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不登校8年、進学に影響は? ゲームでも勉強「論理的思考養えた」
8月に全国規模で不登校当事者の集まりを計画している小幡和輝さん(24)は、小学2年から中学卒業まで、ほとんど学校には行っていませんでした。約8年の間、小幡さんはどんな生活を送っていたのでしょう? 不登校で悩む人の中には、進路の選択が少なくなることを気にする人も少なくありません。今は和歌山大学の学生であり、地方創生などの事業を展開する会社社長の小幡さんに聞いてみました。
――そもそもの不登校の理由はなんだったんでしょうか。
「幼稚園の頃から、やりたくないことをやらされるのが嫌いでした。近所の中学生とつきあいがあったのですが、中学生との方が話が合ったんです」
「中学生と勉強をしながら、マイナスの概念などを学んでいましたが、僕は当時小学2年生。学校に行くと、自分は間違ったことを言っていないのに、周りからおかしな顔をされ、会話がかみ合いませんでした」
「他にも給食で出てくる牛乳が嫌いだったり、小さな『嫌』が積み重なっていきました。最初は遅刻から、そして徐々に休みがちになっていきました」
――ご両親は?
「『行け』と言っていました。なので、休むことはあったけど学校には行っていました。ところが、学校にいくと、今度は『ずる休みだ』といっていじめられるわけです」
「廊下ですれ違いざまに殴られることもありました。それで、両親も『もう行かなくていい』となったんです」
――それからはどんな生活でしたか?
「不登校だった5歳上の仲良しのいとこと一緒に週3回、午前中に『適応指導教室』に通っていました。そこには2~3歳年上の人たち10人くらいがいて、卓球やバドミントン、囲碁、カードゲームなんかをしていました。めちゃめちゃ楽しかった」
――学習はどう進めていましたか。
「NHKの教育番組で勉強し、ゲームなどで興味を持った歴史の話などを自分で掘り下げて勉強したりしました。高校は定時制高校に進みました」
――不登校の期間を振り返るとどうですか。
「まず、時間の使い方を間違えるとだめだなと。昼夜逆転して、ひたすらゲームしていたらいまどうなっているかわからない」
「僕はいまもゲームが好きなんですが、自分の中で新しいルールをつくったりして論理的思考を養えたと思っています」
「あと、賛否あるとは思うのですが、不登校はいいけど引きこもりはよくないと思います。コミュニケーションに障害が出てくると、社会に出て行きにくくなる」
「僕の場合は適応指導教室もあったし、カードゲームが大好きだったので、その大会に出たりして友達も増え、その点は問題なかった」
――コミュニティーが大事だと。
「そうですね。講演会などで話をすると、当事者や当事者の親と話すことがあります。そうすると、当事者の子って、何かしらはまっていることがあるんですよ。ゲームとかユーチューバーとか。そのはまっているものを共通言語にできるコミュニティーがまずは必要だと思います」
「そうすると、コミュニティーの中でさらに好きなものが増えたりしていって、どんどん広がっていく」
「当事者の親にはぜひそういう、本人の好きなもののコミュニティーに参加するきっかけをつくってほしいです」
――最後に、不登校という選択肢があると知っていても、その後の進路への影響を考えて悩む人は少なくありません。
「僕は特に影響を感じないです。家で勉強すればいいですし。そのツールはいくらでもあります」
「もっと言えば学校の勉強ができなくても、AO入試という形で進学することだってできます。不安なのは情報が届いてない、知らないからだと思います。正しい情報を知り、いろんなロールモデルがいることを知れば、不安はなくなると思います」
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