連載
#111 #withyou ~きみとともに~
「あなたのかわりになるひとはいない」 連休中の子どもたちへ
連休明け、学校に行くのが不安、そのまま不登校になったら……。「疲れを取る時期だと考えて、思い切り羽をのばして」。自身も不登校の経験がある「不登校新聞」の石井志昂編集長は「まず休んで」と呼びかけます。大人でも気が重くなるこの時期、何人もの子どもたちの悩みを受け止めてきた専門家に「連休明けの乗り切り方」を聞きました。
不登校の現状を当事者視点で伝える「不登校新聞」(NPO法人「全国不登校新聞社」発行)の石井志昂編集長(37)は、「例年以上の大型連休で学校に行くことが苦しくなる人が増えるのではないかと心配です」と話します。10代の当事者に向けたメッセージとともに、親や周りの大人たちが気を付けることを聞きました。
――子どもはGWをどんなふうに過ごせば良いでしょうか。
「新学期が始まったばかりで、疲れがたまる時期です。長時間寝てしまったり、不安による不眠の影響でゲームやスマートフォンから手が離せなかったりすることもあります。しかし、疲れを取る時期だと考えて、思い切り羽をのばしてほしいです」
――連休明け、学校に行くことがしんどいと感じた子はどうすれば良いでしょうか。
「私も中学2年で不登校になりました。『人生が終わった』と思いましたが、学校に行けなくても人生は終わっていませんでした。私の友人の中にも、不登校になって大人になった人がたくさんいますが、みなさん社会に貢献しています。学校に行けなくても、大人になれるということを信じてほしいです」
――子どもが発するSOSに周りの大人はどう対応すれば良いでしょうか。
「SOSの形は様々ですが、学校に行こうとすると頭痛や腹痛が起きる、自分の意思で体を動かせなくなる、いらだちが止まらないといったケースが一般的です。翌日の勉強道具がそろっているか何度も確かめるなど、不安感から何でも確認したがるようになる子もいます。『学校に行きたくない』と自分からはあまり言い出しません。追い詰められて体からSOSが出て、ようやく周りが気づくケースが多くあります」
「体調や表情に異変が出てきたら、子どもとしては限界ぎりぎりの状態なんです。『無理しなくて良いよ』と言って休ませてあげましょう。子どもは、学校には絶対に行かなければいけないと思い込んでいるので、そう言われたら、自分を許せて楽になります。親は、専門家にSOSを伝える役割だと思って、ぜひ相談をしてほしいです」
「あなたの代(か)わりになる人(ひと)はいません。世界(せかい)にただ一人(ひとり)の大切(たいせつ)なあなたです。私(わたし)たちはお休(やす)みの間(あいだ)も待(ま)っています」
「ゴールデンウィークのこの時期(じき)は『五月病(ごがつびょう)』という言葉(ことば)があるくらい、おとなでも気持(きも)ちが不安定(ふあんてい)になりやすい時期(じき)です。長(なが)い連休(れんきゅう)でホッとできることもありますが、お休(やす)みで生活(せいかつ)リズムが乱(みだ)れて、学校(がっこう)に行(い)くのがめんどくさくなったり不安(ふあん)になってしまったりするかもしれません」
「どんな小(ちい)さなことも一人(ひとり)で考(かんが)えていると、だんだん心(こころ)が固(かた)くなってしまいます。そうなる前(まえ)に誰(だれ)かに話(はな)してみてほしいです。話(はな)せる人(ひと)が誰(だれ)もいない時(とき)や、知(し)っている人(ひと)には話(はな)しにくい時(とき)は、チャイルドラインに電話(でんわ)やチャットで話してみてください」
チャイルドラインでは、連休中も含め毎日午後4時~午後9時に電話相談を受け付けています。チャットでの相談も受け付けていて、5月中は毎週木曜と第1、3、5金曜の午後4時~午後9時に実施予定です。
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