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なくならない「子育て神話」りゅうちぇる夫妻が気づいたこと
子育て中のママやパパのみなさん、子育てにまつわる“神話”に縛られていませんか?

「母乳じゃないとやっぱりダメ」「男は一家の大黒柱だ」。SNSなどでも拡散する言葉にとらわれて、自分の子育てに不安を感じる人は少なくありません。ツイッターのフォロワーが127万人いるタレントの、りゅうちぇるさんと妻のぺこさんは、そんな「子育て神話」に、どう向き合っているのでしょうか?「子育て神話」の吹き飛ばし方を語り合いました。
りゅうちぇると、話し合った人たち
23歳。高校卒業後、原宿のショップ店員を目指して上京。原宿の古着店でショップ店員を務めながら読者モデルとしての活動を始めた頃、読者モデルのぺこと出会う。2016年にぺこと結婚、2018年7月に長男リンクくんが誕生。「イクメン オブ ザイヤー2018」の芸能部門で選出される。
30代 4歳の息子の母。コンサルタント。エビデンスのない「神話」にモヤモヤ。国内外の子育てにまつわる情報を集めることが得意で、子育てに対する社会の意識がアップデートされることを目指し日々奮闘中。
40代 3歳、6歳、11歳の3人娘のママ。「みらい子育て全国ネットワーク」代表。自然分娩、布おむつ、完全母乳。全部やってみたら子育てって大変!……ん?これって神話のせい?!といまさら気が付く。
30代 2歳の娘のパパ。会社員。仕事をしながら、家事も育児も共働きの妻と同等にやろうと奮闘中。家庭では主に風呂上がりの保湿や買い物、料理、掃除を担当。最近、パパ友が増えてきているところ。娘と2人で出掛けることも。
40代 3歳の娘、5歳の息子のパパ。自営業。従業員は全員子育て中で、夕方5時ごろには業務を終了。「男が大黒柱」という神話に、取りつかれていた時期も。大切なのは神話ではなく、目の前のパートナーだと悟る。
子育て悩ます「神話」がこんなに
・「子育てはママが主役」神話 ⇒ 子育ての主たる責任者は常にママで、パパはサブ(補助)
・「妊娠は病気じゃない」神話 ⇒ 「妊娠は病気じゃない」から、特別な配慮は不要
・「自然分娩が一番」神話 ⇒ 痛い思いをして産むことこそが立派な出産(帝王切開、無痛分娩を良しとしない)
・「絶対母乳育児」神話 ⇒ 母乳が出ないのはママの努力不足、母乳でこそ愛情が伝わる
・「手作り」神話 ⇒ 離乳食やお弁当、園グッズは手作りすべきだ
・「男が大黒柱」神話 ⇒ 男性は家事や育児より仕事を優先して、家計の主たる責任者であるべきだ
・「3歳児」神話 ⇒ 子どもが3歳になるまでは母親が子育てをするべきで、3歳未満で保育園に通う子どもは親の愛情を十分に受けていない

育児するパパは「偉い」?
鰺坂:僕は娘の保育園の送りをしたり、行事に参加したりしているんですけど、積極的に関わっているパパは珍しいと感じます。ともすると、育児をしているパパは「偉い」みたいな。僕は今33歳なんですが、同年代を見渡してみると、家事や育児にコミットしている人と、昔ながらの神話タイプの人に分かれていますね。

りゅうちぇる:僕の周りは、男性も女性も仕事をがんばりながら家庭も持ちたいっていう人が多い気がします。それから僕は、沖縄で育ったっていうこともあってか、あまり神話には触れてこなかったかもしれません。子育てはママとかパパとかって言うんじゃなくて、みんなでっていう感覚が強いです。

水晶玉で占ってるの?「行動に移すかどうかは自分たちで決めよう」
りゅうちぇる:神話コメント、来ます、来ます。妊娠中から「ぺこりんのお腹の出方は、赤ちゃんが女の子だね」とか、「ぺこりんは、女の子を妊娠している顔つきだね」とか、水晶玉で占ってるの?みたいなコメントも多いです。そういうこともあって、ぺこりんとは「色々な子育て情報は全部聞くことは聞くけど、行動に移すかどうかは自分たちで決めようね」っていう話し合いをしましたね。
天野:子育て情報は色んな意見があって、特に母乳については「絶対母乳」っていう人から「母乳否定派」までグラデーションがすごいと思います。その中で、ママたちは悩まされています。私の場合は、出産して産院で夜中に休んでいるときに、スタッフに「母乳!母乳!母乳!お母さん起きて!起きて!」とたたき起こされました。こうやって、母乳が一番!という「母乳神話」を刷り込まれた気がします。


