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連載

#31 夜廻り猫

「親なんか敵だから」ママ友を救った一言……夜廻り猫が描く思いやり

目次

 壁を殴ったり補導されたりと荒れてしまった中学生の息子がいる女性。小学校時代のママ友に偶然出会って話をすると……。「ハガネの女」「カンナさーん!」などで知られ、ツイッターで「夜廻り猫」を発表してきた漫画家の深谷かほるさんが「子どもの思春期」を描きました。

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荒れてしまった息子の話 思いやりに励まされて

 「むっ 涙の匂い…!」。きょうも街を夜廻り中の猫の遠藤平蔵は、心で泣いている女性に気づきます。

 女性は、ちょうど小学校時代のママ友に声をかけられたところでした。

 「あれー!龍ママ!」「りこちゃんママ、久しぶり」

 「龍くん元気にしてる?」と尋ねられると、苦笑しながら答えます。

 「恥ずかしいけど 中学に入ってから荒れちゃって…。私は子育てに失敗したわ」

 ママ友は明るく笑いながら、「うちはね」と、自分の娘とぎくしゃくしている話をします。

 「思春期って 親なんか敵だからさ ね、今度飲も!」

 そう言って、ママ友は元気に去っていきました。

 なんだか心が軽くなったような女性は「思いやりってこういうことね」と遠藤につぶやき、「私も頑張る」と前を向くのでした。

子育ては時に修行 「いい経験」と言える程度なら

 作者の深谷かほるさんは「子育ては時に厳しい修行。子どもから、冷ややかに本当のことを指摘されるって、実にツライです。『それもいい経験』と言える程度だといいなぁ」と笑います。

 また、マンガに登場したりこちゃんママのように、「つらいことや自分の弱さを誰かのために役立てられる人って、いますよね。人の気持ちを察して、すかさず慰めることができるって、すごいと思います」と話します。

 「なかなか真似はできませんが、思いやりをもらったことは忘れないでいたいです」

【マンガ「夜廻り猫」】
 猫の遠藤平蔵が、心で泣いている人や動物たちの匂いをキャッチし、話を聞くマンガ「夜廻(まわ)り猫」。
 泣いているひとたちは、病気を抱えていたり、離婚したばかりだったり、新しい家族にどう溶け込んでいいか分からなかったり、幸せを分けてあげられないと悩んでいたり…。
 そんな悩みに、遠藤たちはそっと寄り添います。
 遠藤とともに夜廻りするのは、片目の子猫「重郎」。姑獲鳥(こかくちょう)に襲われ、けがをしていたところを遠藤たちが助けました。
 ツイッター上では、「遠藤、自分のところにも来てほしい」といった声が寄せられ、人気が広がっています。

     ◇

深谷かほる(ふかや・かおる) 漫画家。1962年、福島生まれ。代表作に「ハガネの女」「エデンの東北」など。2015年10月から、ツイッター(@fukaya91)で漫画「夜廻り猫」を発表し始めた。第21回手塚治虫文化賞・短編賞を受けた。単行本4巻(講談社)が7月23日に発売された。

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