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2018年03月08日

「やっと息子に会えた」初めて銘板に触れる母 慰霊の朝、見たものは


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夜明け前の暗闇、ペンライトの明かりを頼りに指先で肉親の名前に触れる=2018年1月17日午前4時46分、神戸市中央区、細川卓撮影

夜明け前の暗闇、ペンライトの明かりを頼りに指先で肉親の名前に触れる=2018年1月17日午前4時46分、神戸市中央区、細川卓撮影

出典: 朝日新聞社

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 神戸市中央区にある公園「東遊園地」の片隅に、阪神・淡路大震災で亡くなった方々の名前を刻む施設があります。震災から23年の2018年1月17日、「瞑想空間」と名付けられた場所には多くの遺族が訪れ、大切な人を偲んでいました。(朝日新聞大阪本社映像報道部・細川卓)

震災から23年を迎えた朝

 今年、発生時刻の午前5時46分に合わせ、朝日新聞社映像報道部からは5人のカメラマンが東遊園地を訪れる人々を撮影しました。

竹灯籠(どう・ろう)の火がともる中、手を合わせて祈る女性=1月17日午前5時49分、神戸市中央区、関田航撮影

竹灯籠(どう・ろう)の火がともる中、手を合わせて祈る女性=1月17日午前5時49分、神戸市中央区、関田航撮影

出典: 朝日新聞社

 午前4時45分、外は冷たい雨。「1・17」の形に並べられた竹灯籠(どうろう)の中は、ろうそくの火が今にも消えそうになっています。

 多くの人々が集まる東遊園地の南側に、ひっそりとたたずむのは「慰霊と復興のモニュメント」。私が撮影を担当したのは、その地下にある「瞑想空間」と名付けられた場所です。阪神・淡路大震災で犠牲になった方や、復興に尽力された方など5005人の名前が銘板に刻まれています。

ペンライトの明かりを頼りに肉親の名前を探す=1月17日午前4時46分、神戸市中央区、細川卓撮影

ペンライトの明かりを頼りに肉親の名前を探す=1月17日午前4時46分、神戸市中央区、細川卓撮影

出典: 朝日新聞社

 すでに4人の家族が、ペンライトで銘板を照らしています。故人の名前を見つけ、そっと指でなぞる――。その行為自体が、故人を悼む神聖な儀式の一つに見えました。

 時間が経つにつれ、訪れる人は続々と増えていきます。銘板を10分以上じっと見つめ続ける人、床にひざまずき「ばあちゃん!」と大声で叫ぶ人、家族の名前を見つけてほほえむ人。それぞれの悼み方で、1月17日の朝は過ぎていきました。

震災で亡くなった方などの名前が刻まれている「瞑想空間」=1月17日午前4時49分、神戸市中央区、細川卓撮影

震災で亡くなった方などの名前が刻まれている「瞑想空間」=1月17日午前4時49分、神戸市中央区、細川卓撮影

出典: 朝日新聞社

白い息を吐きながら銘板を見つめる女性=1月17日午前5時7分、神戸市中央区、細川卓撮影

白い息を吐きながら銘板を見つめる女性=1月17日午前5時7分、神戸市中央区、細川卓撮影

出典: 朝日新聞社

訪れた人は、亡くなった家族や友人の名前を見つけると、銘板をなで、祈りを捧げていました=1月17日午前6時16分、神戸市中央区、細川卓撮影

訪れた人は、亡くなった家族や友人の名前を見つけると、銘板をなで、祈りを捧げていました=1月17日午前6時16分、神戸市中央区、細川卓撮影

出典: 朝日新聞社

母「自慢の息子にやっと会えた」

 涙をためながら銘板をなでている女性がいました。野田貴美子さん、70歳。

 震災当時は横浜に住んでいましたが、父の葬儀で訪れていた神戸市東灘区で被災しました。そこで、当時22歳の長男・浩樹さんを亡くしました。春から商社への就職が決まり、「働き出したらバッグをプレゼントする」と約束してくれた矢先。優しくて、自慢の息子でした。

長男の名前に触れる野田貴美子さん=1月17日午前6時16分、神戸市中央区、細川卓撮影

長男の名前に触れる野田貴美子さん=1月17日午前6時16分、神戸市中央区、細川卓撮影

出典: 朝日新聞社

 野田さんは夫の看病などがあり、震災から23年後に初めて、1月17日に瞑想空間を訪れることができました。

 「やっとここに来られて、気持ちが楽になった。息子に会えたような気がします」

 涙ぐみながら話すうちに、言葉や表情から、思い悩んできたものが落ちたようにも感じました。

月日が経っても変わらない思い

地上にある水盤に白菊を献花する人々=1月17日午前6時52分、神戸市中央区、細川卓撮影

地上にある水盤に白菊を献花する人々=1月17日午前6時52分、神戸市中央区、細川卓撮影

出典: 朝日新聞社

地下の瞑想空間から見上げると、ガラスの天井越しに水盤に浮かんだ献花が透けて見えます=1月17日午前7時14分、神戸市中央区、細川卓撮影

地下の瞑想空間から見上げると、ガラスの天井越しに水盤に浮かんだ献花が透けて見えます=1月17日午前7時14分、神戸市中央区、細川卓撮影

出典: 朝日新聞社

ガラス越しに水盤に浮かんだ献花が見えました=1月17日午前7時、神戸市中央区、細川卓撮影

ガラス越しに水盤に浮かんだ献花が見えました=1月17日午前7時、神戸市中央区、細川卓撮影

出典: 朝日新聞社

 悼む人々の表情から、手から、背中から、大切な人を思う気持ちが、23年を経ても変わらないことを感じます。半径10メートルほどの閉鎖された静かな祈りの空間で、カメラマンは邪魔者でしかありません。

 それでも、震災の記憶や人々の思いを、写真を通じて伝え続けることが、自分の使命だと言い聞かせ、シャッターを切り続けました。

 時間や事情が変わることで、初めて口を開いてくれる人もいます。取材する難しさや大切さを、1月17日は教えてくれました。

東遊園地では竹灯籠(どうろう)で描いた「1995 伝 1・17」の文字が浮かび上がりました=1月17日午後5時47分、神戸市中央区、水野義則撮影

東遊園地では竹灯籠(どうろう)で描いた「1995 伝 1・17」の文字が浮かび上がりました=1月17日午後5時47分、神戸市中央区、水野義則撮影

出典: 朝日新聞社

【うそであってほしい、今も…失った妻と娘へ祈る朝(朝日新聞デジタル)】

阪神・淡路大震災から23年の追悼行事

出典:YouTube

阪神淡路大震災から23年の悼み 表情が、手が、背中が、伝えるもの
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東遊園地では竹灯籠(どうろう)で描いた「1995 伝 1・17」の文字が浮かび上がった=1月17日午後5時47分、神戸市中央区、水野義則撮影
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出典:朝日新聞社
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