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日本に住む華人、コロナで一番困ったこと「代理ショッピング」が悲鳴

ドラッグストアで買い物をする中国人観光客=2015年6月28日、大阪市中央区
ドラッグストアで買い物をする中国人観光客=2015年6月28日、大阪市中央区 出典: 朝日新聞社

目次

新型コロナウイルスは、日本に住む華人の生活も揺さぶっています。中国版LINEの微信(WeChat)を通じたアンケートでは、「民宿経営」や「ウェディング撮影」、そして「代理ショッピング」への影響を訴える声が集まりました。「新商業女性inJapan」共同代表の柳田文華さんに、今、何が起きているのか聞きました。

浜名湖畔にある舘山寺温泉の旅館「堀江の庄」。春節の時期は駐車場に中国人観光客の大型バスが並ぶが、この日は1台のみだった=2020年1月30日、静岡県浜松市、高橋尚之撮影
浜名湖畔にある舘山寺温泉の旅館「堀江の庄」。春節の時期は駐車場に中国人観光客の大型バスが並ぶが、この日は1台のみだった=2020年1月30日、静岡県浜松市、高橋尚之撮影 出典: 朝日新聞社

打撃大きい自営業

「佳佳弁当」の創業者でもある柳田文華(あやか)さんは来日20年、多彩な事業をおこしてきました。その経験を活かし、女性の起業・ECビジネスなどをサポートする団体「新商業女性inJapan」の共同代表も務めています。3月末に、WeChatを通じて在日華人700人に対して、新型コロナウイルスの影響についてアンケート調査を行い、100人から回答がありました。

アンケートから見えたのは自営業への打撃の大きさで、家賃の負担が大きいという意見が目立ちました。

中でも、深刻なのが「民宿経営」「ウェディング撮影」「代理ショッピング」です。

ウェブで行われたアンケート調査※写真はイメージです。
ウェブで行われたアンケート調査※写真はイメージです。 出典: Pixta

民宿の経営者「本当に悲惨」

文華さんによると、観光者の激減は民宿の経営にとっては致命的になっているようです。

「民宿経営者からは『いまの状況は本当に悲惨だ!』という回答がありました」と話します。

「3月と4月は桜のシーズンだったので、民宿の予約はいっぱいの状態でしたが、コロナによってのせいで航空便が激減し、ほぼぜんぶキャンセルになったようです」

文華さんは、華人が経営する民宿には三つのタイプがあると説明します。

一つ目は、物件を全額現金で購入するか、ローンが少額の人です。毎月の返済額の負担が少ないので、収入が激減するものの、今回の新型コロナウイルスの影響は最も小さいと言います。

二つ目は、物件を賃貸で借り入れ、民宿を経営する場合です。宿泊客がいなくても賃料が発生するので、民宿を諦めて、賃貸した物件を返却するケースも出ているそうです。

最も深刻なのは三つ目のタイプで、ローンを組んで物件を購入したタイプです。毎月の返済額は100万円単位の場合もあり、宿泊客がいないと、大きな負担になります。それでも3月は、価格を下げて賃貸に出す機会がありましたが、4月以降は本当に厳しいそうです。

「いずれにせよ、民宿経営者にとって、いまはまさに厳冬と言えます」(文華さん)

沖田黒豚牧場の牧場民宿レストラン和(のどか)で提供される伊佐米膳=2020年4月11日、鹿児島県伊佐市大口田代、城戸康秀撮影
沖田黒豚牧場の牧場民宿レストラン和(のどか)で提供される伊佐米膳=2020年4月11日、鹿児島県伊佐市大口田代、城戸康秀撮影 出典: 朝日新聞社

人気だったウェディング撮影

アンケート調査の回答には、ウェディング撮影関係者の切実な回答もありました。

<商業撮影をしています。新型コロナの影響で、中国国内から日本を訪れるウェディング撮影のニーズが激減しました。現在予約しているクライアントも、たとえば公園等の施設が閉園などの原因で、撮影ができなくなっています。影響が大きいです(アンケートから)>

文華さんの知り合いにもウェディング撮影の関係者が何人かいます。最近は、日本で旅行しながら、ウェディング撮影や個人の記念撮影写真集を撮る人が増えているそうです。

文華さんによると、若者たちの中で自分たちのウェディングに個性を求める人が増えており、ウェディングドレスをはじめ、日本の着物を着て文化体験をしたいニーズがあるそうです。

