お金と仕事
「ぼっち用コタツ」はネタじゃない? 変わる家族のあり方を反映
扇風機や暖房器具で知られる山善が「1人用こたつ」を発売しました
扇風機や暖房器具で知られる山善が、「1人用こたつ」を発売しました。こたつといえば冬場の「家族団欒(だんらん)」を象徴するアイテムですが、なぜ1人用なのでしょうか? そこには、増える独居老人など、変わりつつある家族のあり方が反映されていました。
先月発売された「1人用こたつ」は、ひとり暮らしや狭い部屋で便利なコンパクトサイズです。天板は58×58cmと小ぶりですが、高さが最大58cmになるので、椅子に座って使用することができ、立ち座りが楽にできます。こたつ・こたつ布団・椅子がセットになっていて、組み立て済みなので箱から出してすぐに使えます。
ネット上では「ぼっち用こたつ爆誕」「コンセプトはすごい好き」「寝られない」「もはやこたつではない」などと話題になっています。「ぼっちメシ」(一人での食事)などに代表される「おひとりさま」に関連づけてネタとして語られることも多いようですが、メーカー側の意図はどうなのか? 詳しく聞きました。
――開発のきっかけを教えて下さい
「もともと、こたつは一家団欒で暖まるというイメージの強い商品でしたが、近年では家族構成も変化し、単身世帯も増えてきています。そういった中で、単身の方対象の商品を作ってみたら面白いのではないかというのがきっかけです」
――今回の商品のターゲット層を教えて下さい
「単身の方・年配の方・ご家庭のお母様のちょっとした作業場などにお勧めしたい商品です」
――背を高くして、椅子をセットにした理由を教えて下さい
「本製品は単身の方がターゲットですが、特に年配の方の使用も想定しています。年配の方ですと、床に座る座卓タイプのこたつよりも、椅子を使用して腰かけた方が立ち座りに楽だという声も多く、そういったニーズを踏まえて背を高くして椅子をセットする形をとりました。暖かい空気が逃げる点は改良の余地があり、社外秘でまだ検討中ではありますが、来季以降のモデルは椅子の隙間から空気が逃げないような工夫を施す予定です」
――箱から出してすぐ使えるようにした理由は
「最近では製品の組み立てが煩わしく、組み立て不要で使える製品のニーズが高まっているように思えます。また、年配の方ですと、こたつを組み立てるのが大変というお客様も多く、そのまま取り出して使えるようにしました」
――「横になれないなら、こたつじゃない」という声もありますが、どうお考えですか
「そういったイメージを持たれているお客様もいらっしゃると思いますが、お客様のお求めになる商品も日々変化していると感じています。弊社は従来の座卓タイプのこたつも引き続き取り扱いをしており、その良さを残しつつも、お客様の声に耳を傾けた、また市場のニーズに合わせた新しい製品づくりも同時に行っていかなくてはならないと実感しています」
――この商品を購入してみたいという人に向けてメッセージをお願いします
「寒い冬の部屋の中での読書や、ちょっとしたデスク作業などにも便利ですし、自分だけのホッとするぬくもりの空間・ひとときを提供出来るのではないかと考えています。ご興味のあるお客様には自信を持ってお勧め致しますので、よろしくお願いします」
◇ ◇ ◇
高齢の一人暮らしの人を想定して椅子を付けたり、組み立て不要にしたり。「ぼっち用」という世間受けを狙った商品かと思いきや、変わりつつある家族のあり方に対するメーカー側の提案だったようです。
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