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日本人の「割り勘」は恥? 中国のおごり文化「私が払う!」で喧嘩も
日本では当たり前の割り勘。ところが、香港のテレビ局の記者がネットで紹介すると「絶対ありえない」「日本人ってケチなの?」と物議を呼びました。
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日本では当たり前の割り勘。ところが、香港のテレビ局の記者がネットで紹介すると「絶対ありえない」「日本人ってケチなの?」と物議を呼びました。
日本では当たり前の割り勘。飲み会の後に幹事は、まとめてお金を徴収します。ところが、香港のテレビ局の記者が日本の割り勘文化をネットで紹介したところ、「絶対ありえない」「日本人ってケチなの?」と物議を呼びました。
割り勘を紹介したのは、香港・鳳凰衛視(フェニックステレビ)の李淼(リー・ミャオ)記者です。7月6日、中国版ツイッター・微博に、東京のレストランで見かけた「割り勘する母娘」の様子を紹介しました。
割り勘が当たり前の日本。最近では、割り勘の計算をしてくれるスマホのアプリもあります。お店の予約機能と組み合わせたり、払いやすい切りの良い数字にしてくれたり、多くのアプリが無料で公開されています。
李記者が目撃したという割り勘は、親子という珍しさもあって中国のネットユーザーの関心を呼んだようです。
「私だったら、絶対お母さんをおごりますよ」
「そのような生き方は好きではない…でも日本人の生き方も彼らの自由です」
「中国の孝道(親孝行の行い)では、お母さんがお金を出すことを許さない」
「悪くはないけど、私はやらない。母親の費用はぜんぶ自分が負担する。責任でもあるし、負担できる能力があることをうれしく思う」
「これは文化の違いでしょう。日本では割り勘は常識だけど、中国では人間味がないことになります」
ネット上では、日本の割り勘について驚きの声が寄せられました。
中国では割り勘のことを「AA制」と呼んでいます。「AA制」の語源はいくつか説がありますが、よく言われているのが「Algebraic Average」つまり「代数平均」の頭文字という説です。アルファベットであることからわかるように、外来語だと言われています。
「AA制」という言葉はあるものの、普及しているとは言えません。飲み会などでは、呼びかけた人が「請客」(ごちそう)することが多く、一括で支払うことが普通です。順番に呼びかけ役になり、ごちそうするのが一般的で、最終的には割り勘と同じ状態になります。
中国人にとっては、その場で均等に割って代金を支払うよりも、順番で支払う方が、コミュニケーションを深めやすいと考えられているようです。
中国では、男性の友人同士でも、「AA制」は好まれません。飲み会では「誰都別和我搶、我来買単(誰も私と争わないで、私が支払うよ!)」というセリフがよく聞かれます。中には、酔っ払った友人同士が、自分が支払いたくて殴り合いの喧嘩をしてしまうこともあります。
特に男女の間では、「AA制」への抵抗が強いと言われています。社会人・学生関係なく、食事など男性が費用を全部出すのが主流で、少なくとも多めに出すことが求められます。中国の新聞の『中国青年報』が2015年3月に伝えた記事によると、大学生の恋愛に関して、男性が支払うと答えた人は71%にのぼり、女性は10%にとどまりました。ちなみに割り勘は9%でした。
一方、経済発展を続ける中国では、物価の高騰や晩婚化などが進んだことで、「AA制」の話題も増えています。2012年には女性の社会自立や、若い夫婦の消費観念などの問題を取り上げる、「AA制生活」というドラマが放送され、反響を呼びました。
「AA制生活」は2組の「80後夫婦」(1980年代生まれの一人っ子世代を指す)が負担の重いマンションのローン返済のためや、結婚後に独立の個人空間を保つために、それぞれ夫婦が割り勘生活を始めた物語です。ドラマが生まれた背景には、生活の負担増や、女性の独立意識が高まっている中国の変化があります。
「割り勘」は、まだ受け入れられそうにないものの、変化の兆しも見える中国。日本の「割り勘」に対する反響は、そんな中国社会の現状の裏返しのなのかもしれません。
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