IT・科学
ニューズピックス梅田氏「深さ×時間の広告」急成長メディアの戦略
経済メディア「ニューズピックス」が急成長している。他メディアがマネタイズに苦労する中、早くも黒字化を視野に入れ、さらなる飛躍を狙う。創設者であり、代表取締役を務める梅田優祐氏にニューズピックスの戦略を聞いた。
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経済メディア「ニューズピックス」が急成長している。他メディアがマネタイズに苦労する中、早くも黒字化を視野に入れ、さらなる飛躍を狙う。創設者であり、代表取締役を務める梅田優祐氏にニューズピックスの戦略を聞いた。
--有料だと会員規模は無料よりも圧倒的に少なくなります。世界一の経済メディアを目指すと公言していますが、どの規模を想定していますか。
「何を持って『世界一の経済メディア』というのかは難しいですね。しかし、目指すものはあります。世界の経済ニュースメディアや経済情報プラットフォームは6グループに集約されていると言えます。ブルームバーグ、トムソン・ロイター、ダウ・ジョーンズ、日経・FT連合。それにマグロウヒルとファクトセット。世界一になるには、早期にこの6グループの一角に食い込まないといけない。それは社内で明確に掲げています」
--早期というのは。
「2020年の東京五輪までに。一足先にスピーダが香港、上海、シンガポールで世界展開をしていて、最大市場となる米国でもニューヨーク・オフィスの準備を進めています。まずスピーダのデータベース事業からグローバルの素地をしっかりつくります。NPは国内でしっかり伸ばしてから、グローバル展開していくと明確に決めています」
--去年のプランだと、来年度には英語発信も視野に入れると。
「それはないですね(笑)。まずは日本でしっかりと基盤をつくります」
--日本で基盤ができたと言えるのはどの規模ですか。
「300万アカウントです。有料会員は目標とするのはユーザーの10%、つまり30万アカウント。これは最低目標だと思っています」
--いまはユーザー65万人で有料会員は数千人なので、1%ぐらいですね。
「全然足りないです。いま、ぼくが一番力を入れているサービス開発がありまして、それはスピーダとNPを連携したものです。次の有料会員を増やす起爆剤にしたいと思っています。この7年間で一番自信のあるサービスです」
--ビジネス畑の梅田さんと経済ジャーナリズム畑の佐々木編集長。方針をめぐって対立しませんか。
「しますします。ちょうど昨日もしていました。何かの方針に対して。日常的なことなので、内容は忘れてしまいました。ユーザベース創業のメンバーともやっていることなので、同じような関係を築けている証拠と思います」
「私自身にある負い目としては、彼の才能が最大限に発揮出来る環境になっていないことです。彼自身の一番の才能はクリエイティビティや世の中への発信能力だと思うんですが、スタートアップの立ち上げなので、細かい管理や、コンテンツごとの評価の仕組みづくり、個性豊かなメンバーのマネジメント、モチベーション管理、細かいことがたくさんあります。そういうのを全部一人でやらないといけない。サポート部隊をつくる体制ができていれば、もっと変わると思っています」
--少ない人数をカバーする工夫は何かありますか。
「すべてを『見える化』していくことが大事です。何にどれだけ投資して、どれだけ効果があったか」
--PVやCVのような数字化できるものだけでなく、玄人目線で見たときに品質が高い記事というのもあるのではないでしょうか。
「そうですね。だから、定性評価も50%していて、それは編集長評価でしています。いいものはいいと。編集長だけでなく、NPの各編集者やエンジニアからの定性評価も加えていこうと話しています」
--NPはどういった人材を必要としていますか。
「ちょうど始まったASEANに関する連載は、日興SMBCで働いていたASEANの専門家がNPに加わって書いています。ああいう専門的な人材をどれだけ集められるかで、今後の成長が決まってくると思っています」
--その専門家にジャーナリストとしての経験があるかは、関係ありますか。
「全然関係ないと思います。ただ、NPにとってのジャーナリズムはなんなのかという文化をつくっていくことは大切ですね。ここは佐々木ともよく話し合う部分です」
--梅田さんからみたNPにおけるジャーナリズムとは。
「ぼくには語れないですね。佐々木と話していて、語れるほどの知見の深さや確固たる考えはまだないなと。ただ、ジャーナリズムを成立させるためにはもうかるメディアをつくらないといけない。それがぼくの役目だと思っています。それがなければ、いくら綺麗事を語ってもしょうがない。まずは永続性のある仕組みをつくることに集中したい。その中でジャーナリズムはこうあるべきだという私なりの考えが生まれてくると思います」
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編集部を率いる佐々木紀彦編集長、エンジニア部門のリーダーである杉浦正明サービス開発マネージング・ディレクターへのインタビュー詳報は明日以降、順次掲載の予定です。
修正:ユーザー数増加の数字を3~4千人から3千人に修正しました。