話題
子どもが水難事故に遭わないために…備えと救命処置、イベントで学ぶ
AEDを使うとき、体がぬれていたら拭いてください

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AEDを使うとき、体がぬれていたら拭いてください
海や川、プールなど水のレジャーで、万が一、子どもが溺れて救命処置が必要になったら――。そんな不安を解消しようと、人材サービス会社が主に子育て中の社員を対象に救命救急の体験イベントを開きました。赤ちゃんの人形を使い、乳児を想定した心肺蘇生法も学びました。
「水の事故を防ぐために、特に海や川に行くときはライフジャケットを着てください。体から抜けないようにぴったりと付けて、股下のベルトをしっかりと締めてください」
「お子さんを助けに入った保護者が亡くなる事故もあります。救助用のロープを用意し、保護者もライフジャケットを準備しておくと事故を防げる可能性が高まります」
8月上旬、人材サービス会社のパーソルキャリア(東京都港区)で開かれた「乳幼児の救命救急イベント」。麻布消防署の消防士らが、社員約20人を前に夏休みに気をつけなければいけない子どもの事故について説明しました。
「25歳以下の方が亡くなる要因のひとつは、交通事故や溺れ、高いところからの落下といった不慮の事故です。特に小さなお子さんは目を離さず、万が一事故が起きてしまった場合は、適切な応急処置をしてください」
参加者はその後、赤ちゃんと子どもを想定した人形を使い、胸骨圧迫(心臓マッサージ)やAEDの使い方を練習しました。
大人へ胸骨圧迫をする場合、両手を組んで腕を伸ばし、胸が5cmほど沈むように強く押します。テンポは1分間に100~120回。リズムの目安は「アンパンマンのマーチ」や「もしもしカメよ」などで、絶え間なく押し続けます。
乳幼児の場合、テンポは1分間に100~120回と同じですが、胸を押す強さを大人よりも弱めます。
胸が3分の1ほど沈むような強さで、幼児は片方の手のひらの根本で押し、乳児は指2本で押します。
AEDは、小学生以上は大人と同じパッドを使っても問題ありません。「小学生~大人モード(成人モード)」「小学生~成人用パッド」と表示されています。
乳幼児の場合は「未就学児用モード」や「未就学児用パッド」を使います。未就学児用パッドは胸と背中に1枚ずつ、心臓を挟むように貼ります。
機種によっては大人と同じように左右の胸に貼ることもありますが、多くはパッドに貼る位置のイラストが描かれています。
消防士は水辺での事故を想定し、「AEDのパッドを貼る場所がぬれていたら、周辺を拭いてください。ぬれていると心臓に向かって電気が流れてくれません」と説明。「貴金属を付けている場合は外してください」と伝えていました。
イベントは、パーソルグループの部活動のひとつ「ママパパ応援部」が企画しました。子育てしながら働く社員を中心に、部署を超えて情報交換をしているそうです。
今回のイベントの参加者からは、「AEDを使うとき、体がぬれていたら拭かなければいけないとは知りませんでした」「知らないことがたくさんあって勉強になりました」といった感想がありました。
9歳と5歳の子どもがいて、妊娠7カ月の女性社員(37)は、「子どもの数が増えると『ヒヤリハット』も増える気がします。万が一のときにきちんと対応できるように参加しました」と話します。
初めて赤ちゃんの人形を使って胸骨圧迫を体験し、「人形とはいえ、頭が真っ白になりました。指でかなりの力を入れなければならず、イメージとのギャップがありました」と驚いていました。
実際、公園で「ヒヤッとした」経験があり、参加を決めた社員もいます。
11歳の子どもがいる女性社員(37)は、7月に家族で公園に遊びに行った際、そばの遊具で遊んでいた小さな男の子が背中から落ちた場面に遭遇したそうです。
「親御さんが一瞬目を離したときの出来事でした。私自身、応急処置など知識はあったはずなのに、まったく体が動かなくて。男の子は苦しがっていましたが意識不明ではなく、親がすぐに起こしにきて大事には至りませんでした」
「男の子の状況が気になりましたが、親御さんがそばにいるのに見ず知らずの私が駆け寄ってもいいのかなという不安もありました」
これまで知識はあっても、講習を受けたことはなかったという女性。消防士の説明を受け、「もしまた同じような場面に遭遇したら、ためらわず『大丈夫?』と声をかけて動けると思います。大事なのは命ですから」と話しました。
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