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年賀状「おりた」側の言い分 「自分の近況だけ……うれしくない」

年賀状を「おりた」人にとって、元旦の郵便受けはちょっと気が重いかも。メールやLINEのある現代、年賀状を書く理由とは? 「おりた」派と「なくならない」派の言い分。

干支にちなんだ、サルの看板から顔をのぞかせるこども=金沢動物園、2015年12月19日
干支にちなんだ、サルの看板から顔をのぞかせるこども=金沢動物園、2015年12月19日 出典: 朝日新聞

目次

 年賀状のやり取りをやめた、いわゆる「おりた」人にとって、元旦の郵便受けはちょっと気が重いかもしれません。メールやLINEのある現代、それでも年賀状を書く理由とは? 「おりた」派と「なくならない」派の言い分です。

「慣習だから」疑問

 「おりた」派の言い分の一つが、「慣習だから書いている」ことへの疑問です。近況を知らせたいのなら、年賀状ではなく、普通にはがきや手紙で知らせればいいというもの。

 家庭用プリンターで家族の写真を印刷し、一文だけ手書きで添える。おなじみのパターンには「自分の近況だけを知らせる文章……ちっともうれしくない」(神奈川県の40代女性)という声もあります。

 生活の簡素化を理由にやめた人もいます。滋賀県の60代男性は日本人男性の健康寿命とされる71歳までの期間を考え「生活空間や所有物、諸活動を縮小していきたい」という結論に。今年は、「年賀状交換も省略いたしたく、来年以降はご遠慮頂きますようお願い致します」という文面の年賀状を出すことにしたそうです。

「年に一度のごあいさつです」と年賀状を投函(とうかん)する男性=2015年12月15日
「年に一度のごあいさつです」と年賀状を投函(とうかん)する男性=2015年12月15日 出典: 朝日新聞
年賀状の季節がやってきた。けれども私は、今年も出すつもりはない。数年前に、恒例になっていた年賀状書きからおりたのだ。
2015年12月23日:(声 どう思いますか)11月23日付掲載の投稿「恒例の年賀状書き、私はおりた」:朝日新聞紙面から
66回目の正月を迎えます。日本人男性の「健康寿命」は71歳だとか。その寿命まで、あと5年ほどです。それまでに生活を簡素化することを本年以降の目標とし、生活空間や所有物、諸活動を縮小していきたいと思い立っております。
2015年12月23日:(声 どう思いますか)11月23日付掲載の投稿「恒例の年賀状書き、私はおりた」:朝日新聞紙面から

コピペ時代だからこそ大事

 一方、メールやLINEのある今だからこそ年賀状にこだわる人がいます。コピペが当たり前の時代に対して「手軽になった分、込める気持ちの量は軽くなった気がする」(神奈川県の20代女性)と問題提起。今年は、手書きの手間を楽しむ気持ちになったそうです。

 年賀状を続けてほしいという三重県の90代女性は「数少なくなった友人や知人と少しでもつながっていると感じられる年賀状は、やはり心弾むものがあります」と言います。「その方が元気に生活している姿を想像しながら、心を込めて年頭のお祝いの言葉を書くのは、とても楽しいものです」

猿をモチーフにしたアクリルたわし=奈良県立橿原考古学研究所付属博物館
猿をモチーフにしたアクリルたわし=奈良県立橿原考古学研究所付属博物館 出典: 朝日新聞
大学生の今、新年のあいさつは定型文をコピー・アンド・ペースト(切り貼り)し、メールやSNSで一気に済ませる。一瞬で多くの人にメッセージを送れる。でも、手軽になった分、込める気持ちの量は軽くなった気がする。
2015年12月23日:(声 どう思いますか)11月23日付掲載の投稿「恒例の年賀状書き、私はおりた」:朝日新聞紙面から
年賀状は書くのも頂くのも、うれしいものです。ですから私は、昔からのこの習慣を、皆さんにもぜひ続けていってほしいと思っています。年齢が90歳を超しますと、他界してしまった友人や知人が多くなります。互いの近況を伝え合う相手が減っていき、寂しい思いや寒々しい思いをすることがあります。
2015年12月23日:(声 どう思いますか)11月23日付掲載の投稿「恒例の年賀状書き、私はおりた」:朝日新聞紙面から

電報と同じ運命?

 それでも「年賀状もなくなることはないと思います」と言うのは、「年賀状の戦後史」の著作があるノンフィクション作家・内藤陽介さんです。

 内藤さんは「時間も手間もかかるからこそ、年賀状を書くことは文化的な行為」とし、情報伝達の手段としては役割を終えても慶弔の場で役割を果たしている電報を例に挙げます。

 そもそも年賀状を出すか出さないかで悩んでしまうのが「日本人の『義理堅さ』の表れかも」と、分析します。

 枚数自体はピークだった1999年用の約41億9千万枚から減少している年賀状。2015年用は約29億7千万枚でした。2016年用は12月11日時点で前年同期比で約5%少なくなっています。

 日本郵便は、年賀状のプロモーションにアイドルグループの嵐を起用。「年賀状を出そう」ではなく「ください」という、一ひねり効かせた宣伝コピーを展開しています。

北海道猿払村のゆるキャラ「さるっぷ」=稚内市
北海道猿払村のゆるキャラ「さるっぷ」=稚内市 出典: 朝日新聞
日本郵便によると、年賀はがきの販売枚数は、1999年用の約41億9千万枚をピークに減り、15年用は約29億7千万枚。来年用も今月11日時点で前年同期比で約5%少ない。
年賀状の受け付け開始 「嵐」が早めの投函呼びかけ
でも、時間も手間もかかるからこそ、年賀状を書くことは文化的な行為なのです。なくても生きていけるけど、その無駄をどれだけ許容できるかが社会の豊かさ。情報伝達手段として役割を終えた電報が、慶弔の際に使われ続けているのと同じで、年賀状もなくなることはないと思います。
2015年12月23日:(声 どう思いますか)11月23日付掲載の投稿「恒例の年賀状書き、私はおりた」:朝日新聞紙面から
ただ、年賀状を虚礼や義務感でやり取りするのは、苦しいものです。義理チョコと同じように考えたらいいと思います。もらったらありがたく頂けばいいし、返すのが負担であれば返さなくていい。あれこれ思い悩んでしまうのは、日本人の「義理堅さ」の表れかもしれません。
2015年12月23日:(声 どう思いますか)11月23日付掲載の投稿「恒例の年賀状書き、私はおりた」:朝日新聞紙面から

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