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#21 注目!TikTok
架空のアニメオープニングっぽい映像が本気すぎ「早く第1話見たい」
ワンカットで「テイク28」…撮影も5時間

ワンカット撮影に「テイク23」「テイク28」

また、同じチャンネルに投稿されている撮影風景を収めた動画では、正真正銘のワンカット撮影であることがわかります。10人ほど出演者たちが、カメラの死角で素早く移動し、次のシーンを準備していく動きは圧巻です。しかも、どの回も「テイク23」「テイク28」など、相当な数の撮り直しの結果だということも驚きです。

どのようにしてこの「TVアニメっポイ映像」が生まれているのか、チャンネルを運営する「ポイヤツら」のメンバーに聞きました。
映像制作と地続きにある「舞台」
舞台全体を俯瞰したり、自分の好きな出演者を目で追ったりできるのが舞台演劇の良さですが、視覚的に人物やモノをクローズアップすることはできません。そこで「カメラを使うことで舞台でもそれができるのではないか」と考えたことがきっかけでした。
「パントマイムは原則として、言葉や小道具などを使わないので、お客さまの共感、いわゆる『あるある』で成り立つ表現だと思っています。同時に、『ストーリー』よりも『画作り』で勝負する表現でもあります。わかりやすい、ある意味説明的な動作の連続で、シーンを作っていくイメージですね」
一方で、アニメのオープニング映像はいわば「本編のダイジェスト」。登場人物の紹介、世界観設定、作品ジャンルをはじめ、観るだけでこれから本編で起こることをわかりやすく伝わってきます。
「その情報も、各作品のオリジナリティだけで構成されているのではなくて、逆に『どこかで見たことある』、『あの作品と同じだ』という視聴者の共感から成り立っている部分もあると思います」
こうした説明的な「画」と視聴者の「あるある」で補強されるという相性の良さから、「TVアニメのOP」をモチーフにしたといいますが、「もちろんメンバーそれぞれにアニメが好き、というのが最大の理由です」。
「こいつは何話で仲間になるよ」役者も設定深掘り
キャラクターについては、デザイン画や簡単な絵コンテは用意しているそうですが、細かな設定は与えていません。しかし、「役者がそれぞれに『こいつはこんな性格だ』とか『こいつは何話で仲間になるよ』とか、勝手に設定を深堀りしています(笑)」。


コンテで想定した動きが実際にできるのかどうか、稽古の中で試し、発見しながら作り上げていく。かきもとさんは「短期間でつくる舞台のような感覚」と表現します。


立ち位置を緻密に把握して動く役者の大変さが目立ちますが、中でも一番大変なのはカメラマンだそうです。映像には写らなくとも、振り付けやカメラワークが決まっている「ほぼ役者」。また役者の動きや「画」を意識する監督も兼ねており、超重要な役割を一手に引き受け、常に頭がフル回転の状態なのだといいます。

ZOOMでも撮影「画面分割」が可能に

ウイルス禍によってメンバーが集まるのが難しい状況でも、作品づくりを続けたのは『継続して活動する』という目標があったとメンバーの月出ヒタチさんはいいます。
「年齢を重ねていくにつれ、活動を辞めてしまうケースが周囲でも多くなっている中、一定のペースでしっかり活動を継続していきたいなと思っています。なので、こういった時期でも活動を止めてしまいたくないという思いがありました」


シリーズ構成は「皆さまの心の中に…」
こうした反響について「もちろんどのコメントもありがたく拝見していますが、一番うれしいのは考察コメントですね」と月出さん。
「みなさんが思い思いにキャラクターの設定や、話の展開などを考察してくれているのですが、『そういう見方があったか!』とか『わかるわかる!そうだよね!』とかこちらも楽しんで読んでます」
「是非自由に、妄想して楽しんで欲しいですね。エンドクレジットに書いていますが、シリーズ構成は、『皆さまの心の中に…』としていますので(笑)」


「世の中の状況をみてですが、早く新作製作に取り掛かりたい」という「ポイヤツら」のみなさん。これからの作品も楽しみです。