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感動

何もない水槽「沈黙の海」 亡き水族館長の思いに「涙でた」「鳥肌」

かごしま水族館の「ある水槽」がネット上で話題になっています。順路の最後にある「沈黙の海」です。

順路の最後にある「沈黙の海」
順路の最後にある「沈黙の海」 出典: かごしま水族館提供

目次


 かごしま水族館(鹿児島市)の「ある水槽」がネット上で話題になっています。順路の最後にある「沈黙の海」と書かれた、何も生き物が入っていない水槽。開館当初は話題になったものの、近年は「忘れられた水槽」となっていました。それがツイッターを通じて再び注目され、亡くなった初代館長が書いたメッセージが多くの人々の心に届いています。

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奥行き12センチ、小さな青い水槽

どこまでも続くように見える「沈黙の海」
どこまでも続くように見える「沈黙の海」 出典: かごしま水族館提供


 カツオなど黒潮に乗って回遊する魚の「黒潮大水槽」や、錦江湾の生き物たちを展示した「かごしまの海」の鑑賞を終えて出口に向かうと、壁に埋め込まれた小さな水槽があることに気づきます。

 縦130センチ、横110センチ、奥行き12センチの小さな青い水槽。1997年の開館当初から設置されていて、これまで何の生き物も展示されてきませんでした。水槽の隣には「沈黙の海」と書かれたメッセージが添えられています。

青い海 なにもいない
もう耳をふさぎたいほど
生きものたちの歌が聞こえていた海
それが いつのまにか、何も聞こえない
青い海

人間という生きものが
自分たちだけのことしか考えない
そんな毎日が続いているうち
生きものたちの歌がひとつ消え
ふたつ消えて
それが いつのまにか なにも聞こえない
青い 沈黙の海

そんな海を子供たちに残さないために
わたしたちは 何をしたらいいのだろう?
「沈黙の海」に添えられたメッセージ
「沈黙の海」に添えられたメッセージ 出典: かごしま水族館提供

「琴線に触れる」「涙がでた」


 この水槽について触れたツイートは1万5000リツイートを超え、多くの反響を呼んでいます。





企画したのは初代館長


 このメッセージは初代館長の吉田啓正さんのものです。あまりの静けさに不気味ささえ感じさせる水槽。展示を考えたのも吉田さんでした。

 現館長の荻野洸太郎さんは、こう振り返ります。「吉田さんは『生き物を見せるだけじゃなくて、海の環境問題について伝えたり、訴えることをやっていかなきゃいけない』と話していました。それが、この水槽なんです」

 出口近くのレストラン入り口付近に場所を決め、小さな水槽を特注でつくってもらったそうです。荻野さんによると、開館当初は女子高生を中心に水槽の前に20分ほど立ち尽くす人をよく見かけたといいますが、次第に立ち止まる人は少なくなっていったそうです。

 「いつのまにか『忘れられた水槽』になっていました。それが、こうしてツイッターなどを通じて話題になるのはうれしいです。魚を見るだけじゃなく、海を考えるきっかけになればと思います」と荻野さんは話しています。

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