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IT・科学

ニューズピックス梅田氏「深さ×時間の広告」急成長メディアの戦略 

経済メディア「ニューズピックス」が急成長している。他メディアがマネタイズに苦労する中、早くも黒字化を視野に入れ、さらなる飛躍を狙う。創設者であり、代表取締役を務める梅田優祐氏にニューズピックスの戦略を聞いた。

ニューズピックスの梅田優祐・代表取締役=古田大輔撮影
ニューズピックスの梅田優祐・代表取締役=古田大輔撮影
ニューズピックスとリクルートキャリアのコラボ企画
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NP独自の「ブランド広告」

--課金収入と広告収入の割合は、いまどれぐらいですか。

「広告が完全に上です。われわれの広告は単価が高いので。ただ、長い目で見ると有料課金を伸ばしていきたいです」

--バナー広告は実施していなくて、いわゆる「ネイティブ広告」ですね。

「『ブランド広告』と呼んでいて、ビジネス部門の広告製作チームがつくっています。インフィード型広告も年内にスタートします」

「新商品も生み出しています。例えば、リクルートさんと始めた事業。『キャリアストーリー』という求人特集を掲載し、その仕事に関心を持ったユーザーは『連絡を待つ』ボタンをタップして、求人のデータベースに登録できます。こうやって企業とユーザーをつなげる。反応はすごく良いです。こういう新商品をどんどん開発していきたい」

--広告戦略を進める上でのNPの強みはなんですか。

「ユーザー登録の際に、実名や会社名や役職、メールアドレスなど様々な個人情報を入力していただける方が多い。若い世代のビジネスパーソンにリーチし、モバイルに強い。われわれにしかできない広告モデルがあると思っています」

--ネイティブ広告の将来性は、どう考えていますか。

「間違いなくニーズはあります。ただ、それだけでは駄目です。クライアントさまがお金を出してくれるのは、蓄積型のものでなければいけない。広告を1回出して、1万人が見て終わりというような『点』の広告には、なかなかお金を出さなくなってくるんじゃないでしょうか。広告を見たお客様をファンにし、長期的な関係をつくる商品でないといけないと思っています」

--具体的には、どういう商品ですか。

「例えば、ブランド・アカウントという商品。ビズリーチさまやオラクルさまなどにスポンサーしてもらっています。企業がNP内にアカウントをつくり、NPのプラットフォームで記事を発信する。ユーザーはその記事を読むためには企業のアカウントをフォローする必要があります」

「今日出したビズリーチさんの記事では、この記事を読むために1日だけで3000人がビズリーチさまのアカウントをフォローしました。3000人のファンを囲い込んだ形です。この3000人に今後も継続的にイベントを告知したり、自社の商品を説明したりできる。1回のコンテンツで関係が切れるのではなくて、そこから継続的につながれる関係をつくるんです」

--通常のネイティブ広告以上の付加価値をつけていくと。

「タイアップ記事を大量にばらまくというのは、一つのモデルとは思いますけれど、我々はそうではない」

「面」ではなく「深さ」×「時間」

--社内では「いまはバブルだ。土台を固めよう」と呼びかけているそうですね。モバイル広告の出稿意欲が高まる一方で、その受け皿がまだまだ少ないためにNPに出稿が集まるという見方もあります。バブルとはそういう意味でしょうか。

「単に景気が良いという面もあるということです。スピーダの運営を開始したのはリーマンショック直後でした。本質的な価値を提供できていない広告は一気に切られる姿を目の当たりにしました。同じような不景気が来たとしても、しっかり広告主さまに価値を認めてもらえる商品を作っていこうということです」

--マス相手と異なり、利用者層が限られるNPのようなターゲットメディアの広告の価値とはなんでしょう。

「広告主と読者の接点は、『面』×『深さ』×『時間』の3軸の掛け算で決まると考えています。ご指摘の通り、ターゲットメディアはマスメディアと比較して『面』は勝負するポイントではない。ひたすら『深さ』と『時間』の2軸を磨いて行くことと考えています」

--「深さ」とはなんでしょう。

「『深さ』とは、どれだけ特定のセグメントに深く入り込み、広告主が必要としている深い情報を届ける事ができるか、です。先ほど挙げたリクルートさまとの事例がそうです。『求人に興味あり』と いう意思を示したユーザーの名前、役職、メールアドレスに加え、年収、出身大学などを提供できます。これは、個人情報を入れて利用する。NPならではの強みを活かした広告の一つです」

--「時間」とは。

「『時間』は広告主とユーザーの接点を点ではなく、長期的な関係にするものです。これも先ほど挙げたブランド・アカウントがそうです。フォローしないと記事が読めない仕様にし、フォロワーつまりファンとの長期的な関係をつくります」 

--フォロワーしか記事が読めないのであれば、おのずとPVは減ります。

「これまでのタイアップ記事は単純にPVを追い求めるものでしたが、我々は多少PVが犠牲になったとしても、広告主と読者の長期的な関係、コミュニケーションを実現できるプラットフォームであるべきだと考えてそのようにしています。広告主様はフォロワーに対して、直接メールを送ったり、イベントを開いたり等する事ができ、広告主とユーザーがこれまでの『点』の関係から『蓄積型』の関係を構築できるようにしています」

--新しいタイプの広告の場合、価格はどうやってつけているんですか。

「相談ベースで決めているとしかいいようがないです。わかりやすいものでいったら、リクルートさまとの事例。1求人の獲得にかかるコストというのは、リクルートさまの中で決まっているので、それに見合う単価にしています。クライアントごとに達成したい目標というのが決まっています。ビズリーチさまなら何人のファンを獲得するとか。それにいくらまでお金をだしていいか、というのを聞かせていただいてます」

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