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パロディー商品「闘争の歴史」 フランク三浦・面白い恋人・SHI-SA…

パロディー商品の商標は許されるのか――。スイスの高級時計「フランク・ミュラー」と大阪発の「フランク三浦」の対決では、三浦側にOKが出ましたが、過去にこういうバトルは何度も勃発。世間を騒がせたあの事件、覚えていますか?

石屋製菓が記者会見で並べた「白い恋人」(左)と「面白い恋人」=2011年11月、札幌市
石屋製菓が記者会見で並べた「白い恋人」(左)と「面白い恋人」=2011年11月、札幌市 出典: 朝日新聞

目次

パロディー商品の商標は許されるのか――。スイスの高級時計「フランク・ミュラー」と大阪発の「フランク三浦」の対決では、三浦側にOKが出ましたが、過去にこういうバトルは何度も勃発。世間を騒がせたあの事件、覚えていますか?

【パロディーの境界線1】ザ・ニュースペーパーの流儀
【パロディーの境界線2】「スマン・スミス」はOKか?
【パロディーの境界線3】本家との対決「闘争の歴史」

事件1「面白い恋人」はシャレにならなかった

「白い恋人」(左)と「面白い恋人」=2011年11月、札幌市
「白い恋人」(左)と「面白い恋人」=2011年11月、札幌市 出典: 朝日新聞

パロディー闘争史にさんぜんと輝くのが、お笑い界のリーダー、吉本興業などが販売した「面白い恋人」です。北海道の銘菓「白い恋人」をつくる石屋製菓はぜんぜん笑わずに、「面白い恋人」の販売差し止めを求める訴えを札幌地裁に起こしました。2011年11月のことでした。

決着がついたのは13年2月。吉本側が「面白い恋人」のパッケージを変え、販売を基本的に関西6府県に限る条件で、和解が成立しました。

でも、石屋製菓は別の会社が出している「黒い恋人」も「お台場の恋人」も訴えてはいません。実は「○○の恋人」という商品自体は全国にたくさんあり、石屋製菓の専売特許ではないのです。ではなぜ吉本にだけ怒ったのか。

「大阪で販売している限りは静観していた。販路を北海道に広げようとしているという情報が入ったので、訴訟に踏み切った」。石屋製菓の担当者はこう説明してくれました。

事件2「SHI-SA」は取り消しの取り消しの取り消しの取り消し

「SHI-SA」商品を扱う土産物業者の通販ページ。「沖縄生まれのブランド」とうたってはいますが……
「SHI-SA」商品を扱う土産物業者の通販ページ。「沖縄生まれのブランド」とうたってはいますが……

バカボンのパパの名言みたいな状態になっているのが、「PUMA」と「SHI-SA」の争いです。企業間だけでなく、特許庁と知財高裁がケンカをする異例の事態になっています。

発端は、2007年4月。沖縄県の土産物業者が、「SHI-SA」と書かれたロゴに向かってシーサーが跳び上がるデザインの商標を登録しました。これにPUMA側が異議。特許庁は登録を取り消すことを決定。これに対し、今度は業者側が異議。すると、知財高裁は取り消しの取り消し、つまりOKの判決を出したのです。

これで終わりではありません。知財高裁の判決を受け、特許庁が再び審理をやりなおしたところ、出した結論は「取り消しの取り消しの取り消し」。さらに知財高裁がそれを取り消す判決を出しました。つまりOK。これが2010年のことです。

まとめると、特許庁「SHI-SAはOK」→特許庁「やっぱりNG」→知財高裁「いやOK」→特許庁「いやNG」→知財高裁「いやOK」。
これでもまだ、PUMA側が抗議をしており、最終的な結論は出ていません。

「PUMA」のロゴが大きく掲げられたプーマストア大阪=2012年12月、大阪市中央区
「PUMA」のロゴが大きく掲げられたプーマストア大阪=2012年12月、大阪市中央区 出典: 朝日新聞

事件3「フランク三浦」も今後は不安

発音は「フランク・ミュラー」に似ていたものの、文字の見た目は似ていないという判断で、商標登録が有効だと認められたフランク三浦。パロディーのセンスにファンも多かったことから、注目を集めました。

でも、安心はできません。文字版も含めた時計のデザイン全体がOKかの判断は出ていないからです。ロゴが似ていないとしても、デザイン全体として似ていると判断され、商品を売ることができなくなる――。こんな可能性も残されています。

「えりんぎの丘」は本家にもウケた

heiseiの「えりんぎの丘」=橋村政海さん提供
heiseiの「えりんぎの丘」=橋村政海さん提供

殺伐とした事件ばかり紹介してきましたが、こんな例もあります。高知の美術教師がつくった、「えりんぎの丘」「えのきの山」。「きのこの山」「たけのこの里」に似たパッケージでパロディー作品をてづくりし、話題を集めました。本当は漫画家になりたかったというこの男性。漫画のように「人を楽しませたい」という思いでつくっているそうです。

これに対し、本家の明治製菓は静観の構えをとっています。本心ではどう思っているのか、担当者に聞くと、「公認はできません。でも、『お菓子を通じて楽しい世界をつくる』という理念には合致しています」。本家とパロディーする側の「理念」が通じ合うことが、闘争を乗り越える一つのカギなのかもしれません。

【パロディーの境界線1】ザ・ニュースペーパーの流儀
【パロディーの境界線2】「スマン・スミス」はOKか?
【パロディーの境界線3】本家との対決「闘争の歴史」

 「パロディーの境界線」は4月23日発行の朝日新聞夕刊紙面(東京本社版)「ココハツ」と連動して配信しました。

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