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NGT48暴行事件 アイドル経済への影響は?「市場の狭さマイナスに」
アイドルグループNGT48は新潟を拠点に「地域密着・地元貢献」を掲げてきました。そんな中、起きたのがメンバー山口真帆さん(23)への「暴行」事件でした。新潟のイメージダウンにつながりかねない今回の事件の影響は深刻です。アイドルと経済との関係に詳しい上武大の田中秀臣教授は、ほかの大都市より基盤が小さいことのマイナス面が出たのではないか、と指摘します。事件の影響や、アイドルをめぐるビジネスのあり方などについて田中さんに話を聞きました。
――田中さんは 発足当時のNGT48も取り上げた『ご当地アイドルの経済学』(イースト新書)の著作もあります。今回の問題をどう感じますか?
「NGT48の運営の失敗に集約されると思います。リスク管理やマネジメント能力がなかったことが浮き彫りになりました」
「山口さんが自宅で、悪質なファンによる被害に遭ったのは、きわめて深刻な事態です」
――NGT48はほかの姉妹グループと違い、人口80万人の新潟市が拠点。地域密着を掲げていました。
「たとえば、地下アイドル(ライブアイドル)の現場だと、ファンが少ないので、1人のファンの影響力が大きい。なので、メンバーにとってたとえ迷惑なファンでも、売り上げのために運営がそのファンを容認するケースがあります」
「AKB48だとファンの規模も大きく、熱心なファングループがいくつもあるので、そういうことはないと思っていました」
「しかし、今回の問題を通じて、NGTはコア(熱心)なファンの数が少ないのではないかと感じました。そのために、『薄商い市場』と呼ばれますが、少数のファン一人一人の経済的影響力が大きくなってしまう。そこに悪質なファンだとしても容認する運営の甘さがなかったのだろうか、と感じます」
「地域密着はよい面もあります。地元だけでなく、県外から熱心なファンをつかむことで、地元にもいい効果がもたらされる期待もあります。だが、今回は新潟という市場の狭さのマイナス面が出たと感じます」
――地元への影響をどうみますか?
「NGT48が県外からも注目されるにつれて、日本を代表するアイドルグループの一つが地元にある、と誇らしい思いが生まれていました。それが、今回の問題を受けて、逆の方向に行きかねないことを危惧しています」
「『会いに行けるアイドル』を掲げ、握手会を数多く開くAKB48グループの手法は、ビジネスモデルとしては客観的には成功しているといえると思います。ファンの共感も得やすい。ただ、常にリスクと隣り合わせであることを意識して、きちんと管理していくことが欠かせません」
「その中で、アイドルファースト、自分たちのビジネスの中心にアイドルがいて彼女たちを尊重するという意識を徹底しないと、やがてシステムが疲弊するのではないか、と感じます」
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