連載
#2 ○○の世論
マラソン「割れた世論」 東京都民と道産子にあらわれた「意識格差」
【○○の世論】2020年の東京オリンピック、チケットは全部外れたけど、せめて沿道でマラソンを応援しよう――。マラソンを楽しみにしていた都民は大勢いるはず。そんな矢先、マラソンと競歩の会場は、北の大地、札幌に行ってしまうことが決まりました。世論調査をしてみると東京都民と北海道民の「意識格差」が浮かび上がりました。 そもそも、マラソンは夏にやらなきゃいけないのか? 「みんな」の気持ちを探ってみました。(朝日新聞記者・植木映子)
国際オリンピック委員会(IOC)が、暑さ対策を理由にマラソン・競歩の札幌開催計画を発表したのは10月16日。
この直後の19、20日に朝日新聞社が行った世論調査では、計画への賛否について次のような結果が出ました。
地域別にみると、東京は賛成44%、反対40%と拮抗(きっこう)していたのに対し、北海道は賛成が7割弱、反対が2割弱。くっきり地域差が出ました。
この後、IOCのジョン・コーツ調整委員長が来日。「青天の霹靂(へきれき)」の計画に、東京都の小池百合子知事は猛反発しながらも、最後は「合意なき決定」と苦渋の決断を迫られました。
11月16、17日に行われた世論調査でも、マラソン・競歩の札幌開催を「よかったと思う?」と聞いてみると、こんな風に。
1カ月で「世論」の評価は変わったようです。メディアでIOCと小池知事のやりとりや、地元の費用負担をめぐるニュースが報じられ、反発が広がったとみられます。
ネット上でも「IOCの横暴だ」という声が多く見られました。地域差も10月ほどはなく、東京では「よかった」40%、「よくなかった」47%。北海道は「よかった」4割、「よくなかった」3割と、地元の評価も下がった形となりました。
ちなみに年代別でみると、若い世代ほど札幌開催を評価する傾向が見られました。10月調査でも11月調査でも同様でした。
理由はハッキリわかりませんが、最近の世論調査では、内閣支持や政策への評価を尋ねた場合に、若者の方が現状や決まったことを評価する割合がほかの世代よりも高い傾向があるため、今回もこうした傾向が出たのかもしれません。
では、マラソンはオリンピックの「花形競技」と言われていますが、人気ぶりはどうでしょうか。今年5月の世論調査で、会場で見たい東京五輪の競技を聞いたところ、「陸上(マラソンを含む)」が24%で1位でした。
次いで日本の活躍が期待されている水泳が9%で2位。野球・ソフトボールと体操(新体操・トランポリン含む)が8%と続きます。
多くの人が注目するマラソンですが、夏はもともとオフシーズンのはず。マラソン以外の競技でも、猛暑からどうやって選手や観客を守るかが大きな課題となっています。11月調査では、オリンピックの開催時期についても聞いてみました。
開催まで1年を切っての会場変更のドタバタ。だったら、1964年10月の東京オリンピックみたいに、真夏を避けて開催できるようにすればいいのでは? これが、今の日本の世論の多数派のようです。
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