「人気なのは、東京や横浜のほか、沖縄や箱根の富士山、京都。秋葉原でのコスプレ撮影も人気でした」

しかし、新型コロナの影響で、日本便の運休が相次ぎ、撮影業界にとっても非常に苦しい状況になっているそうです。

和装のウェディングも人気※写真はイメージです。
和装のウェディングも人気※写真はイメージです。 出典: Pixta

代理ショッピングもストップ

在日華人にとってメジャーなビジネスなのが、「代理ショッピング」です。

高額な工芸品から日常用品まで人気の日本製品が欲しい中国大陸に住む人からお金をもらい、日本に住んでいる華人が代わりに購入。それを、中国大陸の顧客に国際郵便で送り手数料などをもらうというものです。

「人気の商品は化粧品、マターニティやベビー用品などでした」(文華さん)

「代理ショッピング」を専門で手がける人もいるそうですが、主婦や留学生が、ウェブから注文を受けアルバイト感覚で気軽にする人も少なくいません。

ところが、新型コロナウイルスの影響で航空便が激減、さらに日本郵便が3月13日から中国宛ての国際郵便物の引き受けを停止したことで、商品を送ることができなくなりました。

特に日本郵便の引き受け停止は、利用者からも反応が相次ぎネット上では「私の息子の粉ミルクをどうしよう」「わたしの服、化粧品……涙」「1ヶ月以上前にマスクを買いましたが、まだ届いていません」などの声が投稿されました。

アンケートでは「代理ショッピング」をメインの仕事にしている人からは以下のようなコメントが寄せられました。

<私は代理ショッピングをやっています。日本の郵便局が中国行きの郵便物をほぼ全部ストップしたので、仕事ができなくなりました……(アンケートから)>

深夜も郵便物の仕分けが続く大阪国際郵便局=2007年1月29日、日吉健吾撮影
深夜も郵便物の仕分けが続く大阪国際郵便局=2007年1月29日、日吉健吾撮影 出典: 朝日新聞社

航空便が激減、チケットも高騰

在日華人にとっては、仕事が減ったことに加え、航空便の減少とチケットの高騰によって中国に住む親族に会えないことへの不安も寄せられました。

<父親が病気になったが、帰国したいけど、帰れない。できれば両親のそばにいてあげたい。仕事をしたい(アンケートから)>

<帰国して両親に会いたい、友達に会いたい、美味しいものを食べたいです。でも、飛行機に乗ることもリスクが伴います(アンケートから)>

<セールス業なので、テレワークは不便だと感じています。そして中国に帰られず、両親と会えないことが不安です(アンケートから)>

<最大の困難は、航空券が高いし、買いにくいことです。帰国したらいつ日本に戻れるのかも分からない。自由な行き来ができなくなっています!!(アンケートから)>

国際便到着ロビーにある「セントラルジャパントラベルセンター」に列をつくる外国人観光客ら=2019年1月18日、中部空港、堀川勝元撮影
国際便到着ロビーにある「セントラルジャパントラベルセンター」に列をつくる外国人観光客ら=2019年1月18日、中部空港、堀川勝元撮影 出典: 朝日新聞

「80後」からのメッセージ

アンケートには、30年続いていた「繁栄かつ平和な世界」が崩れたことを、反省のきっかけと捉える声も寄せられました。

<私は東京に生活している華人です。「80後」(1980年代以降生まれ)で、30年以上続いてきた「太平盛世」(繁栄かつ平和な世界)を当たり前のように思ってきました。

しかし、我々の父親あるいは祖父の世代は、自然災害や政治運動、さらに戦争などを経験してきました。彼らは大きなチャレンジに対して、強い生命力を示しました。彼らの精神とエネルギーが、現在の私たちに多くの気づきを与えてくれます。私たちは困難に対応できる潜在能力を持っているわけです……(アンケートから)>

新型コロナウイルスが、ここまで世界全体に大きな影響を及ぼすことは、多くの人にとって予想外の出来事でした。ウイルスの前では、首相であれ、大物芸能人であれ、一般人であれ、物乞いであれ、ある意味でみんな平等になります。

民族や国籍が違っても、人類は数々の苦難と苦労を乗り越えてきました。祖先の精神をしっかりと受け継ぎ、ウイルスに打ち勝てる日を心待ちします。

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