IT・科学
「忘れられるメモリ」、中央大が開発 指定した時間にデータ破壊
「フラッシュメモリ」の寿命を自由に制御する技術が開発されました。
中央大学は18日、半導体を使ったデータ記憶装置「フラッシュメモリ」の寿命を自由に制御する技術を開発した、と発表しました。指定した時間でデータが自動的に壊れるように設定できるため、プライバシー保護や「忘れられる権利」に役立てることができるといいます。
メモリシステムの開発に成功したのは、同大理工学部の竹内健教授の研究グループ。フラッシュメモリは、データを失う確率が高い精度で予測できるため、これを逆手にとって今回の開発につなげました。データを書き込む時点で、一定の数のエラーを意図的に注入することで、データの保存期間を自由に操作できるようにしました。「このデータは1年ごに消す」というような設定が可能です。
SNSやストレージサービスなどの事業者が、サーバーにこうした技術を導入すれば、消したはずのデータが特殊なソフトウェアで取り出されたり、悪用されたりすることがなくなるといいます。
データを破壊した場合でも、記憶装置が物理的に壊れるわけではないので、再利用できるそう。新しい半導体メモリの市場開拓につながることも期待されています。竹内教授の研究グループは「いまは実験室での実証が終わった段階だが、いずれ商用化は可能」としています。
同研究グループでは、こうした考え方を応用し、逆に1千年程度の「超長期」でもデータを保存できる半導体機器の研究も進めています。