小学生、スポーツブランドが目立つ
かくいう私もよく着ていた1人です。なんだかとてもカッコよく感じ、サーフィンが何かもわからなかったのですが、平ぺったく言うと「イケてる」感じがしました。

思い出をたどると、イケてる友だちがいたのは「イオンのゲーセン」。そんな謎の確信があったため、東京近郊のイオンのゲームセンターに行くことに。
親子連れや、小中学生が集まるゲームセンターにたたずむ27歳。クレーンゲームにお金を吸い込まれながら、1時間ほど観察しました。
小学生の男子と思われる子どもを中心に、チェックしたのは総勢37人。「PIKO」を着た少年はいませんでした。ブランドがわからないTシャツも多かったのですが、目立つのはPUMAやNIKEなど、スポーツブランドでした。

「PIKO」は「へそ」の意味
クリムゾンは、ライセンス契約によって、1996年から20年以上「PIKO」を販売しています。2000年代には、同じくサーフブランドとして大きな支持を得た「T & C Surf Designs」の販売を開始し、当時の二大サーフブランドを手がけていました。(「T & C Surf Designs」の契約は現在終了しています)
「PIKO」とはハワイ語で「へそ」。ロゴマークの渦も、へそを表現しています。創業者はハワイに住む日系アメリカ人のケビン・カマクラ氏とウェイド・モリサト氏でした。
現在は、ハワイにいる2人とコミュニケーションをとりながら、日本主体で企画・販売されているそうです。

最も売れたのは2000年代初頭
日本では、ちょうどその頃サーファーファッションの流行が到来していました。大きくロゴの入ったTシャツが20代女性を中心に受け入れられ、PIKOのブームに火がつきました。販売のピークの時期には、追加生産が追いつかないほどだったといいます。
金井さんは「子どもをターゲットにしていた訳ではない」と話します。メンズでもよく売れるようになると、親が子どもにも着せたいと思うようになり、流行がキッズにも波及しました。私が子どもの頃見ていたTシャツは、親世代からの延長線上にあったのですね。


認知がここまで広がった背景には、さまざまなプロモーションを打ち出してきた戦略があります。キャンペーンに応募するとノベルティがもらえる企画を、テレビCMなどで宣伝してきました。これは私の記憶なのですが、「PIKO」のロゴがプリントされたビニール製のサマーバッグを持っていることは、学校生活の中でのアドバンテージでした。

流れが変わってきたのは10年ほど前
「PIKOを売ってもらうお店が明らかに減ってきました。モール型のショッピングセンターや複合施設が増えた一方、『ロードサイド』と呼ばれる国道や大きな道路沿いにあった小売店が減っていきました」
「またGAPなどの外資系のアパレルブランドも台頭してきました。ファストファッションやプライべートブランドなど比較的安価な洋服がよく売れるようになったこともひとつの要因です」

新しいデザインを取り入れようと、柄などを大きく変えた時代もあったといいます。
金井さん
金井さん
「昔流行ったよね」からの脱却
流行ったときは「みんなが着てるブランド」が支持された時代でもあったのですが、一方で「みんなが着ていたから嫌だ」というネガティブな面もあるといいます。
金井さん
「PIKOはハワイで生まれ、デザインなどにもハワイの島にインスピレーションを受けている部分があります。そういったハワイの自然や文化を感じ取れるブランドとして、新しい挑戦をしてみようと思いました」
アロハシャツを提案
そして2017年夏、「アロハを着てハワイを探検しよう」というテーマで、「ALOHA from PIKO」というアロハシャツを中心とした商品の展開を始めました。いつもとは違うワンランク上の「PIKO」として、国内でもハワイにいる気分を味わえるようなデザインになっています。

野口
金井さん

野口
金井さん



野口
金井さん
野口
金井さん
金井さん
ブランドイメージを直接伝えたい
この夏は期間限定で、高島屋新宿店やハワイに関するイベントなどでポップアップショップを出店し販売を行ったそうです(現在はオンラインショップでのみ販売)。

ただ「基本的にこれまでのPIKOのデザインは定番として、変えるつもりはありません」と話す金井さん。
「既存のシリーズがあってこそです。我々はゴリゴリのサーフブランドではなく、ファミリー向けの”カジュアル”サーフブランドです。その上で新しいことにチャレンジしていって、『PIKO=ハワイ』というイメージを広げていきたいです。そして逆に『ハワイと言えば、PIKO』と言ってもらえるようになれば」と語っています。
