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歌うと「選挙ポスター風の顔」になる曲判明! “これっくらいの~”
「頼もしい」「実行力がある」「誠実」…。こんな印象を打ち出したいとき、みなさんはどうやって写真を撮りますか?自分を印象づけ、好感を持ってもらうために、イメージがとっても重要な選挙ポスターの写真。プロは何を意識して、どんなふうに写真を撮っているのでしょう。大阪・心斎橋にある写真スタジオ「スタジオクライム」の藤田啓二カメラマンを訪ねてみると、定番ポーズが出来上がるまでの舞台裏や、好感を持たれる写真選びの〝心得〟が見えてきました。(朝日新聞大阪本社生活文化部記者・松本紗知)
スタジオクライムでは、市町村議を中心に、首長や国会議員の選挙ポスター写真を手がけてきました。半数は初めて立候補する候補者で、服装や髪形、ポーズまで、アドバイスをしながら撮影を進めていきます。
まずは服装を選びます。服は多めに持ってきてもらい、何着か着替えながら、テスト撮影をして、写真写りを確かめます。
ヘアメイクも、スタジオのスタッフが担当します。
「女性のメイクは、実際の印象と大きく変わらないように。男性は肌の調子を見ながらファンデーションを塗ることもありますが、ちょっとしたシミは貫禄のうち。消してしまうと薄っぺらい人間に見えてしまう」
ちなみに撮影後の写真の修整も、突発的なニキビや傷以外は、ほとんどしないようにしているそう。
こうして撮影の準備を整えた候補者は、キリッと自信がみなぎり、来店時とは表情も違って見えます。
いよいよ撮影。脚立も使いながら、バストアップ、全身、ガッツポーズなど、様々なカットを撮影していきます。
ところで、選挙のポスターやパンフレットでよく目にする、「有権者に語りかけている風」の写真。実は、誰もが知っている「ある歌」を歌いながら撮っているんだそう。スタジオマネジャーのCHiCOさんが、〝企業秘密〟を明かしてくれました。
「カメラの前に立つ候補者に、私のまねをしてください、と言って、『これっくらいの~おべんとばこに~』と、手遊びをするんです」
みなさんも一度は聞いたことがありますよね、「おべんとうばこのうた」。
「最初は皆さん『え??』ってびっくりされるんですけど、2~3回繰り返すと、昔の記憶がよみがえってきて、いい表情が引き出せます」
そんな舞台裏があったとは。「おべんとうばこのうた」を脳内再生しながら見ると、写真のイメージがだいぶ変わりますね。
そうして100枚ほどの写真が出来上がります。ほとんどの候補者が、全ての写真を買い取るそうですが、藤田さんは「あんまりかっこいい写真は選ばないようにしましょう」と伝えるそうです。
「本人に選ばせると、俳優みたいにシュッと写ったかっこいい写真を選ぶんです。女の人も、シワが目立たない、すました顔の写真を選ぶ。タレントのプロフィル写真じゃないんだから!っていつも言います」
「有権者は見た目がいい人に投票するわけじゃない。自分たちのために泥臭く、走り回ってくれそうな人に投票する。だから選挙で使う写真は、人間味が出ている写真の方がいい」
そういえば、以前の記事で取材した選挙プランナーの三浦博史さんも、「選挙に使う写真は、本人以外が選んだ方がいい」と話していました。
みなさんも、ここぞという時の一枚は、家族や友人に選んでもらってはいかがでしょうか。自分では気付かなかった魅力が、見つかるかもしれません。
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