連載
沖縄の土産店、店員さんの人生重ねた「カイロウドウケツ」との出会い
ふと立ち寄った土産店で出会った、店員さんとの時間
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ふと立ち寄った土産店で出会った、店員さんとの時間
店の外には「この店、やすくカエルヨ!!」として蛙のイラストが描かれているなど大変シャレが効いています。外観も「GIFT SHOP」と英語でオシャレに描かれていたり、分かりやすく「おみやげ屋」と日本語で大きく書かれていたりと非常に個性的。もともとここに寄るつもりはありませんでしたが、惹かれてしまい、すぐに入店しました。
店内には琉球ガラスや食品の土産品がたくさん売られています。
観光地で売られるお土産物は、もともと民芸品などが主流でした。時代の流れとともにファンシー絵みやげをはじめとした量産品が主流になり、現在では大人数にシェアしやすく、「消えモノ」なので保管場所に気を遣わせない饅頭やクッキーなど、食品が主流になっていきました。
このお店は食品と琉球ガラスというまさに今日的なラインナップであり、私が探すような懐かしいものは売ってないのかと思いました。しかし、よくよく見てみると内装がどうも少し懐かしい個所があります。
貝細工や木工品など、かつての沖縄みやげを思わせる民芸品もちらほら。そしてある一角などは、まるでトレンディ―ドラマに出てくるようなアーバンな雰囲気でまとめられています。これは、何か見つかるのではないかと期待に胸を膨らませました。
しかし、ファンシー絵みやげは見当たりません。ファンシー絵みやげと同じく、バブル時代に売られていたと思われる、「OKINAWA」の名入れがあるレースのれんのみが見つかりました。
しかも、商品ではなく、ディスプレイとして飾られていたもの。絵柄は沖縄固有のものではなく、ビーチリゾート地であればどこでも汎用的に使えるものに「OKINAWA」と後からプリントしたものです。
それでも、一つ見つかったということは、当時はこういった商品を販売していたという証拠でもあります。より詳しい話を聞いてみようと店員さんに相談してみました。
山下メロ
お店の方
山下メロ
お店の方
山下メロ
お店の方
山下メロ
お店の方
山下メロ
お店の方
山下メロ
お店の方
そういうと店員さんは、在庫をしまってある場所を開いて探しはじめました。
お店の方
店員さんが取り出したのは、白いレース状の筒のようなもの。
お店の方
山下メロ
お店の方
お店の方
ファンシー絵みやげのように子ども向けの値段のものでさえ、流行や景気の影響を受けて姿を消していったのですから、高額な商品ならなおさら売れなくなる可能性もあるでしょう。
お店の方
確かに安く買えました。
天然のものなので一つ一つ形も大きさも違うカイロウドウケツは、量産品であるファンシー絵みやげとは真逆の存在です。しかし、カップルの恋愛祈願や縁結びの要素のあるものが多く、また、時代の流れによって店頭から姿を消して行ったことなど、近いところもあります。
ファンシー絵みやげが保護できなくとも、ファンシー絵みやげに繋がる土産店の商品と、その来歴やエピソードに出会えたことは何よりの成果です。
結納や結婚祝いなど、夫婦の縁起物が必要な時にカイロウドウケツはいかがでしょうか。
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山下メロさんが「ファンシー絵みやげ」を保護する旅はまだまだ続きます。withnewsでは不定期で、山下さんのルポを配信していきます。
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