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「自分がわからない」のはあなたのせいじゃない 高校生に届ける授業
若いうちは大人の言うことを聞きなさい。でも将来は自分のやりことを自分で見つけなさい――「それって無理じゃない?」。10代のそんなモヤモヤを解きほぐすため、認定NPO法人「カタリバ」は大学生が生徒と語り合う活動を2001年から続けています。
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若いうちは大人の言うことを聞きなさい。でも将来は自分のやりことを自分で見つけなさい――「それって無理じゃない?」。10代のそんなモヤモヤを解きほぐすため、認定NPO法人「カタリバ」は大学生が生徒と語り合う活動を2001年から続けています。
若いうちは大人の言うことを聞きなさい。でも将来は自分のやりことを自分で見つけなさい――「それって無理じゃない?」。10代のそんなモヤモヤを解きほぐすため、認定NPO法人「カタリバ」は大学生が生徒と語り合う活動を2001年から続けています。自分でもわからない、自分の気持ちを言葉にするため大事なのは「自分が共感できるものを探すこと」だと言います。1,300校をまわって22万人と話して見つけた「自分を理解するコツ」について聞きました。
【気持ちを表現する方法について様々な人に話を聞く、連載「表現しよう」。18日まで全6回でお届けします】
「カタリ場」とは、認定NPO法人カタリバが提供する、主に高校生を対象としたキャリア学習プログラムです。「キャスト」と呼ばれる大学生などのボランティアが学校に出張し、生徒ひとりひとりと対話。生徒の自己理解やこれを言語化したり、将来について考えたりすることを、サポートする授業です。
2001年の設立から、これまで全国1,300校を超える学校で、累計22万人の生徒と語り合ってきました(2017年時点)。カタリ場事業部で、ジュニアマネージャーを務める小野寺綾(りょう)さん(26)は、カタリ場を「生徒がどんな価値観・人生観で生きていきたいかを、一緒に考える場」と話します。
なぜ、生徒に「カタリ」が必要なのでしょう?
小野寺さんは「自分を知るためには、自分の考えていることを言ってもいい、という環境が重要」と言います。
「子どもたちは『自分で考えて、主体的に行動するように』とよく言われていますよね。でも実際は、勉強や大学進学、あるいは社会のシステムに違和感を感じて訴えても、『言うことをききなさい』と言われるのを知っています。気付かぬうちに、大人が求める『正解』に沿うように動いている矛盾を抱えて、自分の気持ちを言えなくなってしまうのです」
大人が意図していなくても、「『おかしいな』という気持ちに、蓋をされた経験があるのでは」と、小野寺さんは分析します。「就職活動で初めて自分と向き合い、苦悩する学生も少なくありません。でもそれは学生が悪いのではなく、環境がなかっただけなのです」
生徒の気持ちを引き出しやすくするために、「生徒と『ナナメの関係』にいるキャストがいるのです」。
「キャストは、先生や親という上下の関係や、友だちという横のつながりでもなく、生徒との利害関係がありません。『自分の価値観を否定されない』という環境を担保することを大切にしています」
ただ一言で「自己理解」と言っても、「自分が何がしたいのかわからない」「何を感じているかわからない」という生徒も、多いのではないでしょうか。
「そういった生徒も、もちろんいる」と小野寺さんは話します。
キャストが心がけているのは、「事実・感情・思考」の順番。まずは「何の部活に入っていますか?」など、誰でも答えられる事実ベースの投げかけをします。運動部の部活であれば、「レギュラーなの?」。徐々に「レギュラーに選ばれたときはどんな気持ちになった?」など、生徒の感情を確認した上で、動機や考え方を紐解いていきます。
生徒が詰まりやすいのは、「どう感じた?」「どうしてだと思う?」という質問。「そのときはキャストから、『私だったらこう思うけど、どうだろう?』と比較対象を示します。共感したり、否定したりする反応を見て、生徒の考えに近付いていきます」
小野寺さんが生徒に伝えていることは、授業が終わっても「自問自答を続けてほしい」ということです。
「事実・感情・思考を意識して、わからなくなったら自分に選択肢を提示してみる。人の考えに賛同するかしないかからでも始められると思います」
では、身近にキャストがいない人はどうすればいいのでしょうか。
「『当たり前だ』と思っている価値観を疑い、自分が共感できるものを探してみてください」
「小説でも歌の歌詞でもいいです。『自分だけじゃないんだ』と思えるものを探してみてください。自問自答はしんどいときもあるけれど、この観点さえあれば、必要以上に自分を追いつめることはないと思うんです。共感できる種は、世界中にいくらでもあります」
「言語化できれば、自分の味方をつくることにもつながります。『この人になら話してもいいかな』という人を、1人でも見つけてください。自分の居場所を、自分でつくれるような力をつちかっていってほしいです」(小野寺さん)
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