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美術家・会田誠、故郷で語った改変騒動の真相 ぶっ飛んだ小学生時代
展示をめぐり東京都現代美術館から改変を要請された会田誠さん。故郷の新潟であった講演会で、過激な作品に込めた思いを軽妙なトークで語りました。
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展示をめぐり東京都現代美術館から改変を要請された会田誠さん。故郷の新潟であった講演会で、過激な作品に込めた思いを軽妙なトークで語りました。
展示をめぐり東京都現代美術館から改変を要請された現代美術家の会田誠さん。毎回、話題を呼ぶその作品の原点には、素っ裸で走ったストリーキングの存在が……。故郷の新潟であった講演会では、改変騒動への思いや、少年時代のぶっ飛んだエピソードを語りました。
講演会は、長岡市の県立近代美術館で開催中の「会田誠展 ま、Still Aliveってこーゆーこと」に合わせて9月26日にありました。
改変騒動があったのは、10月12日まで東京都現代美術館で開催された「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」展でのこと。会田さんの作品「檄(げき)文」が美術館側から問題視されました。家族3人で学校制度への不満などを「文部科学省に物申す」などとして書いた作品と、首相に扮した会田さんがたどたどしい英語で演説する映像作品の計2点について、東京都現代美術館側が改変を要請しました。
結局、約1週間後に当初のままでの展示続行が決まりましたが、東京都現代美術館側に対して、ネット上を中心に疑問の声が相次ぎました。
講演会で、改変要請について振り返った会田さん。創作の動機の中には、作品を投げかけ、どういうリアクションが起きるのかを自分が観察することで、世間、世界、社会、現在を知りたいと思いがあると述べました。
展示が禁じられた時に感じたのは、「怒り」ではなかったという会田さん。「この国、このシチュエーションでは禁じられたが、ここではOKというのが正直興味深い。ヘンテコな、ギリギリな作品を作っている人間の冥利(みょうり)に尽きるというか、こういうのを作っていて良かったな」という感情が沸くと、明かしました。
新潟市出身の会田さんが小学生時代に好きだったのが、愛や平和を訴えるなどの理由で素っ裸で走るストリーキングでした。母校の新潟市立新通小学校で披露していたそうです。
会田さんは、このストリーキングの経験と、改変騒動に巻き込まれた首相に扮した映像作品などは同じ流れの中にあると解説します。
「お騒がせを起こしたいというマインドと、絵を描いていて楽しい気持ち。僕が元々持っていた二つの性質が合体した形で、ちょうど運良く現在のお仕事につながっていて、ラッキーだったなと思います」と振り返りました。
東京都現代美術館側による改変要請は、表現の自由をめぐり注目されました。美術館に寄せられたクレームへの対応、手続きの透明性などについて、議論が起きました。
「現代美術には、社会批評を含み、議論が起きる作品も多い。美術館はこうした作品もきちんと見せる使命がある。クレームや意見を喜ばしいことと捉え、市民とともに『美術館の公益性』について議論を深めればいい。そうすれば、現場の学芸員が必要以上に慎重にならず、主体性を保った展示が出来る」(元青森県立美術館美術統括監の飯田高誉=たかよ=さん)
「美術館は、公開前にどのような手続きを踏んだのか明確に答えるべきだ。誰かを糾弾するためではない。責任の所在を透明化し検証することが、作家の表現の自由を保障し、市民に開かれた美術館としての社会的責任を果たすことになる」(北田暁大・東京大教授)
会田さん自身は、どのように思っているのか。展覧会終了に合わせて投稿した10月13日のツイッターで、次のように投稿しています。
「こども展」最後に一言。僕には難しいお題で、参加率はどうしても少なくなった。息子の不満に端を発した「檄」の取りまとめくらいしか仕事できず。教育への問題意識は妻の方が前から大きかったので、妻が自然と中心に。良くはないがアウトではないはずの我が家を一サンプルとして提示したつもり。
「こども展」最後に一言。僕には難しいお題で、参加率はどうしても少なくなった。息子の不満に端を発した「檄」の取りまとめくらいしか仕事できず。教育への問題意識は妻の方が前から大きかったので、妻が自然と中心に。良くはないがアウトではないはずの我が家を一サンプルとして提示したつもり。
— 会田誠 (@makotoaida) 2015, 10月 12
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