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連載

#33 #withyouインタビュー

マツコが認めた「友だちゼロ」よしあき、不登校から笑えるまで

「マツコ会議」で「友だちが一人もいない」と答えたことが話題になったモデルのよしあきさん。その真意について聞きました。

「マツコ会議」で注目を集めたよしあきさん=瀬戸口翼撮影
「マツコ会議」で注目を集めたよしあきさん=瀬戸口翼撮影

目次

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2016年に放送された、マツコ・デラックスさんが出演する番組「マツコ会議」(日本テレビ)に彗星のごとく現れた姉弟をご存じでしょうか。当時17歳の姉ミチさんと、14歳の弟よしあきさん。お姉さんと仲良く出かける理由を「友だちが一人もいないから」と堂々と言い切るよしあきさんに、マツコさんは「番組始まって以来の最大の逸材」と大絶賛。

実は、小4から中3まで、不登校だったというよしあきさん。特に夏休み明け、つらい生活に戻ると思うと、学校に行きたくなかったといいます。現在18歳になったよしあきさんが、「誰にも僕の人生を渡したくない」と思えるまでについて聞きました。
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全部読めなくてもいいです、これだけ覚えておいて

 

よしあきさんのメッセージ

 ・「つらかったら休みなさい」の言葉で安心できた
 ・「変わりたい」って思ったとき、夜更かしをやめてみよう
 ・でも焦らないで。「ポイント集め」みたいに考えよう
 ・自分は間違いだと思わないで。「絶対、超なんとかなる!」

 

【動画】小4から中3まで不登校だったよしあきさん。当時の思いを語る=瀬戸口翼撮影

友だち「欲しかったけどいなかった」

「マツコ会議」で「友だちが一人もいない」って言ったことが話題になったんですが、あの頃は本当に友だちがいなかったですね。本当にいなかったんですよ。

もともと小学4年生から不登校で、実はあの放送のときも学校に通っていなかったんです。中学生だからバイトもできないし、出会いがないから友だちがいなくて。だから「友だちが要らない」っていうことじゃなくて、「欲しかったけどいなかった」んです。

もちろん友だちがいる子とかを見ると、「うらやましいな」と思っていたけど、運が良いことに……悪いことかもしれないけど、僕にはお姉ちゃんがいたので(笑)。お姉ちゃんと一緒にお買い物に行ったりして楽しんでいました。

<よしあき>
2000年生まれの18歳。14歳のとき、「マツコ会議」の街頭インタビューに出演し、「友だちがいない」と発言する姿をマツコ・デラックスさんに絶賛され注目を集める。その後、モデルとしてDOLCE&GABBANA のショーにも出演。instagramのフォロワー数は約30万人、Twitterは約13万人。若い世代に支持される現役高校生。これまでの歩みを振り返る、自身初となる書籍が今年12月発売予定。

誰にも気持ちを言えず「周りを考えすぎていた」

不登校のきっかけは、学校の合併です。地域に子どもが少なくて、近くの学校と合併したんですけど、向こうの学校の子となじめなかったんです。

でも、「学校がつらい」「行きたくない」って誰にも言えませんでした。自分の気持ちよりも、家族が悲しむと思ったら言えなかった。周りの人のことを考えすぎていたんです。


それで、言えないことが蓄積して、学校に行けなくなってしまいました。当時自分ではよくわかっていなかったけど、相当抱え込んでいたんだと思います。それから2年くらいは家に引きこもっていました。

不登校になった頃「独房よりきつい」

不登校になった最初の頃は本当に毎日泣いてて、「独房よりもきつい」って思っていました。入ったことないんですけど。でも、言葉では表現できないくらいの孤独を感じていました。

学校って「行かなきゃいけない」っていう固定観念があるんで、「行かなきゃもう将来やばい」みたいに考えてたんです。でも、行きたくないし、「今行ったら目立っちゃう」とか思うと更に行けない。

そんななか、お母さんは「つらかったら休みなさい」って言ってくれたんです。「今は無理して行かなくてもいい時期なんだよ」って言ってくれたことで、すごく安心しました。

フリースクールが「リハビリ」に

不登校になってしばらくして、お母さんがフリースクールを探してくれました。

そのフリースクールがめちゃくちゃ僕に合っていたんです。僕、勉強したかったんで、勉強を教えてもらえる場所にしました。でも、それだけじゃなくて、勉強に疲れたら公園に行こうっていうところでした。

