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#33 #となりの外国人

「ブルーシート」外国人に伝わらない? やさしい日本語で見えたこと

「やさしい日本語」で書いた、花見に関するニュース。外国人に聞いてみたら、「シート」が伝わらなかった。どうして?言われないと気づけない「やさしくない」事実が見えてきました。

「レジャーシート」「一畳分の大きさ」は外国人に伝わるか
「レジャーシート」「一畳分の大きさ」は外国人に伝わるか

目次

日本語に慣れていない人に、「本当に伝わるやさしいニュース」を目指して、外国出身の人と作る「やさしい日本語ニュース」。

今回「やさしい日本語」にしたのは、「ブルーシートだらけの花見を変えたい 『畳柄レジャーシート』が話題」という記事です。
「畳柄のレジャーシート」が開発され、花見の時期によく見かけるブルーシートの代わりに使うと「風情があって良い」と、ツイッター上で話題になっている、という内容です花見の時期によく見かけるブルーシートの代わりに使うと「風情があって良い」と、。なるべくやさしい日本語にしましたが、意外な言葉が伝わりにくいことが分かりました。
外国人の協力でできた【本当にやさしい日本語ニュース】はこちら
「畳(たたみ)」にみえる紙(かみ)のしきもの【やさしい日本語】

外来語だったら伝わる?

まず、日本人記者が、感覚で「やさしい日本語」に翻訳した記事を、都内の介護施設で働くインドネシア人2人に見てもらいました。

来日9年目のプスピタさん(32)と、技能実習生として今年7月に日本に来たばかりのユダさん(27)です。

ユダさんの日本語学習歴は、インドネシアの専門学校でわずか6カ月だけと言います。でも「やさしい日本語」の記事を見せると、漢字にふりがなを振ってはいますが、すらすらと読んでいきます。意味もほとんど分かります。

「やさしい日本語、よめますよ」とユダさん(左)とプスピタさん
「やさしい日本語、よめますよ」とユダさん(左)とプスピタさん

ところがユダさんは「シート」の前でかたまってしまいました。

プスピタさんは「日本語を勉強していても、カタカナを読むのは苦手な人が多いです。私も苦手です」と解説してくれました。
記者が「しーと」と読み上げました。それでも、ユダさんの顔は晴れません。
プスピタさんがインドネシア語で「敷物(ティカル)」と訳して伝えると、うなづきました。

「シート」なら外来語だから、きっと外国人には分かりやすい言葉だろうと思っていました。
でも、そもそも「外来語」って、どこから来た言葉なのか、考えずに使っていました。シートは英語が由来。インドネシアの人にとって、「シート」が分かりやすいわけではない、と気づきました。

「たたみ、ひとつぶん」で思い浮かべる大きさは

この畳シートの大きさについて、元の原稿は「大きさは京間1畳と同じ」となっていました。
私はもっとシンプルに「畳ひとつと同じぐらいの大きさ」と訳しました。

でも、ユダさんは「畳ひとつって、とても小さいですよね」と驚きます。
どういうこと? ユダさんの頭にある畳のイメージを聞いてみると、「私が働く介護施設のおばあちゃんが、よく座っている椅子に敷いてありますよ。畳」。よく聞くと、畳のような座布団でした。

確かに、日本でも和室を見る機会は減っています。和室を見たことがあるとしても、そこにある畳が一つ一つ分解できて、どんな大きさかをすぐに頭に浮かべるなんて難しい、そう考えれば、分かります。

いかに自分の想像力が「常識」に縛られていたのかを痛感しました。

話題になっている畳柄のレジャーシート
話題になっている畳柄のレジャーシート 出典: 出典: フェリシモ提供

日本らしさ「風情」には理解

「風情がある」という言葉は、やさしい日本語で「日本らしい」と訳しました。
これが、一番伝えにくいと予想していましたが、ブルーシートで一杯の花見の写真を見せたとき、ユダさんは「確かに、これだと残念ですね……。畳だと日本らしいです」と感想を漏らしました。

意外! 「日本らしい」という感覚が最もすんなりと伝わりました。
花見はまだ経験したことがないというユダさん。
でも、漫画や日本映画を通して日本らしさについて学び、期待を膨らませて来日したようです。「来年の春には、ぜひ、花見がしたいです。桜、憧れています」とにっこりしてくれました。

プスピタさんは「おすすめは新宿御苑」とアドバイスします。なんで?と聞くと「上野の花見はちょっと……お酒くさかったです。もちろん、それも日本の伝統だと理解しています。でも、私は新宿の方が落ち着きます」。イスラム教徒のプスピタさんは、日本の事情も尊重した上で、話してくれました。

ブルーシートが広がる花見の様子
ブルーシートが広がる花見の様子 出典: 出典: フェリシモ提供
やさしさのポイント


カタカナ語は外国人にとってわかりやすいものではありません。その理由は、1)和製英語(英語に存在しない言葉)が多い、2)発音が原語から離れているなどです。
例えば「アイドリング・ストップ」は、英語では”No idling”。
「ランニング」は5単位(5拍)で発音するのに、英語の”running”[rʌniŋ]は2単位(2音節)で発音するため、カタカナ語からだと原語の発音が想像できません。

カタカナ語だらけの文章は、日本語に慣れた人にもわかりにくいものです。使う前に、原語での意味で使われているか調べて、自信が持てないときは使わないようにしましょう。外国人だけでなく、日本人にもやさしい文章になるはずです。

庵功雄(いおり・いさお)さん:一橋大学国際教育交流センター教授。日本語教育の専門家。主な著書に『やさしい日本語――多文化共生社会へ』(岩波新書)、『<やさしい日本語>と多文化共生』(ココ出版・共編著)など。

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伝えたい情報を、なるべくシンプルに、誰にでも分かりやすい「やさしい日本語」にして届けます。
本当に「やさしい」のか、日本に暮らす外国出身の人や、専門家にもアドバイスをもらいながら、本当にやさしいニュースを作っていきます。

毎週土曜日に配信予定です。

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