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Newmanさんからの取材リクエスト

今秋、在阪FM局の洋楽専門番組が次々と終了しましたが、一般的に洋楽は数字が取れなくなってきているのでしょうか?



洋楽専門ラジオ番組が相次ぎ終了 犯人は「若者の洋楽離れ」なのか?

10~30代をコアターゲットに高い聴取率を誇る大阪のFM802で今年9月、2つの洋楽専門の音楽番組が終了し、話題になりました。「洋楽離れ」が声高に叫ばれる昨今、これもその余波なのでしょうか。「ラジオの洋楽番組」のいまを探ってみました。

「American Top 40」の放送を収めた原盤。これが毎回空輸で届けられ、日本で放送していた
「American Top 40」の放送を収めた原盤。これが毎回空輸で届けられ、日本で放送していた

J-POP世代は洋楽コンプレックスがない?

 あるレコード会社担当者は、そうした熱狂の根底には、洋楽という音楽文化への強い「憧れ」「崇拝」「特別感」があったと言います。「サウンド、演奏、レコーディング技術。当時、楽曲のクオリティーに明らかな差があり、邦楽は洋楽のモノマネというイメージまであった。『本場との差を知りたい』。そう思う人がラジオの周波数をこぞって合わせました」

 そんな需要に局側も応えてきました。1960年代には、「S盤アワー」(文化放送)を筆頭に、洋楽新譜を紹介する番組が人気を博しましたし、70~80年代は、音楽評論家の渋谷陽一さんや伊藤政則さんらが、個性豊かな解説と共に洋楽を紹介する番組が、存在感を高めます。現役女子大生が曜日ごとにDJを務める「ミスDJリクエストパレード」が一世風靡したのは80年代です。

 この担当者は続けます。「しかし、時代が進む中で、日本のロックやポップスなどが実力を付け、『洋楽のモノマネ』という見方やイメージを打ち消していった。90年代には『J-POP』という言葉も生まれ、ミリオンヒットを次々と飛ばした」。人々の洋楽への特別な感情が薄まった分水嶺は、この頃ではないか、というわけです。

爆発的売り上げを記録した、宇多田ヒカルのデビューアルバム。「J-POP」を確立したうちの一人=1999年4月22日
爆発的売り上げを記録した、宇多田ヒカルのデビューアルバム。「J-POP」を確立したうちの一人=1999年4月22日 出典: 朝日新聞

中高年は回顧、若者には新鮮…洋楽リバイバルも

 では、ラジオの洋楽専門番組はなくなる運命かといえば、そうとも言えません。80年代に人気を集めた洋楽チャートTV番組「ベストヒットUSA」が03年に復活。この頃から、実は中高年層を中心に洋楽リバイバルブームが到来しているといいます。
 ラジオでは、「全米トップ40」が、2010年にラジオ日本で復活。英語のみの放送で、その枠とは別に、DJ矢口清治さんが解説を付け加える日本語版も好評を博しています。NHK―FMでは、今年4月から70~80年代の洋楽に特化したリクエスト番組「洋楽グロリアスデイズ」が始まりました。このほか同局では、97年から渋谷陽一さんが新旧アーティストの新譜を紹介、解説する「ワールドロックナウ」も続いています。
 ヤング・スタッフの大高さんは想像します。「子育てや仕事に一段落付き、青春時代の音楽にいま一度向き合う時間が生まれたのでしょうか」

 ビートルズの「抱きしめたい」、ビージーズの「恋のナイトフィーバー」、デュラン・デュランの「ザ・リフレックス」……。時代の風雪に耐え、今も歌い継がれる音楽。ある世代には青春時代にあびるように聴いた思い出のメロディーですが、一方で、若い世代にとってはまさに未知の音楽です。今月6日、ザ・ビートルズの初のミュージックビデオ集「ザ・ビートルズ1」が世界一斉に発売されましたが、そこで10、20代が新たにファンになる現象が生まれているのが顕著な例でしょう。そんな若者の関心を満たす場として、洋楽番組はなくなることはないのかもしれません。

ビートルズ初のミュージックビデオ集を買おうと多くの人たちが集まった=2015年11月5日
ビートルズ初のミュージックビデオ集を買おうと多くの人たちが集まった=2015年11月5日 出典: 朝日新聞

ラジオDJは「音楽の大海原」の航海士

 とはいえ、昨今のインターネットの普及で、主に若い世代が、ラジオというメディアと距離を置く厳しい現実も存在します。特に今年、日本では、「アップルミュージック」「AWA」など、定額制のストリーミング聴き邦題サービスが相次いで参入。ネットにつないで、いつでもどこでも何百万曲を自由に楽しむスタイルが定着し始めました。

 人々が音楽の大海原を自由に旅できる時代の到来。ラジオは対抗できるのでしょうか。
 冒頭のFM802の山本さんはこう言います。
 「ラジオには、『DJ』という大きな強みがあります。彼らが曲やアーティストにまつわるビハインドストーリーを高い熱量で語る。たとえリスナーが今まで何百回と聴いていた曲でも、そこに新しい発見や感動を与えることができますから」

 はっとさせる選曲、曲にまつわる思わぬ裏話、知られざるミュージシャンのヒストリー……。何も考えずに聴くのも楽しいけれど、背景を知った上だと楽しさ倍増なのが音楽のまた面白いところ。違う言語で歌われる洋楽であれば、なおのこと。ラジオが優れた航海士として、この音楽の大航海時代で存在感を逆に高めていくのかもしれません。

新型iPhoneを買い求める人たち。若者の間では、ストリーミング形式の楽曲をスマホで聴くスタイルが広がっている=2015年9月25日
新型iPhoneを買い求める人たち。若者の間では、ストリーミング形式の楽曲をスマホで聴くスタイルが広がっている=2015年9月25日 出典: 朝日新聞

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