
インスタフォロワーの8割超、10~30代
ふせでぃさんはインスタグラムを中心に恋愛の一コマを描いたイラストを発信するイラストレーターです。
昨年は「君の腕の中は世界一あたたかい場所」「今日が地獄になるかは君次第だけど救ってくれるのも君だから 」(いずれもKADOKAWA)の2冊のマンガを出版しています。
ふせでぃさんのインスタグラムのフォロワーは、8割以上が10~30代の女性で、イラストもその世代を意識して描くことが多いそうです。

新ジャンル 悩みながらの挑戦
そんなふせでぃさんは、関西カウンセリングセンターが3月に行っているSNS相談事業のポスターにイラストを提供しました。
イラストは4コマで構成され、「もう消えてしまいたい」と思っている女の子がSNS相談につながり「独りじゃないんだな」と笑顔になるストーリーです。
「今回、私の発信で、悩みを持つ中高生の目につけばという思いがありました」とふせでぃさんは語ります。
「これまでやったことのないジャンルだったので」と、挑戦する気持ちで臨んだといいます。
ただ、これまで恋愛を中心に描いてきたふせでぃさんにとっては、悩みながらの作業になったと打ち明けます。
「(相談する前に)思い込んでいる感じも出さないといけないけど、直接的な表現はできないし。でも軽すぎてもいけないし……」。関西カウンセリングセンターの担当者と相談しながらストーリーを決定しました。

「嫌ならいくらでも逃げようはあるよ」
ふせでぃさんに、悩みを抱える10代へのメッセージを聞くと、「いま悩んでいることが全てだと思わないでほしい」と答えが返ってきました。
「恋愛もそうなんですけど、恋愛で悩んでいる人に、『もっといい人いるじゃん』といっても、『その人じゃないとだめ』と返事が返ってくる。やめたら楽になるのになあと思うんですけどね」
「『若い』って希望です。嫌ならいくらでも逃げようはあるし、やめることだってできるんです。その道を探すためにも、相談先に頼ってほしい」

SNS相談、3月中は毎日
SNS相談窓口を開設したのは、関西カウンセリングセンターです。近畿2府4県の若者を中心に、3月いっぱい、SNS相談を受け付けています。
対応するのは、SNS相談の研修を受けたカウンセラー30人。毎日3人が対応にあたります。
「心理的援助を中心に、ニーズがあれば、直接会って話を聞くことも可能です」と、理事長の古今堂靖さん。NPO法人育て上げネットと協力し、「直接話をしたい」というニーズにも対応しています。
ふせでぃさんのイラストを起用した理由について、古今堂さんは、「若年層の自殺が問題になる中、若者につながるために、影響力のあるふせでぃさんにお願いをしました。この事業で、若者の命を守っていきたい」と話します。
安心できる相談先につながって
ポスターに対しては、孤立している人へのメッセージなのに、グループが登場すること。笑えない状況なのに、笑っている生徒を登場させていることなどへの違和感を紹介しました。
一方、ポスターを作った側には、駅という場所からショッキングな内容にはしにくかったこと。今、悩んでる人ではなく、相談先の存在が頭の片隅に残ることを目指していたという狙いがありました。
どちらの立場であっても「これという正解はない。模索を続けていくことが大事」という気持ちであることは一致していました。
悩みの中身はひとそれぞれです。それでも、一人で悩んでほしくないというメッセージは届けなければいけません。
ふせでぃさんのポスターから伝わってくるのは、これまでのふせでぃさんのイラストの雰囲気を残したままで訴えかける「相談先に繫がってほしい」というメッセージ、そして繫がった後の安心感です。相談したいけど、あと一歩が踏み出せない。そんな人の背中をふせでぃさんがそっと押すような気持ちが伝わる取り組みだと感じました。
ポスターひとつとっても、悩みを抱える人に相談先を伝える難しさを感じます。それでも、ふせでぃさんのポスターを通じて、「自分の中でもやもやとした感情が消えない」「でも相談する相手がわからない」そんな人が安心できる相談先につながるきっかけになればいいなと思っています。
◇ ◇ ◇
相談期間は3月31日までの毎日で、相談時間は午後5~9時(受付は午後8時半まで)です。
相談するには、「SNSこころの相談@関西」のLINEのID(cgy0561z)を登録するか、以下のQRコードを読み取って登録してみてください。詳細はこちらへ。


withnewsは4月から、生きづらさを抱える10代への企画「#withyou」を始めました。日本の若い人たちに届いてほしいと、「#きみとともに」もつけて発信していきます。以下のツイートボタンで、みなさんの生きづらさも聞かせてください。
みんなの「#withyou #きみとともに」を見る