我慢しないでSOSをくれたのが大きい
藤本:私の場合は、仕事に復帰した後、残業しているときに、同僚の男性から「子どもは?」と聞かれました。「夫が迎えに行っています」と答えると、「え〜、理解あるね〜。しっかりしなよ〜、子どもかわいそうだよ」と言われる。その男性も子どもがいるのに。飲み会も「ママだから」を理由に誘われないので、もやもやします。

りゅうちぇる:そうそう。なので、ぺこりんは妊娠中から夜中に僕を起こして「お願いだから、マックのポテトを買ってきて」って言うタイプでした。旦那さんに迷惑を掛けないように我慢するんじゃなくて、ちょっとした変化でもSOSを発信してくれたっていうのは大きいと思います。

「男たるもの」にしばられるパパたち
りゅうちぇる:察せないです。特に子育ては、ママもパパも初めての体験なので。察するなんて、次のステップは無理です。ママから言ってもらえたら、パパは「あ、そうなんだ」って気づいて動くようになれると思います。
天野:女性が黙ってイライラしているのは、男性はつらいらしいですもんね。
りゅうちぇる:そうなんです。
鰺坂、上澤:苦笑

りゅうちぇる:うんうん、僕もなりましたね。
上澤:だけど、妻と話していく中で、妻が「今は稼ぎよりも一緒に子育てする環境が欲しい」と言われて。で、「あ、そういうのもありなんだ」と思いました。
僕は昔から言われていることにはそれなりの理屈があるのだろうと思っていたので、神話を気にしたことはなかったんだけど、このすったもんだを経験して、昔は普通だったことでも、今を生きる自分たちがすべてを受け入れるのは難しいと気づきました。
上澤:自営業なので、仕事のコントロールがしやすいというのもあって、仕事の時間を減らして、家事育児をするようにしました。僕の会社は子どもを育てている人たちだけなので、大体夕方5時くらいにはみんな帰っていますね。

りゅうちぇる:うんうん。ありだと思う。子どもが産まれた後、僕も仕事、仕事ってやっていると、ぺこりんがピリピリしていた時があって。「ぺこりんが大変だな」と思って、一緒に子育てをしながら、仕事をするっていう今のスタイルに落ち着いてきました。仕事に対する不安というよりも、奥さんがピリピリしなくなった安心感がありましたね。仕事を頑張れるのは、家族がいるからなので。仕事も家族もどっちもうまくいくっていうのは難しいですよね。切り替えなきゃ。

子どもが産まれて変わった妻
りゅうちぇる:僕は、男性が一家の大黒柱っていう考えはあんまり好きじゃなくて。人それぞれで良くない?って思ってます。ただ、テレビのバラエティー番組に出て、毎日色んな人に会う刺激的な仕事をしていたあのぺこりんが、子どもを産んだら「今が一番楽しいわ~」「もう仕事したくないわ~」って言ったんです。なので、今ぺこりんは育休をいただいていて、子どもを現場に連れて行けるお仕事など一部のお仕事に限らせてもらっています。
りゅうちぇる:ぺこりんの変化にびっくりしましたけど、子どもが産まれて変わってきていたのは分かっていたので。なので、それぞれの夫婦に合うスタイルがあると思います。ママ友の中には、子どもを少しの時間でも預けて働きたい!っていう方もいらっしゃいます。保育園や幼稚園といった施設もうまく使えば良いと思います。子どもをずっと見たい人もいるし、働かないといけない人もいるし。色んな家庭があるので、“3歳児神話”のような話はして欲しくないですね。

藤本:私、自分の子どもにどうやったら自己肯定感を持たせられるのかって考えているところなんですけど。
りゅうちぇる:僕、ナルシストなんですよね。リンクにも、まじナルシストになって欲しくて。自分を好きでいればいるほど、他人に頼れると思うんですよ。自分に自信が無かったり、自分を嫌いだったりすると、「他人にこう思われたくない」ってプライドがどんどん高くなっちゃう。そうすると他人に頼れなくて、一人で解決しようってなっちゃいがち。でも自分に自信があれば、楽に他人に頼ることができるんです。自分だけでストレスを抱える必要がない、みたいな。
上澤:ぺこさんはどんな感じですか?
りゅうちぇる:ぺこりんも自分のこと大好きです。コスメのお店でリップを試そうとして鏡を見て、「あ、待って、私、可愛い。こんな可愛い顔にリップを付けなくていいや。や~めよ」みたいなタイプなんです。
一同:うける~笑
りゅうちぇる:今日はみなさんとお話できて楽しかったです、とっても。職業は違っても、パパとママは同じことを考えたり悩んだりしていて、一緒なんだなって思いました。みんなで神話なんて吹き飛ばしていきましょう!

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