話題
40代でめざめた〝朝ドラ〟脚本家 妻が考える子どもとの向き合い方
長女は父の姿に「いつも家にいて何やってるんだろう」と思っていたそうです

話題
長女は父の姿に「いつも家にいて何やってるんだろう」と思っていたそうです
2023年放送のNHK連続テレビ小説『ブギウギ』の脚本を手掛けた足立紳さん(53)と、妻の晃子さん(49)をはじめとした「足立家」をモデルにしたドラマが放送中です。多忙ななか、足立夫妻は子どもたちとどう向き合ってきたのでしょうか。長女にも両親について尋ねると、「恥ずかしくて言えなかったけど……」と胸の内を明かしてくれました。
7月から放送中のドラマ『こんばんは、朝山家です。』(ABCテレビ・テレビ朝日系)は、足立夫妻が書いてきた連載日記がベースになっています。ドラマでは、イライラしがちな長女や発達障がいのある長男が描かれています。
モデルとなった長女はいま高校3年生の18歳、長男は中学1年生の12歳です。
40代前半までなかなか芽が出なかった紳さんでしたが、いまではドラマの撮影や、国内外の映画祭に登壇するなど、忙しい日々を送っています。
紳さんの事務所の社長を務める晃子さんも、2022年以降はプロデューサーとして撮影現場に入り、夫妻そろって都内の自宅を空けたり、帰宅が遅かったりすることが増えました。
夫妻は祖父母の家や知人の家など、コミュニティを駆使して子どもたちを預かってもらっていました。しかし、子どもたちは寂しさも感じていたようです。
昨年、撮影場所・大分県の下見のため1週間不在にしたことを、晃子さんはこう振り返ります。
「ふだんあまり自分の気持ちをしゃべらない息子が、私たちが帰ってきた日、夕飯時は普通にしていたのに、寝かしつけのとき、突然号泣したんです。『寂しいんだよ‼』って。そしてひたすら泣き叫び。そのとき、『あぁ、この子たち、平気な顔しているけど本当は寂しかったんだ』と気付かされました。これに気が付かなかったなんで、なんてバカだったんだ、と反省しました」
翌月クランクインした大分の現場には、1週間という短さもあって長男も撮影現場に連れていったそうです。
「録音部や制作部のお手伝いをして伸び伸びしていました。長女は中間テストがあったので、試験後1人で成田に向かい、飛行機で大分に来ました。祖父母の家に残ることもできたのに。娘も制作部や衣装の手伝いをしてくれました」
「娘は口が立つのでいつも腹が立つことばかり言っているけど、実は気を遣う子なので、なかなか本心は言えなかったのかも…。もしかしたら態度に出していたのかもしれないけど、そこに私は気付けませんでした。大反省です」
それ以来、晃子さんは都内で仕事をするときはできるだけ夜は「ダッシュ」で家に帰り、地方の映画祭の仕事などは可能な限り子どもたちを連れていくようにしているそうです。
「いくら言葉で『愛してるよ』と伝えてもなかなか届かない。夫は多忙で夜遅いことも多いから、私の体は子どもたちと一緒にいることを心がけています。特に何か言うわけではありませんが、物理的に『一緒にいる」ということを大切にしようと思いました」
長女はふたりをどのように見ているのでしょうか。
話を聞くと、両親について「恥ずかしくてふたりの前では言えなかったけど、すごく尊敬しているんです」と語りました。
保育園の頃は、仕事に出かける母と対照的に家にいる父の姿に「お父さんは何をやっているんだろう?」と感じていたそうです。成長するにつれ父の仕事を認識するようになり、見方が変わりました。
「母も父の仕事を支えていて本当に尊敬します。撮影現場や舞台あいさつに付いていくことがありますが、父と母が壇上に立っていたときは、弟と一緒に『すごいね』と話していました」
晃子さんが感じていたように、長女は両親が不在で留守番をするとき無理をしていたこともありました。
長男には発達障がいがありますが、その行動に困っても両親にLINEで伝えることができなかったそうです。
一方の長男は、困ったりけんかしたりするとすぐに両親へLINEを送っているようで、「弟にだけ『大丈夫?』『何してる?』というメッセージが届いているのを見ると、私だって困っているのにずるいなと思ってしまう。でも、それを言えないタイプなんです」と話してくれました。
長男の性格や特性については理解しているつもりですが、「私だって大変だし頑張っているのに、なんで弟ばっかり」と思ってしまうこともあります。
「父も母も余裕がないときは弟につきっきりになっちゃうんですけど、それ以外はよく私の部屋に来て、学校の話などを聞いてくれます。父母のどちらかでも私のことを気にかけてくれるのはうれしかったです」
弟との向き合い方は、「私の気持ちを考えずに来ることがあるので、イライラしそうなときは距離を取るようにしています」と話していました。
放送中のドラマ『こんばんは、朝山家です。』では足立家をモデルにリアルな家族模様が描かれています。
すべて見ている長女は「自分のことを客観的に見ることができる」とはにかみます。「特に弟への当たり方は、本当にひどいことを言っちゃうことがあるから」
「ドラマではちょっと雰囲気の悪い家族かなって思われてしまうかもしれませんが、私はすごくこの家族の雰囲気が好きです。当事者だから面白いと思うシーンがあるのかもしれないんですが……そんなにヤバい家族という風には思わないでほしいな」と笑いました。
1/18枚