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「見た目問題」ネットで反響、本人の思いは…「そういう反応は覚悟」
顔の変形、あざ、まひ、脱毛……。特徴的な外見ゆえにいじめられ、就職や恋愛で困難に直面する「見た目問題」。当事者の1人、大学院生の石田祐貴さん(24)の思いを伝える記事が4月11日に配信されると、ネット上で大きな反響を呼びました。「多くの人に僕の症状を知ってもらえたことはありがたいです」と石田さん。「見た目問題」についての思いをあらためて聞きました。
――ネット上の反応をどう受け止めましたか
「正直、こんなに読まれるなんて、驚きました。ニュースサイトのトップで紹介してもらうような、偉業を成し遂げた人間っていうわけでもないのに…、いいのかなと。でも反響を頂いて本当にありがたいです」
――ネット上では、「この病気、はじめて知った」との声が多かったです
「取材を受けた目的は、一人でも多くの人に症状を知ってもらうことだったのでよかったです」
――石田さんの前向きな姿に「尊敬する」「私の悩みなんてちっぽけだ」と自省する書き込みもありました
「僕の友人がフェイスブックで記事をシェアしたら、『勇気をもらったと、石田さんに伝えて下さい』」などと、多くの人からメッセージが届いたそうです。ほんの少しでも誰かの役に立てたのかなと実感できて、今回取材を受けてよかったなと思いました」
「あとネット上の反応ではないですけど、大学内で、『記事読みましたよ、よかったです』と温かい声をかけてくださる方もいました」
顔ニモマケズ、僕は生きる 内面好きと言ってくれた彼女 https://t.co/mZ9cUc0uSS
— 朝日新聞(asahi shimbun) (@asahi) 2017年4月11日
――「写真に驚いた」「街中で会ったら、見てしまう」という反応も
「素直な反応だと思います。この記事で知ったことを機に、驚きも減ってくれればいいなと思います」
――中傷の書き込みも一部ありました。取材を受けるとき不安ではありませんでしたか
「僕の人生を振り返っても、そういう反応をする人がいることはわかっていますので、覚悟していました。ですから、中傷が怖くて取材を受けることについて不安を感じることはありませんでした」
「取材に答えることで、自らの人生を整理できるので、自分にとっても発見があります」
――記事の反応を受けて「見た目問題」をどのように伝えていきたいと思いましたか?
「社会は簡単には変わりませんが、このような発信を積み重ねることで、新しい未来をつくることができると思っています」
「(当事者を支援するNPO法人)マイフェイス・マイスタイルやメディアの取材への協力など、僕のできる範囲で発信を続けたいです。将来の夢の一つである先生になったら、子どもたちの前で自分の症状について説明したいと考えています」
4月11日の記事では、「ほおやあごの骨が未発達、欠損した状態で生まれた」トリーチャーコリンズ症候群と呼ばれる疾患を持って生まれた石田さんの生い立ちから現在までの思いを紹介しました。
これまでに10回以上の手術を受けた石田さん。「劇的な変化が望めるわけではない」と、今はもう手術を受ける気はないと言います。
「今も鏡を見て、『この顔じゃなかったら……』と落ち込むこともあります」と明かす一方、「自分の力で変えられるものではないので、『割り切ろう』と考えています」とも語りました。
石田さん現在、筑波大学大学院で障害に関する教育について研究しています。
記事では「研究者か学校の先生になりたいです。僕だからこそ、子どもたちのためにできることがあると思います。障害がある子に教えるならロールモデル(手本)になれるし、健常者の子なら僕の存在自体が社会を考える素材になれると思います」と将来について話していました。
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