中学とか高校に行くことって、みんな毎日やってるから普通だと思うんですけど、不登校の子からすれば、学校で1日過ごすって次の日寝込むくらいハードなんです。僕もひきこもって体力がなくなっていたので、そうやって公園で運動していました。リハビリみたいな感じですよね。人と接することもしていって、それで高校に行けるようになったんです。

不登校になった時は、学校は絶対行きたくなかったけど、不登校していた期間の後半は、フリースクールには自分で電車に乗って、自発的に通っていました。

「変わりたい」意識的にやっていたこと

ずっと「普通になりたい」って思っていました。外に出て行かないと、人と関わらないから、考えることがないんです。それで悪いことばっかり考えていっぱいになる。

そんな生活から「変わりたい」って思ったとき、夜更かしをやめました。これ、結構ポイントです。夜に考えることと朝に考えることって違いませんか?

夜だったら「死にたい」とか「つらい」とか考えちゃうけど、朝には「おなか空いた」とか「カエルつかまえに行こっかな」とかに変わってる(笑)。


ひきこもるとやることがないんで、テレビ見て、夜更かししたいですよ。でも、それは自分の欲なんで、「抑えられる欲」だと思うんですよね。

意識的に夜寝られればいいけど、ダメだったら1日オールしたりすれば翌日は早めに寝れます。確かに夜中にドラマとか見るの楽しいんですけど、朝見るのも結構いいですよ。

夜と朝でこれだけ考えることが違うので、太陽の力って大きいと思うんですよ。本当にみなさん、光合成してほしいです。

最初は休む時期も大事だけど、だんだん自分で生活を管理しないと遠回りになっちゃう。今だったら別に遠回りしても絶対楽しい生活が待ってるって言えるんですけど、ちょっと自分で意識をしていくことも大事かな。

「ポイント集め」が自信になる

でも、「今すぐ変わらなきゃ」って思わなくていいと思います。今すぐって思うと無理しちゃうので。

僕は「ポイント集め」みたいな感じでした。例えば夜更かしせずに早起きしたら「1ポイント」。映画館に足を運んで、外出してみる、これで「1ポイント」。

僕の場合、映画館でチケットを買うコミュニケーションも怖かったので、それもできたら「1ポイント」みたいな。フリースクールは行って「10ポイント」、毎日行くと毎日10ポイントたまります。


自分でできたことを認めてあげて、「よくなってる」って実感していきました。それをちょっとずつちょっとずつ、2年くらいかけてゆっくりポイントをためていったんです。それが自信につながりました。

「どかーん!」と変わることはないです。だから、どかーんと変えなくていいと思います。

「何事も絶対終わる」「間違いだと思わないで」

高校に入る直前には活発になっていました。お姉ちゃんと2人で原宿行ったり、髪の毛も派手にしたり。そうやって家族が家から連れ出してくれたことが大きかったですね。

僕いつも言うんですけど、嫌なこととかだるいこととかあったら、「何事も絶対終わる」って思っていて。

不登校になったときって、絶対普通の生活に戻れないと思ってたんですよね。これ、口では説明できないくらい「絶対」と思っていたんです。僕の中ですごく「絶対」だったんです。


でもここまで普通に戻れたんで、本当に今だから言えるんですけど、「どうにでもなる」って思うんです。

だから、「マツコ会議」で元気に「友だちいない」って言っていたのは、お姉ちゃんがいたこともあるけど、友だちは「今はいない」って感じでしたね。「今はいない、これからできる~」みたいな感じ。

それでも、放送後にSNSで「友だちいなくても楽しそうなのを見て、勇気が出た」っていうメッセージをもらって、「僕が生きてることは間違いじゃないんだ」って認めてもらえたと思いました。

マツコさんにも「いいと思う」「周りがついていけてないだけよ」って言われたのがすごくうれしかったです。「正解だったんだ」「僕は間違いじゃなかったんだ」って。みんながいつか僕についてくるんだ、そうなんだ、じゃあそれまで待っていよう。つらいのは今だけ、やっぱりつらいのは絶対終わるんです。

