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2018年03月05日

僕がつり革をドーナツにした理由 ミスドも公認、卒業展に込めた思い

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稲田光佑さんの卒業制作「つり革とIoT、新しい広告の形。」

稲田光佑さんの卒業制作「つり革とIoT、新しい広告の形。」

出典: 稲田光佑さん提供

【ネットの話題、ファクトチェック】

 「もしも、ミスタードーナツがつり革をつくったら」。そんなテーマの卒業制作がネット上で注目を集めています。作ったのは京都造形芸術大学の稲田光佑さん(22)。「つり革をつかむ行為や空間、SNSの反応も含めて作品です」と語る彼に話を聞きました。

稲田光佑さんの卒業制作「つり革とIoT、新しい広告の形。」

稲田光佑さんの卒業制作「つり革とIoT、新しい広告の形。」

出典: 稲田光佑さん提供

ミスドがつり革をつくったら


 先月下旬にツイッター投稿された画像。電車内のような空間が写っていますが、つり革の部分がミスタードーナツの「ポン・デ・ダブルショコラ」になっています。

 天井からぶら下がっている広告には「もしも、ミスタードーナツがつり革をつくったら」「つかもう、おいしさ ドーナツリカワキャンペーン」と書かれています。

 壁に貼ってあるキャンペーンの紹介文には、こう書かれています。

 「このドーナツリカワは、スマートフォンをかざすことでお得なドーナツのクーポンが手に入ります」

 単につり革をドーナツに変えただけでなく、スマホをかざすことでクーポンもゲットできる仕組みになっているようです。

 「ドーナツからポスターまで、本当にこんな広告があってもおかしくないように作りました。リアルに作るにあたって、ミスタードーナツにも卒業展の作品として許可を得ています。展示期間中の広告効果や反応をまとめた上で報告する予定です」と稲田さん。

中吊り広告やフレームやすべて自作

中吊り広告やフレームやすべて自作

出典: 京都造形芸術大学のホームページより

デザインのヒントは身の回りに


 原案を思いついたのは、京都造形芸術大学への進学が決まっていた高校3年生の時。大学の体験授業で講師から「デザインのヒントは身の回りにある」と言われたことでした。

 自分の普段の生活を振り返って思い浮かんだのが、よく電車に乗ること。その中で、つり革がドーナツのように見えたそうです。

 「そんな広告あったら面白いなと思ったんですが、なかなか、かたちにする機会がありませんでした」

 3年生になってドーナツのつり革を試作し、卒業制作にすることに決めました。

塗装前の状態

塗装前の状態

出典: 稲田光佑さん提供

フレンチクルーラーに苦労


 紙粘土でドーナツのつり革を作って気づいたことは、サイズ感の違いでした。

 「つり革の規格は決まっており、穴の大きさは一定です。しかし、これにドーナツの穴の部分を合わせると、全体が大きくなりすぎて、本物らしさが損なわれてしまうんです」

 ドーナツのリアルさにこだわった稲田さんは、「指3本が入る大きさ」を目安に何度も試作。特に苦労したのがフレンチクルーラーでした。

 「本物のフレンチクルーラーの穴はかなり小さいんですが、代表的な商品なので外せない。パッと見てそれだとわかるけど、つり革としても使えるサイズ探しに苦労しました」

実際につかむとこんな感じ

実際につかむとこんな感じ

出典: 京都造形芸術大学提供(撮影:表恒匡氏)

広告としての実用性


 見た目のインパクトだけでなく、広告としての実用性にもこだわりました。

 「デザインだけでなく、IoT(モノのインターネット)を組み合わせようと考えていました。電車内では多くの人がスマホを操作しています。それをつり革にかざすことで、かざしたそのドーナツのクーポンが手に入ったらいいなと」

 技術がよくわからない人や興味がない人に向けては、ドーナツのつり革で訴求。使いこなしたい人にはクーポンを得ることで実際の店舗へ足を運ぶ動機づけにする。ターゲットを絞ることなく広告効果が上がるよう考えた結果だといいます。

 「実際につり革をつかむ行為や、その様子を楽しんだり、撮影したりといった点も広告の一部です。遊びを広告にすることを考えました。さらにその様子をツイッターやSNSで拡散させることも含めて、一つの作品です」

稲田光佑さんの卒業制作「つり革とIoT、新しい広告の形。」

稲田光佑さんの卒業制作「つり革とIoT、新しい広告の形。」

出典: 京都造形芸術大学提供(撮影:表恒匡氏)

4年間の経験をフル動員


 つり革だけでなく、車内の広告、電車のフレーム、プロジェクターに映し出される映像など、大学時代の4年間の経験をフル動員して完成させた卒業制作。

 学内の「コース特別賞」に選ばれ、森美術館のチーフ・キュレーターで京都造形芸術大学大学院芸術研究科の片岡真実教授がキュレーションして東京で開催された展覧会にも出品されました。

 話題になったことについて、稲田さんはこう話します。

 「ネット上の反応は想像以上でしたが、自分の4年間を認めてもらえたようで、うれしいです」

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