地元
大雪に埋まった芸術、地元有志が再制作 青森「冬の田んぼアート」
青森県で開催されている「冬の田んぼアート」。中止の危機を救ったのは地元の有志たちでした。
地元
青森県で開催されている「冬の田んぼアート」。中止の危機を救ったのは地元の有志たちでした。
「田んぼアートの村」として知られる青森県田舎館村。そんな村で14日まで開催されているのが「冬の田んぼアート」です。雪原を踏み固めて描く「スノーアート」を、英国のアーティストを招いて作ったのですが、期間中の大雪で埋もれてしまい鑑賞できない事態に。イベント中止になるかと思われましたが、地元の有志が一日半かけて再びアートを制作。11日に実施された夕方のライトアップに間に合いました。再制作にかかわった人に思いを聞きました。
田舎館村と青森県が主催するこのイベントは、6日から14日まで「道の駅いなかだて」で開催されています。夏場は「田んぼアートの村」として知られる田舎館村で、「アートの二毛作」を売りに、新たな冬の観光の目玉にしようと今年から企画されました。
英国から招いたのはスノーアーティストのサイモン・ベックさん。スノーシューで歩き回った足跡で幾何学模様の作品を描き、世界各地で発表しています。
田舎館村でも雪の結晶やダイヤモンドをイメージした作品を完成させていましたが、9~10日に約20センチの積雪があり、雪に埋もれて判別できなくなりました。
再制作をお願いしようにも、ベックさんはすでに出国。期間中盤で目玉作品を見ることできなくなり、イベント中止も危惧されるなか、立ち上がったのは地元の有志たちでした。
村の地域おこし団体「『田園』未来を築く会」がボランティア参加を呼びかけ、集まった弘前大の学生らと7人で、三角形を組み合わせて星の形になるようにスノーシューで雪を踏み固め、一日半かけて制作しました。
中心となったのは、学生時代から会のメンバーで、現在は村の総務課で働いている須藤貴子さん(31)。イベントとは関係のない部署ですが、「せっかく来てくれた人たちに申し訳ない気持ちと、自分たちの技術を試したい」との思いから手を挙げたそうです。
数年後に自分たちでスノーアートを制作して冬のイベントとして定着させようと、須藤さんたちはベックさんから技術指導を受けていました。
ベックさんのように曲線を用いた表現はできませんが、直線を組み合わせて制作。11日のライトアップの際は、観客から「すごい!よかったね」「心配したよ」と声をかけられたそうです。
「ベックさんのようにクールな作品ではありませんが、喜んでいただけてうれしいです」と須藤さんは話します。
1/27枚