「自分は間違いじゃない」ってわかることってすごく大事だと思うんです。むしろ、ぶっちゃけ「正解」ってないと思う。でも、それって当時はわからないんです。

同じ趣味の友だちとか、自分と同じ考えの人が近くにいれば、それはもう仲間がいるってこと。それだけで間違いじゃないってわかると思うんです。

だから、小中高の周りの人に認められてないだけで、自分は間違いだと思ってほしくないです。

今も「学校がすべてじゃない」

高校に行きたいと思ったのは、友だちがいない寂しさはありましたし、やっぱり友だちがほしいっていう気持ちもあったから。

高校に入学したら、自然と友だちができました。それでも最初は本当に怖くて、自分を強く見せようとしちゃってましたし、僕が「幸せ」と感じるところに、はまるのには結構時間がかかりました。

でも、放課後ご飯を食べたりとか、教室移動を一緒にしたりとか、そういうことがしたかったんですよね。あと、「連れション」とか(笑)。「これが連れションか!」って感じ。

友だちとしゃべっていて、自分が笑っていると、「今楽しい、しあわせ~」って感じる。それを頻繁に思い始めて、「学校楽しいじゃん」って思えるようになりました。

ただ、学校がすべでじゃないです。現に、今通っている学校で、プライベートで遊ぶ友だちはいないんです。

普段遊ぶのは、他でつながった友だちばかり。それも、相手がさみしいときには絶対かけつけるってくらいの友だち。逆に僕が困ったら、絶対来てくれる友だちが何人もできました。だから、学校でそういう関係の友だちがいなくても、気にならないです。

今も周りの人を気にしちゃうところはあるんですけど、それは本当に大切にしたい人のことだけ。それ以外の人のことは、外に出て人と関わるようになると、どんどんどうでもよくなっていきました。

「絶対、超なんとかなる!」

夏休みが明けるとき、僕は「またつらい生活が始まる」って思って学校に行きたくなかった。僕はなかなか人に相談できなかったけど、頼れる人がいたら、無理をせず相談してほしい。そして、自分を傷つけるくらい行きたくなかったら、それは100%行かなくてもいい。

嫌なことは絶対終わります。友だちも、絶対できる。焦らないで、自分は間違いだと思わないで。そうすれば楽しい生活が待っています。

僕は今の自分が大好き。絶対に誰にも僕の人生を渡したくないです。

不登校の間に原宿で服買うことに夢中になったり、髪の毛を派手にしたりとかして、そこで過ごした時間のおかげで、今の自分は楽しい仕事ができてる。ひきこもりのときの自分では、想像できないような自分になっています。

絶対なんとかなる。「絶対、超なんとかなる!」ってタトゥー入れちゃいたいくらい(笑)。それくらい伝えたいです。

 

 withnewsでは、生きづらさを抱える10代への企画「#withyou ~きみとともに~」を進めています。今年のテーマは「#居場所」。 学校は行けるけど、つらいことがある。 そんな気持ちを少しでも楽にできる「居場所」。

  目に見える「場所」でなくても、本や音楽…好きなことや、救いになった言葉でもいいです。生きづらい時間や不安な日々をしのげる「居場所」をみなさんと共有できたらと思います。 以下のツイートボタンで、「#居場所」について聞かせてください。


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いろんな相談先があります


・24時間こどもSOSダイヤル 0120-0-78310(なやみ言おう)
・こどものSOS相談窓口(文部科学省サイト
・いのち支える窓口一覧(自殺総合対策推進センターサイト

「居場所」を考えるイベント開きます

イベント

2学期が始まる。しんどくて、逃げたい……。夏休みが終わるのを前に、そんな思いを抱える子どもたちの「居場所」について考えるイベントを8月26日に昼と夜の2部構成で開きます。

(昼の部)10代が安心して過ごせる「居場所」とは?@日本財団ビル 14:30~17:30
子どもの問題を取材してきたノンフィクション作家の石井光太さん、自分の不登校経験をマンガ「不登校ガール」で描いた女優の園山千尋さん、フリースクールネモ代表の前北海さんが、「居場所」について考えるトークイベント。無料です。詳細や申し込みは→https://withyou-ibasho.peatix.com/view

(夜の部)本音トーク!「#居場所」@Twitter本社からTwitterライブ配信(@withnewsjp) 22:00~23:30
不登校経験があり、今は俳優や漫画家などとして活躍する個性的な面々が、つらい日々によりどころにした「居場所」について、本音トーク! ハッシュタグ「#わたしの居場所」に寄せられたアイデアもシェアしていきます!

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