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歌舞伎町の案内人、帰化して政治の道へ 李小牧氏が訴えたかったこと
4月にあった新宿区議選に立候補しましたた新宿歌舞伎町の案内人・李小牧さん。結果は落選でした。李さんが訴えたかったこととは何か、聞きました。
新宿歌舞伎町の案内人として知られる、李小牧さんが、4月にあった新宿区議選に立候補しました。来日27年目、帰化を決断したうえでの挑戦でしたが、結果は落選。李さんが訴えたかったこととは何か。400票差の落選が意味するもの、国会での安保法制をめぐる議論はどう映っているのか。聞きました。
Newsweekコラムでの出馬表明
1988年に来日した李小牧さんは、日本屈指の繁華街、新宿歌舞伎町で生きてきました。2004年から「Newsweek日本版」にコラムを執筆し、国内外の社会問題をテーマに、愛を込めて日本社会を辛口批判してきました。10年におよんだ執筆活動の中で、「多くの社会問題は、政治の問題であることを感じていた」という李さんでしたが、日本で政治家になるためには帰化しなければなりません。
2014年2月、「冗談半分で」コラムに選挙に出ると書くと、周りから多くの応援の声が届きました。思わぬ反響を受け、試しに選挙情報を調べてみた李さん。すると、2015年4月に新宿区議選が予定されていることを知りました。
そして、2014年3月のコラムでは、新宿区議選挙に「今度は本気で」出馬すると表明したのです。その記事を読んだのが民主党の前代表・海江田万里氏でした。2人はさっそく面会。最初は冗談だった出馬が、ついに本物になってしまったのです。
外国人とどう生きるか、訴えた
李さんが選挙で訴えたのは、新宿に住む外国人のことでした。「日本に住んでいても、お金を稼ぐだけ。お祭りにも、防災活動にも外国人の姿を見ない」と指摘。「町内会や自治体も、外国人を積極的に呼び込むようなこともしていなかった」
「外国人をめぐる問題は、もともと日本人である政治家は気づかないか、敬遠している議題」と感じた李さん。歌舞伎町をはじめとした繁華街のホスト・ホステス、飲食店従業員の社会地位向上などにも力を入れました。
選挙中に異例のメッセージ
もう一つ、李さんが訴えたかったのは民主主義の大切さです。選挙中、「私に投票をしなくても良いから皆さん選挙だけにはキチンと行って下さい」という発言をしました。
候補者としては異例なメッセージ。その真意は「日本の若者は、民主主義国家に生まれ、選挙権も被選挙権も持っている。もっと政治に関心を持ち、投票に行くべきだ」という思いがありました。日本に住んで27年。民主主義のすばらしさを肌で感じ、それを実行できるという「すごさ」を実感する中で出てきた言葉でした。
同時に、このメッセージは生まれ故郷の中国にも向けられていました。「民主主義のない中国にインパクトを与えられるでしょ」。狙い通り、李さん出馬のニュースは、海外のメディアにも取り上げられました。
歌舞伎町のホテルグレイスリー前で、有名ホストの手塚マキさんたちと「ガンバロー」三唱で選挙活動を締めました！
Posted by 李小牧新宿案内人 on 2015年4月25日
「1000票取れたこと健闘」
帰化してまでのぞんだ立候補でしたが、結果は400票差の落選でした。帰化が認められたのが2015年2月で、選挙活動が短かったこと。また、票に結びつきにくい外国人の問題を中心に訴えたことなども響きました。
それでも李さんは手応えを感じているようです。「時間もない、お金もない、人もいない状態で、1000票以上取れたことは健闘」と振り返ります。
次の選挙にも意欲
現在、国会で議論が続く安全保障の問題について李さんは「日本人の国民がよく分からなかったら、隣の中国人などは余計分かりません」と指摘。丁寧に議論を進めることの大切さを訴えます。
「どんな外国人よりも日本人に詳しく、どんな日本人より外国人に詳しい」という李さん。次の選挙にも意欲を示しています。「外国人にやさしい社会をめざすことは、日本全体のやさしさにつながる」
