連載
#166 #withyou ~きみとともに~
「居場所なんか見つければいい」不登校だった私たちが見つけた答え
学校に行くのがしんどい、逃げたい--。そんな思いを抱える子どもたちの「居場所」はどこにあるのでしょう。また、大人はどう支えれば良いのでしょう。不登校経験のある俳優で漫画家の園山千尋さん、フリースクール代表の前北海さん、ノンフィクション作家の石井光太さんたちと考えました。「グループに加わりたくないけど、その空気に乗らないといじめられる気がして、息苦しい」。今まさに教室で悩んでいる小学生へのアドバイスは……。
3人のトークイベントは8月26日、東京都港区の日本財団ビルで開かれました。「夏休み明けがしんどい子へ 『居場所はここにある』」(朝日新聞withnews・日本財団共催)として、朝日新聞社の金子元希記者が進行役を務めました。会場には、保護者世代の人や、支援に携わる人たちが多数。不登校経験があり、いま当事者や親を支援する立場の前北さんが、「大人の声かけ」について思うことを語ってくれました。
園山さんは中学2年の夏、親の転勤で北海道の田舎のまちから同じ北海道の都会へと引っ越しました。転校先の中学校では、友達の悪口を言ったり、「みんな○○のこと嫌いだよ」と「嫌いを共有」しようとしたり。同調したくないけど、しないとノリが悪いと思われる--。そんなストレスをため込んでいったといいます。
石井さんがかつて取材したケースの中には、虐待や不登校をきっかけに質の良い児童福祉施設につなげてもらいながらも、自分たちから逃げ出して、事件を起こした子どもがいたそうです。
イベントのテーマは「居場所」。居場所を見つけられるような「転換点」は、不登校経験のある前北さん、園山さんにはあったのでしょうか。
参加者が登壇者に質問する時間もありました。会場にいた小学生の男の子は、「学校でいじめグループがある。加わりたくないんだけど、その空気に乗らないといじめられる気がして、息苦しい」と訴えました。
イベントは約1時間半。その後、場所を移動して参加者と登壇者が自由に語り合いました。質問してくれた男の子が、笑顔で周囲の大人に自分で描いたイラストを見せてくれました。
大人になっても、人生のステージごとに自分の居場所は変わっていきます。前の職場は良かったのに、新しい職場になじめない。子どもが生まれて幸せなはずなのに、社会で孤独を感じる--。
誰もが生きづらさを抱える時代。子どもだけでなく、大人にとっても、今の自分の居場所に縛られない生き方は大事なのかもしれません。
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