと」? 動物園のフラミンゴに驚きの声

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