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NGT48暴行事件、被害者心理のプロが心配すること「自分を責め……」

一連の問題について説明するAKS幹部=2019年1月14日、東京都千代田区
一連の問題について説明するAKS幹部=2019年1月14日、東京都千代田区

目次

 アイドルグループNGT48のメンバー山口真帆さん(23)が、自宅玄関で「ファン」に顔などをつかまれるなど暴行被害を受けた事件は、1ヶ月たった今も混乱が続いています。被害者である山口さんが謝罪する事態に、ネット上では運営側への批判が殺到しました。犯罪被害者の心理が専門の研究者である目白大専任講師の斎藤梓さんは「安全の確保とともに安心感を抱けることが、心の回復には重要だ」と指摘します。SNSで真偽のあやしい情報が飛び交う時代、被害者のケアはどうあるべきか。斎藤さんに話を聞きました。

【連載記事(計3回)】
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「恐怖はとても強いものだったでしょう」

――被害者の恐怖は大きなものだったと想像できます。

 「今回の事件が、安全であるはずの自宅玄関で起きた、そして相手が複数だったという点は重要だと思います。報道された事件の概要などから考えると、自分より体の大きな男性に玄関で突然顔をつかまれたならば、恐怖はとても強いものだったでしょう」

――被害者にはどんなことが、起こることがありますか?

 「一般的に、犯罪被害のように強い恐怖を感じる出来事に遭うと、社会や他人が怖くなるとか、事件を思い出して突然恐怖に駆られるといった状態になることがあります」

 「加害者が男性なら、男性が怖くなったりするのも、だれにでも起こりうることです。眠れない、ご飯を食べられない、集中して仕事ができない、行き帰りを歩くことをとても怖く感じる、といったことも起こることがあります」

 「こうした、トラウマティックな体験の後で心や身体に起きる変化は、トラウマ反応などと呼ばれます」

暴行事件の経緯=2019年1月作成
暴行事件の経緯=2019年1月作成 出典: 朝日新聞

「理解されないことや孤立は、心の回復に悪影響」

――被害者ケアの上で大切なことは何でしょうか?

 「物理的な安全が確保されることはもちろんですが、安心感を抱くことができるというのがとても大事です」

 「安心して眠ることができる。理解してくれる人がいて安心して気持ちを話せる。話さなくてもそばにいてくれる人がいる。安全感と安心感を両方持てることが、とくに早期の段階ではとても大切です」

 「その反面、理解されないことや孤立は、心の回復に悪影響となります」

「自分を責めてしまうことがあります」

――今回は事件発生から1カ月後、山口さんが公表し、騒動の渦中に置かれます。さらに本人がまず謝罪し、大きな反響を呼んだ。ストレスの大きい状況に置かれているように思えます。

 「被害の後も、事件の時に感じた恐怖感や不安感は続きます。そうした状態で、安全が守られていないと感じて問題の公表をしたのなら、不自然な行動ではないと思います。ただ、その後の騒動は、新聞などで拝見する限り、本当に大変だったと思います」

 「人は、犯罪被害に遭うと、自分が悪かったのではないかとか、もっと注意していればよかったのではないかとか、自分を責めてしまうことがあります。しかし、悪いのは恐怖を与えた側です。ご本人が、事件について、過度に自分を責めることがないようにケアが行われていることを願います。また、事件による恐怖が、周囲の方々に過小評価されなければよいなと思います」

事件前のステージ。メンバーと笑顔で歌う山口真帆さん(中央左)=昨年9月、日本武道館
事件前のステージ。メンバーと笑顔で歌う山口真帆さん(中央左)=昨年9月、日本武道館

「出来るかぎり情報を開示することが大切です」

――今後、何が必要なのでしょうか?

 「強い恐怖を感じる出来事に遭っても、人には回復力があるので、その後、二次被害がなく、周囲に支えられ、理解者がいる場合は落ち着いていく方も多くいらっしゃいます」

 「ですが、回復する環境が整わなかったり、起きた出来事のインパクトがあまりに強かったりすると、1カ月、2カ月たっても落ち着いていかないことがあり、その場合は、専門的なケアが必要になることがあります」

 「また、一般的に被害者は、他者から傷つけられたために、社会や他人が信用できなくなるので、出来るかぎり本人に情報を開示し、捜査の関係などで開示できなくても、その理由を誠実に説明することが、不安解消に大切です」

今後の対応が問われるAKS。左から松村匠取締役。早川麻依子・新NGT48劇場支配人、岡田剛・同副支配人=2019年1月14日、東京都千代田区
今後の対応が問われるAKS。左から松村匠取締役。早川麻依子・新NGT48劇場支配人、岡田剛・同副支配人=2019年1月14日、東京都千代田区

「セクハラ、パワハラでも似た構造」

――山口さんの公表が発端で騒動が起きたとして、山口さんへの批判も少数ながらネットにはあります。

 「そうした声があるとするならば、会社内などのセクシャルハラスメントやパワーハラスメントでも似た構造があります」

 「たとえば、会社で、他の人から信頼されている人がハラスメントをして、その被害者が窓口に訴えた場合、社内で被害者のほうが居づらくなることが起きます。しかし、加害側に責任があるはずで、被害者が責められるゆえんはありません」

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