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連載

#83 #withyou ~きみとともに~

SNSにアップしないと責められる? 大学生のリアルなしんどさ

生きづらさについて考える関西学院大学の学生
生きづらさについて考える関西学院大学の学生

目次

 「学校という小さなコミュニティから一歩離れてみては?」。進路や家庭環境、SNSなどの悩み……。しんどさを抱えながら中高生時代を乗り切った大学生に「生きづらさを考える授業」をしてもらいました。授業で出てきたリアルな声とは。

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中高生時代にしんどかったことは?

 参加してくれたのは、関西学院大学人間福祉学部の1~3年生です。

 福祉や社会起業などについて学んでいる8人に、自身の中高生時代を振り返ってもらい、何がしんどくて、何が必要だったのか、考えてもらいました。

 まずは「中高時代、何がしんどかったか」。小さな紙に、思いつくだけ書いてもらいました。

 「進路」「家庭環境」「親の圧」「身体的な周りとの違い」「スクールカースト」「空気を読むこと」「貧困と低学歴」「逃げ場所がない」「クラスに適応しないといけない」……。その紙を元に詳しく掘り下げながら、どんな解決方法があるのか、2班に分かれて考えてもらいました。

(上段左から)都築さん、瀧谷さん、佐部利さん、藤原さん(下段左から)小澤さん、橋爪さん、鉄谷さん、森田さん
(上段左から)都築さん、瀧谷さん、佐部利さん、藤原さん(下段左から)小澤さん、橋爪さん、鉄谷さん、森田さん
参加してくれたみなさん
<A班>
佐部利(さべり)ジャヴィッドさん、鉄谷紗理さん、藤原達人さん、森田慈音(じょん)さん(いずれも1年生)
<B班>
小澤和可奈さん(1年生)、瀧谷奈々子さん(1年生)、都築史佳さん(3年生)、橋爪正彦さん(1年生)

「自分がない」からこそ悩む

 まずはA班です。「進路」は複数の学生が書きました。

森田さん「学校では『自分を持て』と言われたが、自分を持つ前に自分がないからこそ悩んでいた。進路相談室、めっちゃ行きました」

 先生に相談することはできましたが、様々な学部の大学生の声も聞きたかったといいます。

森田さん「先生たちは基本教育学部出身だから、聞ける経験談が限られてくる。就職に関しては、学校にいろんな職業の人が講演に来てくれていたが偏っていて、自分の聞きたい話はなかった」
生きづらさについて話し合うA班の学生
生きづらさについて話し合うA班の学生

「自分の黒歴史暴露されるアカウントが……」

 「SNS」という悩みも。

 佐部利さんは、中学生の時のことを打ち明けてくれました。

鉄谷さん「中学生の時に、俺の黒歴史ばっかり暴露されるツイッターアカウントを作られました」
鉄谷さん「知らない人が勝手にアカウント作って俺の昔の写真をどっからか引っ張ってきてツイートしたり、打ち明けたくない話を拡散されたんです。友達も面白がってフォローしていました。一回警察に相談したんですけど、『実害がないと捜査できない』って言われて『そうですよねー』ってすぐに諦めちゃいました。でも、俺の心がしんどかったんですよね。とにかく恥ずかしかった
藤原さん「なんでそんなこと耐えきれたの?」

 佐部利さんはあっさりこう答えました。

鉄谷さん「だってSNSやん」
森田さん「ちゃんと実社会に生きてるからそんなこと言えるんやで」
鉄谷さん「それはそうやな。でもメンタル弱い子は苦労していると思う」

 SNSの悩みについて、鉄谷さんも経験を話してくれました。

鉄谷さん「部活で遊びに行った後、自分だけSNSにそのときの様子をアップしないと『楽しくなかったの?』と責められている雰囲気になることもあって、大変だった」

「個性出せる場所、自分で探しに行って」

 続いてはB班です。学校生活に悩みを抱えていたという橋爪さんは、寮生活だった中高生時代を振り返ってくれました。

鉄谷さん「寮生活は、常にクラスメートとか学校の人と関わるから、学校生活と切り離した逃げ場が確保しにくい。空気を読まないと生き残れなかった。本音を話せる友達が必要ですね」
鉄谷さん「友達と話すことで、自分の個性を出せるんじゃないかな」
鉄谷さん「個性を出せる場所って、ある程度自分からも探す必要があると思う」
前澤社長「自分が生かせる場所にいくのも手だし、逃げるのもありだよね」
生きづらさについて話し合うB班の学生
生きづらさについて話し合うB班の学生

A班の解決方法=「自分を持つ」

 議論を1時間程度繰り返した後、それぞれの班に「しんどさの解決方法」を発表してもらいました。

 A班発表者の森田さんは「いろんな人と会話をし、自分を見つけることが大事。旅行でも趣味でもいい。いろんなことを経験して、自分は何が好きなのか、知ることから始まると思います」。

 なぜそれが大事なのか。

 「人間関係において、嫌われることが怖くても、自分の芯が通っていれば割り切ることができるから」

話し合いの結果を発表するA班のメンバー
話し合いの結果を発表するA班のメンバー

B班は……「班としての答えは出ません」

 B班はいろいろ悩みましたが、班としての答えは出ませんでした。

 橋爪さんは個人的に考えた解決策として、「本音をさらけだせる場をつくる」と発表してくれました。

 「社会的に逃げ場を伝えることも重要で、『逃げても良いんだよ』というメッセージを社会がたくさん発信してくれればいいのではないか」と話しました。

 瀧谷さんは「解決策は、人間関係から一度離れること」と話します。

 「悩みは人間関係から生まれるもので、解決策を探すために先生や親に相談するにしても、そこにも人間関係が生まれてトラブルになったりすることもある」

 そういうときは一度、「人間関係」というものから離れてみては、と提案してくれました。 

話し合いの結果を発表するB班のメンバー
話し合いの結果を発表するB班のメンバー

授業を通して考えたこと

 話し合いを通して考えたことをそれぞれに書いてもらいました。

森田さんまずは自分を持つこと。相談における「共感」が救いになる。
鉄谷さん自分のコミュニティーが広ければ広いほど、知人、価値観、住む世界の幅は広がる。難しく考えずにそれを広げていくことが問題解決につながる。
藤原さん私は、嫌なことがあれば光や希望を大切にしています。何か熱中できるものがあれば、それに一生懸命にしていっていったん自分を客観視して見るとこが必要です。好奇心をもっていけば、一番のものが見つかると思います。冒険家、植村直己の「青春を山に賭けて」を読んで探究心のすごさに感動し、憧れを抱きました。「I can and I will.」この言葉を私は座右の銘の一つにしています。人生をあまり多く経験していない私ですが、何事も「勝つか学ぶか」だ、と思っています。
鉄谷さん悩みの共有をすることで楽になると思った。そのきっかけが大切だと思う。中高生は環境を変えづらいので、ネットから情報を得るのもひとつだと思う。
鉄谷さん学校という小さなコミュニティから一歩離れることによってなにか解消に繫がるかもしれない。生きて行く上で必要なのは、ここだけは譲れないという自分らしさを発揮することができる場や友人関係だと思う。
鉄谷さん悩みを持つ中高生が人間関係を通して解決したいのか、単に感情を発散して解決したいのかを吟味した上で策を講じるべき。悩みを持つ人自身は、自分にはどちらが適しているのかを考える必要があると思います。
前澤社長集団授業以外で、好きなものに取り組めるような学びでコミュニティを形成できれば居場所ができると思った。
鉄谷さん社会がただ支援環境を用意するだけでなく、悩んでいる本人が「自分が変わる」と思うことも大切だと思った。
 

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